上の子が不登校になり、下の子が「お姉ちゃん(お兄ちゃん)だけ休んでずるい!」と言い出すのは、心の中に不安や不満を抱えているサインです。下の子の気持ちに寄り添いながら、上の子へのケアもどう対応すべきか解説します。
1.不登校のきょうだいが「ずるい!」お母さんが抱える不安
上の子が不登校になると、お母さんはその子への対応やこれからの進路をどうしたら良いのかと悩み、不安を抱えることが多いと思います。
しかし下の子がいる場合、上の子以外のケアも必要になるため、お母さんはさらに大変な状況になることもあります。
下の子は「お姉ちゃん(お兄ちゃん)だけ休んでずるい!」などと言い出すことはありませんか?
もしそう言っていたなら注意が必要です。
不満を放置していると、下の子まで「幼稚園休みたい」「行きたくない」と言うかもしれません。
今回は、下の子の気持ちに寄り添いながら、不登校の上の子とどう向き合い対応すべきかを解説します。

2.不登校のきょうだいを見た下の子の「ずるい!」にどう対応する?
我が家は3人きょうだいの一番上の娘が1年生の時から行き渋りを繰り返し、3年生で不登校になりました。
家ではあまり勉強もせずダラダラと過ごすことが多いので、それを見た6歳の年長の息子が「お姉ちゃんだけ休んでずるい!」「今日は休みたい!」と言うことが増えました。
そして不登校の上の子に対して、事あるごとに嫌味を言うようになってしまいました。
「学校に行ってないからゲームができていいね」
「学校ぐらい行けよ!」
その嫌味が娘の肯定感を下げていないかと、いつもヒヤヒヤしています。
そんな娘のことを「ずるい」と思っている息子に、どのように対応してあげるべきなのかわからず困ってしまいました。

3.不登校が「ずるい!」に込められた下の子の本音とは?
「ずるい!」と思う背景にはどのような思いがあるかを考えてあげる必要があります。
●「僕も本当は行きたくないけど頑張って幼稚園に行っている」
→下の子は、自分が我慢しているのに上の子だけが休むのを不公平に感じている場合があります。
●「お姉ちゃんのせいで親が自分を見てくれない」
→上の子への対応に追われるお母さんを見て、「もっと自分も見てほしい」と思っていることがあります。
●「自分もお母さんに甘えたい」
→上の子に時間やエネルギーが取られていると感じ、自分がないがしろにされていると思うこともあります。
心の中でこのように考えている場合、まずはこの不満や不安な気持ちを受け止め、心を満たしてあげることが大切です。

4.下の子の気持ちを大切にするための対応方法とケアのポイント
①不登校になった理由をポジティブにする
下の子が「なんでお姉ちゃんは学校に行かないの?」と思ったときに備えて、不登校の理由を否定的に話さないようにしましょう。
「お姉ちゃんは今、元気がなくなっているから、家で元気を取り戻しているところなんだ」
「学校に行くとお腹が痛くなっちゃうから、早く良くなるように今は休んでいるんだよ」
決して「サボっているわけではない。」「怠けているわけではない」と説明すると、下の子が不平不満を感じにくくなります。
②幼稚園に行っている下の子のケア
親は不登校の上の子に目を向けがちになりますが、それと同じくらい、下の子にも十分なケアが必要です。
「あなたのことも見ているよ!気にかけているよ!」と下の子に感じてもらえるような対応をしましょう。
・幼稚園での不安、不満なことを聞いてあげる
・下の子と一緒に遊んだり、二人きりになる時間を作る
・下の子にご飯のメニューを決めてもらうなど特別な役割を与える
③上の子を尊敬させるような雰囲気を作る
「学校に行けない人はダメだ」と下の子が思っているような発言がみられたり、または下の子が嫌味に言うことがあるのなら、上の子を尊敬させるような工夫が必要です。
例:
「お姉ちゃんは絵や字がとても上手なんだよ」
「お姉ちゃんは計算もできてすごいね」
「お姉ちゃん一緒に遊んでくれてありがとう」
家族で上の子の得意な部分を褒めると、下の子の見方がポジティブになり、嫌味や不満が減ります。
④気をつけたい言葉
不登校の上の子の前で「あなたはいつもがんばっているね」「幼稚園に行けてえらいね」と下の子を褒めるのはやめましょう。
不登校の上の子にプレッシャーを与える可能性があります。
「幼稚園お疲れさま」
「今日はかけっこしたんだね」
「幼稚園ではそんなことがあったんだね」
と事実を認めてあげることだけに留めましょう。
④休むこと=悪ではない
お母さんが幼稚園や学校を休むことを悪いことと思っていると、もし下の子が休みたいと言った時には「行かせなければ!」「休み癖がついてしまう」と焦ってしまいます。
しかし、大人でも疲れた時に休みたいと思うことがありますよね。子どもも同じです。
「休みたい」と子どもが言った時に「たまにはいいか!その代わり今日だけね」と言ってあげると、子どもは「お母さんが気持ちをわかってくれた!」と信頼関係が深まります。
その日を普段できないことをして遊んだり、たっぷりと親子時間を過ごせば、心も満たされ「明日からまたがんばろう」と気持ちをリフレッシュできる機会にしましょう。
親が「少し肩の力を抜いても大丈夫」と思えると、子どもたちにもその余裕が伝わります。
特に、下の子が休みたいと言ったときは、その気持ちを受け止め、親子で特別な時間を楽しむことで、心を満たしてあげましょう。
家庭全体で安心できる環境を作ることで、不登校のきょうだいを取り巻く状況は少しずつ良い方向に進むはずです。
焦らず、子どものペースに寄り添っていきましょう。

執筆者:豊泉 えま
発達科学コミュニケーション トレーナー