夜になると眠れない子どもに付き合って、親もクタクタ…そんな毎日が続いていませんか? この記事では、ASDの子どもが「眠るのが苦手」な理由と安心して眠れるようになるためのママの対応をご紹介します。
1.夜になると眠れない子どもに付き合って、親もクタクタ…そんな毎日が続いていませんか?
夜になると…
・「寝たくない!」と布団に入るのを嫌がる
・やっと布団に入っても、眠れず泣いたり怒ったり
・やっと寝たと思ったら、何度も夜中に目を覚ます…
子どもがなかなか眠れず、親子でストレスを抱える毎日。
眠れないわが子を見ているのもつらいですし、付き合って睡眠不足になる親御さんも本当に大変ですよね。
この記事では、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもが「眠るのが苦手」な理由と、少しずつでも落ち着いて眠れるようになるために、わが家で工夫してきたことをお伝えします。

2.夜眠れない子どもに寄り添い、私も寝不足で疲れ切っていました
ASDの傾向がある息子は、赤ちゃんのころから眠りが浅く、ちょっとした音でもすぐ目を覚ましてしまいました。
幼稚園の頃には「夜驚症」と呼ばれる睡眠障害に悩まされたこともありました。
※夜驚症とは…「夜中に急に起きて、びっくりしたように泣いたり叫んだりするけど、朝になると覚えていないことが多い状態」
小学校に入ってからは、学校への行き渋りから始まり、不登校に。
そのころ、夜は眠るのを嫌がる、布団に入ってもなかなか眠れず、泣いてぐずったりすることが増えていきました。
寝る前に何度もトイレに行ったり、「気持ち悪い」と言って眠れなかったり…落ち着かない様子が続き、親子で寝不足の日々。
「こんな毎日、いつまで続くんだろう?」
「どうしてうちの子は、眠ることにこんなに不安を感じるんだろう?」と、モヤモヤとした思いを抱えていました。

3.ASDの子どもが「眠るのが苦手」な理由とは?
ASDの子どもは、生まれつき不安を感じやすい「脳のしくみ」を持っていることがあります。
脳の外側には「理性」や「思考」をつかさどる大脳皮質があります。
一方、脳の内側には「感情」や「記憶」に関係する大脳辺縁系があります。
大脳辺緑系の中に「扁桃体(へんとうたい)」と「海馬(かいば)」があります。
扁桃体は、怖い・不安・怒りといったネガティブな気持ちを感じるところ。
海馬は、それをすぐに覚えてしまうところです。
ASDの子どもは、この扁桃体がとても反応しやすいため、不安や恐怖といった感情に敏感です。
それを海馬がすぐに記憶してしまうことで、嫌な体験が心に残りやすい傾向があります。
感情の脳(内側)が「1」に対して、理性の脳(外側)は「3」くらいが理想的なバランスです。
でも、不安が大きくなっているときは、そのバランスが逆になって、「感情の脳」がすごく強く働いてしまうんです。
そうなると、ほんの少しの刺激でも大きく反応してしまう。
また、不安がなかなか消えなかったりして、心も体も疲れやすくなってしまうのです。
私の息子も、学校でのストレスや不安がたまって、自分ではどうしたらいいか分からなくなり、体の調子が悪くなったり、夜眠れなくなった様子でした。
また、夜眠れないことが続き… 「また眠れなかったらどうしよう」 「気持ち悪くなったらどうしよう」 とネガティブな記憶がたまっていきました。
この困りごとの原因、ストレスが溜まった脳をどうしたら落ちるつかせることができるのでしょうか?

4.子どもが夜に落ち着いて眠れるようになる!ママの対応
①スキンシップを増やす
ストレスが溜まった脳を落ちつかせるには、『肯定』の声がけを増やすことが大切です!
「さすが!」「すごいね!」などの褒め言葉以外にも、子どもの行動や存在を認める『肯定』は多様にあります。
・感謝:「お皿下げてくれて、ありがとう」
・実況中継:「歯磨きしてるんだね!」
・興味を示す:「なにそれー?どうやって作ったの?」
・驚く:「もう着替えたの!早くてびっくり!」
・同意:「ママもそう思う!」
・ジェスチャー:OKやグッジョブのサイン
・スキンシップ:肩や背中に触れる、物の受け渡し
その中でも、寝る前の不安を落ち着かせるのに効果的だった『肯定』は、スキンシップです。
スキンシップは、感情の脳を落ち着かせる効果があります。
また、スキンシップによって脳内に「オキシトシン」と呼ばれる愛情ホルモンが分泌され、不安やストレスが和らぎ、心身ともにリラックスできるといわれています。
寝る前に、子どもに「大好きだよー」と伝え、首や背中を優しくマッサージしてあげます。
寝る前だけではなく、肩や背中に触れたり、頭をなでたりと子どもが嫌がらないかぎり、スキンシップを増やすこともお勧めです。
②ポジティブな会話をする
記憶が定着しやすい時間は寝る前といわれています。
寝る前にポジティブな記憶を増やしてあげることも効果があります。
「今日あった楽しかったこと、嬉しかったことのベスト3」を話す。
ハッピーエンドで終わる絵本を読むなどもお勧めです。
ママとのスキンシップ、会話で、ネガティブな記憶よりもポジティブな記憶を増やして、ストレスが溜まった脳を落ち着かせましょう。

5.少しずつ安心して夜眠れるようになった息子の様子
我が家では、毎晩のルーティンとして、
1.息子の「楽しかったことベスト3」を話す
2.ハッピーエンドの絵本を読む
3.背中を優しくマッサージする
この3つを取り入れました。
不安が強い子どもにとって、毎日同じ流れで過ごすことは、気持ちを落ち着かせる助けになります。
続けていくうちに、息子も少しずつリラックスして、安心して眠れる日が増えていきました。
布団に入るのを嫌がる日には、「眠らなくてもいいよ」「ちょっとママとお話ししよっか」と声をかけると、無理なく布団に入れるように。
また、好きな香りのフレグランスや、お気に入りのブランケットも、安心感を与えるアイテムとして役立ちました。
今では、絵本の途中で眠ってしまうこともあり、ルーティンを全部やらなくても眠れる日も出てきました。
わが家の経験が、同じように眠りに悩む方のヒントになればうれしいです。

執筆者: 木村まい
発達科学コミュニケーション アンバサダー