夏休みに入ると、宿題をしないお子さんを見て、「いつ終わらせるの?」と心配になっていませんか?この記事では、計画的にコツコツと宿題を終わらせることが苦手な子どもが宿題をスムーズに終わらせるための工夫を紹介します。
1.夏休みになると、「いつになったら宿題を終わらせるの?」と心配になっていませんか?
毎日コツコツやってほしいのに、なかなか動き出さない…。
このままで本当に終わるのか心配になりますよね。
この記事では、発達障害のある子どもが夏休みの宿題を計画的にできないのはなぜか?、
子どもが宿題をやる気になるようなママの関わり方をご紹介します。

2.夏休みの宿題がたまっていき、親子ゲンカをしていた過去
私の息子は、自閉症スペクトラム症(ASD)の傾向があり、夏休みの宿題に苦労した過去があります。
漢字をくり返し書くなど、同じことのくり返しが苦手な息子は、宿題を終わらせるのに毎日時間が掛かっていました。
小学校に入って、はじめての夏休みの宿題を見たとき、「これは少しずつやらないと終わらないかも」と思いました。
そして、息子と一緒にカレンダーにやる日を決めて計画を立てました。
最初のうちは、予定通りに進んでいたのですが、「今日はやりたくない」という日が増えてきて、計画通りにできない息子に私はイライラ…。
「今日もやらないの?!」とついきつく言ってしまうことも。
そんな私に、イライラしながらしぶしぶやり始める息子は、適当に問題を解いたり消しゴムを投げつけたりし、親子ゲンカに…
夏休みの終わりに泣きながらなんとか終わらせた、そんな思い出があります。

3.発達障害の子が宿題を計画的にやらないのはなぜ?
発達障害のある子は、コツコツと計画を立てて進めることが苦手なことがあります。
それは、
・見通しが持てない(先のことがよく見えない)
・ワーキングメモリーが弱い(覚えておく力が少し弱い)
という特性があるからです。
♦「見通しが持てない」ってどういうこと?
たとえば、「いつまでに」「どんな順番で」「どれくらい」やればいいのかが分かりにくいのです。
そのため、子どもの頭の中は、
「宿題ってどれくらい量があるの?」
「それを全部やるのには、どのくらい時間がかかるの?」
「学校が始まるまでに、あと何日あるのかな?」
ということを、1つ1つきちんと分かっていない状態であることが多いのです。
やることの量も時間も分かっていない宿題を、計画を立てて毎日コツコツやるのは、むずかしいのです。
♦ワーキングメモリーが弱いってどういうこと?
長いお休みの宿題をやるときに大事なのが、ワーキングメモリー(作業記憶)という力です。
これは、
・今やっている宿題がどこまで進んでいるかを覚えておく力
・いくつかの宿題を、うまく順番にこなす力
のことです。
「あれって、どこまで進んでだっけ?」という記憶力と、 「残りをどんな手順で進めたら効率がいいか?」と考える力がワーキングメモリーです。
この力が苦手な子は、いろんな宿題の進み具合を覚えておくのがむずかしいことがあります。
だから、「覚えているうちに一気に終わらせちゃおう!」とがんばりすぎて、かえって大変になることも。
または、夏休みの最後のほうまで宿題をやらずに、溜まった宿題を一気に終わらせなきゃと大変になることもあるのです。
計画を立てて毎日コツコツやるのは、そういう子にはとてもむずかしいんです。
嫌だからという理由ではなく、このような特性があって宿題をすることがとても大変になる場合もあるのです。
叱るのでは無く、お子さんを励ましながら、宿題をやりきった成功体験を作ってあげたいですよね!
では、ママが叱らず、子どもに宿題をやる気にさせるにはどんなサポートができるのでしょうか?

4.夏休みの宿題をスムーズに終わらせるための工夫
①週ごとの計画を立てる
週ごとの計画は、週に1回の締め切りがあるのと同じです。
夏休みが長いから、終わりだけに締め切りがあると、ついギリギリになってしまう。
かと言って、毎日の締め切りでは窮屈すぎて子どもが嫌がってしまうこともあります。
そこで、週ごとの締め切りにしてみましょう。
1週間のうちに、これとこれをやってみよう!くらいのゆったりした計画にしましょう。
お子さんは週の中で一気に終わらせようとすることがあるかもしれませんが、1週間の帳尻が合っていればOKとしましょう。
どんなやり方が良いのかは、大人になるまでに色々試してみないと分かりません。
色々試して、1回でも「こうやれば僕でもできるんだ!」という方法を持っていることが大切です。
夏休みなどの長期休暇の宿題は、社会に出てから求められる段取り力(やることを順番にうまく進める力)を発達させるのによい機会にもなります。
②ご褒美で行動するきっかけを作ってあげる
ご褒美は子どもを行動させるきっかけとしてすごく効果的なんです。
ここで大切なのは、ご褒美とママの肯定的な声掛けとセットで行うことです。
モノのご褒美ばっかり欲しがるという状態にならないよう、 ママの「褒め言葉」をしっかり伝えることが大切です。
脳の回路は行動することで育っていきます。
行動しないと、脳の回路が作られず、いつまで経ってもできるようになりません。
「行動のきっかけ」にご褒美をうまく使って、期限までに宿題をやりきった!という成功体験を作ってあげましょう。

5.親子ゲンカせずに、夏休みの宿題を最後まで終わらせることができた!
去年の夏休み、息子と一週間ごとの宿題の計画を考え、進めることにしました。
週末にはよく家族でお出かけすることが多いので、「土曜日にプールに行く」「日曜は水族館」など楽しみな予定をご褒美にして、その前に宿題を終わらせることを目標にしました。
宿題プリントが何枚あるか一目で分かるように、紙に①から最後の枚数までを書いて、息子の目につく場所に貼っておきました。
終わった番号にシールを貼っていき、目標の数がたまったら、ご褒美ポイントがもらえると決め、それを「お出かけのお土産を買うのに使う!」と宿題へのやる気につながりました。
やる気になった時に集中して一気に終わらせることも多く、雑にやってしまうこともありましたが、できているところだけを褒めるように意識しました。
宿題が終わったら、「この漢字、お手本とそっくりに書けたね!」とよくできたところだけしっかり褒め、ご褒美シールを貼るようにしました。
そんな工夫のおかげで、親子ゲンカになることもなく、夏休みの宿題を無事に終わらせることができました。
夏休みを笑顔で過ごすためにも、親子の宿題バトルはなるべく避けたいですよね。
わが家の体験が、参考になると幸いです。

執筆者:木村 まい
発達科学コミュニケーション アンバサダー