不登校の子どもを父親が怒ってしまう。その間で板挟みになり辛いママはいませんか?パパも「なんとかしなきゃ」と焦りや戸惑い、どう接していいかわからず不安なのです。今回はママ主導でパパを不登校の子どもの良き理解者にするための3つのステップを紹介します。
1.不登校の子どもと怒る父親の板挟みで辛いママはいませんか?
学校に行けない子どもに、夫が「甘えるな」「いつまで休むんだ」と怒る——。
そんな家庭の中で、ママが子どもの気持ちと夫の板挟みになって苦しむケースは少なくありません。
ママであるあなたは、夫に
「子どもの気持ちをわかってやってほしい」
「ただでさえ子どものことで悩んでるのに、私を板挟みにして余計苦しめないでよ!」
と思っていませんか?
もしくは、心のどこかで「夫の気持ちも理解できる」と感じている人もいるのではないでしょうか。
夫は決して子どもを傷つけたいわけではなく、
「このままでは将来この子が困る」
「俺が言い聞かせて何とかしなければ」
という思いを、ただキツい言い方や怒りでしか表現できないのです。
まさにそんな状況だった我が家のパパが、どんな風に子どもを理解し、2人でお出かけできるようになっていったのか、3つのステップをお伝えします。

2.毎晩子どもに「今日学校行った?」と確認する夫にうんざり
「今日は学校行ったのか?」
「いい加減に行かないとダメだぞ!」
仕事から帰宅するなり、玄関先で夫が開口一番に子どもへそんな言葉をかける——。
我が家では毎晩の恒例行事でした。
ママである私としては、「そんな言い方をしたら逆効果なのに…」と分かっていても、イライラしている夫の言葉を止めるタイミングもまた難しいのです。
「パパは毎日仕事がんばって帰ってきてるんだよ」
「なんで◯◯(子どもの名前)は学校も行かずにゲームばっかりしてるんだ!」
とリビングでもそんな会話ばかり。
夫にしてみれば、「父親として何か言わなきゃ」との思いからの言葉。
しかし、子どもにとってはプレッシャーでしかなく、「パパ怒るから帰って来るのイヤだな…」とますます夫に心を閉ざしていきました。
こうした日々が続き、ただでさえ1日中子どもといて疲れている私の心もますます落ち込んでいったのでした。

3.なぜ父親は不登校に厳しいのか?
父親が不登校の子どもに厳しくなってしまう背景には、さまざまな心理があります。
●子どもの将来への不安
「この子はこのままでは社会で通用しないのではないか」
「将来困るのではないか」
「ちゃんと立ち直れるのか」
そんな心配が、怒りや焦りとして表に出ます。
●父親自身の経験との比較
自分が子どもの頃に「つらくても頑張ってきた」「学校に行くのは当然だった」と思っている父親ほど、不登校が「甘え」に見えがちです。
けれども、現代の子どもたちが置かれている環境や感じるストレスは、当時とはまったく違います。
「昔と今を同じ物差しで測ろうとせず、”今の子どもたちが感じている苦しさ”に目を向けることが大切だとニュースでも言ってたよ」
など、不登校が急増している背景なども踏まえて夫に伝えてみると効果があるかもしれません。
●育児への関与の少なさ
仕事が忙しく、普段あまり子どもと関わる時間が取れない父親は、不登校という事態に直面したとき、どう対応すればいいのか分からず混乱してしまいます。
この「どうしたらいいかわからない」という戸惑いが、無意識のうちに怒りへと変わることがあります。
●世間体への意識
「うちの子が不登校だなんて知られたくない」
「周りにどう思われるか気になる」
という思いも、子どもを責める原因になりやすい感情です。
しかし、不登校は「親のせい」でも「子どもの怠け」でもありません。
家庭の中でどう受け止めるかが、回復の第一歩になります。
パパも本当は、「どうしたらいいのか分からない」だけなのです。
その不安や戸惑いを、ママがまず理解してあげることが、次のステップにつながります。

