なかなか時間で行動できない子どもに、イライラしてしまうことはありませんか。 時間を意識するように繰り返し伝えても殆ど効果が無かった我が家でも、あるアイテムを取り入れたところ、行動を加速させることができた対応の記録をお伝えします。
1.時間で動けない子どもに、イライラしてしまいませんか
時間通りに行動できなくて、指示出しを繰り返してしまったり、それでもなお行動出来ない子どもに、ついイライラしてしまいませんか。
時間で行動を指示しながら、
・自分で時間を確認してほしい
・決められた時間に行動しようとしてほしい
・時間を見て見通し(逆算)できるようになってほしい
と思い、このままでは時間通りに動けない子になってしまうのではないかと悩んでいらっしゃる方もいるかもしれません。
自分のやりたいことが最優先でマイペース、わがままな子どもとして捉えられてしまうことがありますが、決して自己中心的なわけではなく、発達障害グレーゾーンの子にはよく見られる特性でもあります。
時間管理が苦手な子どもが、1つのアイテムを使って行動のスピードを楽しくアップさせることができた、我が家の成功体験をお伝えします。

2.時間を意識させようとする声掛けや対応が、逆効果でした
私の娘は、時間通りに動くことがとても苦手です。
登校時間が迫っているのに、朝の着替えや支度に時間を意識していない様子で、行動がかなりゆっくりしていることがよくありました。
「あと5分で着替えようか?」
「7:15までには着替えようか」
行動にかける時間や「何時までに」という時間を明確にして指示するようにしていました。
最初のうちは効果があったのですが、そのうち、途中で様子を見てみると一向に着替えが進んでいない、次の行動に進んでいないということが増えていきました。
次第に、
「ほら、もう〇分経っちゃったよ」
「あと〇分しかないよ?」
「この時間までに着替えないと間に合わないよね?」
と、どんどん焦らせるような声掛けになってしまいました。
一方子どもは、こちらの指示出しにほとんど影響を受けず、相変わらず時間を感じていない様子で、支度のスピードを上げません。
そんな様子を見続けた最後には、「いい加減に支度を終わらせなさい!!」とついイライラへ発展していました。
また、何かをやっている時に永遠とやめられないという悩みもありました。
ずっと見続けてしまうYoutubeやTVアニメ。
「あとどれくらいで止める?」と、予め子ども自身に残りの時間や、止める時間を決めてもらうこともしました。
こちらも最初のうちは効果がありましたが、次第にいい加減になっていきました。
こちらの指示した時間には止められないし、自分で決めてもらった時間にも止められない。
「〇〇時までって自分で決めたよね?」
「どうしていつまでもやめられないの?」
「時計見てごらん?」
と、 時計を指し、時間を意識することを促すような声掛けをしていました。
後から考えれば、時間で動くことの大切さや重要性を一生懸命伝えようとしているはずなのに、一向に時間を意識することにはつながっていませんでした。
これでは、子どもをスムーズに行動させることが出来ないと感じながら、なかなかいい方法が見つかりませんでした。

3.時間感覚を苦手とする発達障害グレーゾーンの特性の理由
発達障害グレーゾーンの子どもは、時間感覚に乏しかったり、時間通りに動くことをとても苦手にしていることがあります。
一つの物ごとに対してどれくらいの時間が必要になるのかという「時間の経過」に関する認識が薄く、約束の時間に間に合う、間に合わないなどの予測も立てづらいのです。
このような特性から、時間の概念を理解することがなかなか難しいのです。
また、発達障害グレーゾーンの子どもは、特定のルールや物事に強いこだわりがあり、好き嫌いも極端に現れる傾向があります。
わがままやマイペースに見えてしまう行動も、自分の興味や関心があることを最優先してしまい、関心が無いことへは後回しや気にも止めていないという特性から来ているものなのです。
そのため、どんなに
「時計を見なさい!」
「時間を意識しなさい!!」
と、注意を促すような声掛けをしても、子どもへは届いていなかったり、声掛けの言葉が聞こえてさえいないこともあるのです。

4.子どもの特性に注目して、1つのアイテムを取り入れました
発達科学コミュニケーションを学んでいた私は、「脳の得意な分野から伸ばす」ということを学びました。
時間のことを何度言っても伝わらない…
いろんな指示をしてみても、なかなか行動にならない…
ということは、「″聴覚″からの脳の処理が実は強くないのではないか」ということに注目しました。
そこで、一度通った道やかなり幼いころ(2、3歳の頃)に見たものを10年ほど経っても鮮明に残っていることが多くある娘は、「″視覚″からの処理が強いのではないか」と考えました。
取り入れてみたアイテムが″砂時計″です。
砂時計は、過ぎた時間の量、残っている時間の量が明確にわかります。
また、砂時計を置いて見せることで、興味関心を一旦、砂時計に向かせることを仕掛けてみることにしました。
「この砂時計が落ちるまでに着替えよう?」
「この砂時計が落ちたらこの作業をやめよう!」
いつもの声掛けに、砂時計を取り入れて、行動を誘ってみました。

5.楽しんで時間を意識できるようになりました
これまでずっと、時計は見えるところにあって、時間はいつでも確認できるものだと思ってきました。
針の時計も数字表示のデジタル時計も、大人にとってはごく当たり前のことが、子どもにとっては、時計を見て時間の長さの感覚に繋げることはとても難しいことだったようです。
砂時計はすぐに効果が表れました!
我が家は、1分、3分、5分の砂時計かセットになった、同時にスタートするものを用意しました。
最初は「真ん中の3分が落ちるまでに着替えてみようか?」と声を掛けしてみました。
そうすると子どもは、「真ん中のが落ちるまでに着替えればいいんだよね?じゃぁ1分でやるから、1分の砂時計が落ちるまでは今のことを続ける!」と言い出しました。
1分で出来てしまうのであれば、1分の砂時計が落ちるまでにやってしまえばいいのに… と思いましたが、そのまま子どもの行動を見ていると、
1分の砂時計が落ちてからそれまでの行動を止めて、3分の砂時計の残りの量を意識して着替えを始め、落ちる砂と競争するように3分の砂時計が落ち切る前に終えることが出来ました。
「3分以内に着替えられたよ!!」と、とても嬉しそうでした。
異なる量の砂時計が一目でわかるようなものを選んだのも良かったのかもしれません。
砂の量は、過ぎた時間や残っている時間がすぐわかることと、認識することで行動を切り替えようとする意識にも繋げられることができました。
また、ゲーム感覚で楽しく取り組めることも、子どもが行動するのが「楽しい」、できて「嬉しい」に繋がっていることを実感しました。
「楽しい」という感覚が、子どもの脳を伸ばす最適な方法です。
時間感覚を身に着けるアイテムとして、ぜひ、砂時計を取り入れてみてください。

執筆者:野口 れいこ
発達科学コミュニケーション アンバサダー