4.父親を良き理解者にするための3つのステップ
ここからは、ママ主導でパパを子どもの良き理解者に導くための3つのステップを紹介します。
ステップ① 怒りの裏にある“気持ち”を理解し、夫婦は同志であることを再確認する
まずは「怒りは不安の裏返し」と捉えること。
パパは本来ママの悩みを助長させる”敵”ではなく、子どもを一緒に育てる同志のはずです。
パパが怒るのは、子どもを愛していて「心配だからこそ」。
「あなたも不安なんだね」「どう関わればいいか分からないよね」と、ママが気持ちを言葉にしてあげるだけで、夫の心は少しずつほぐれていきます。
そして、
「私もそうやってイライラして怒ったりしたけど効果がなかったんだよ」
「だから別のいい方法を探して勉強しているの」
と伝え「一緒に協力していこう」とチームを一致団結させるような気持ちで会話をしていきましょう。
ステップ② 子どもの気持ちに寄り添う方法を伝える
「無理に登校を促すのではなく、学校を嫌がっている時はまず家庭内で“安心の土台”をつくることが大切なんだって」
「頭ごなしに怒ったり、否定したりすると、子どもは自分の存在そのものを否定されたように感じてしまうから逆効果らしいよ」
とママからパパに伝えましょう。
●パパに伝えておきたい!怒られた子どもが感じること●
父親からの叱責は、子どもに大きな影響を与えます。
自己肯定感の低下:「自分はダメな人間だ」と思い込み、自信を失ってしまう。
親への不信感:「話しても怒られる」と感じて本音を隠すようになる。
嘘や隠し事の増加:怒られないように、正直に話すことを避けるようになる。
引きこもりの長期化:家にも居場所がないと感じ、さらに殻に閉じこもってしまう。
つまり、「叱ることで何とかしよう」とするほど、子どもは心を閉ざしてしまうのです。
●パパに伝えておきたい!“聞く姿勢”が信頼を生むということ●
父親が取るべき第一歩は、「無理に登校を促さない」ことです。
「行きたくない」という子どもの言葉を否定せず、「今は休んでもいいよ」と受け止めることで、子どもは安心感を得ます。
また、「どうして行きたくないの?」と問い詰めるよりも、「何かあったらいつでも話してね」と伝え、子どもが話したくなるまで待つことが大切です。
すぐに答えを求めず、ただ“聞く”ことが、信頼関係を取り戻す第一歩になります。
まずはママがその実例を見せていくことで、パパも少しずつ子どもの気持ちを理解し、態度を変えることができるようになります。
ステップ③ パパと子どもが一緒に行動する時間を増やす
休日に散歩へ誘ったり、コンビニまで一緒に出かけてアイスを買って帰ったり、短い時間でも「共に過ごす」ことが大切です。
パパが「何を話していいか分からない」と言うなら、「無理に話さなくてもいいよ、ただ一緒にいるだけでいいんだよ」と伝えてあげてください。
子どもにとっても、「パパと一緒にいても安心できる」という体験が何よりの回復につながります。

5.休日は仲良く2人でお出かけできるようになりました!
ママの私がまず夫の不安を理解し、少しずつ子どもへの関わり方を伝えていった結果、以前は「学校くらい行けよ!」と怒っていたパパも穏やかになってきました。
今では週末が近づくと「日曜日はどこに行く?」と声をかけ、子どもと2人で買い物や銭湯に出かけるようになりました!
子どもも「パパと温泉行くの楽しい!ソフトクリームも買ってくれるし!」と楽しみにするようになり、家庭全体が穏やかな雰囲気に。
平日毎日子どもと過ごす私も、少し子どもから離れて息抜きができるようになったのです!
父親が“良き理解者”へと変わることで、子どもも家の中に安心できる居場所を取り戻し、ママもリフレッシュできるようになります。
父親が怒るのは、子どもを思うがゆえ。
でも、その愛情を子どもに伝えるためには、まず“理解”が必要です。
ママが橋渡しとなって、父親と子どもの間に信頼の輪を広げていけば、家族みんなが少しずつ前へ進むことができるのです。
我が家の経験が少しでも参考になれば嬉しいです。

執筆者:しまたに あすみ
発達科学コミュニケーション アンバサダー