「不登校ずるい!」と言われて傷つく子どもも、そう言ってしまう子も、どちらも苦しい思いをしています。双方の気持ちを理解し、不登校の子どもを守りながら、そう言ってしまう子にも寄り添う優しい対応法を紹介します。
1.「不登校ずるい!」と言われたことありませんか?
「○○ちゃんは学校休めてずるい!」
「ゲームばっかりできていいな!」
そんな言葉を言われたことはありませんか?
不登校の子どもを育てていると、この「ずるい」という言葉が心に突き刺さる瞬間があります。
子どもがようやく笑顔を見せてくれた矢先に、友達の何気ないひとことで涙ぐんでしまったり…。
ママとしては「そんなこと言わないで」と思う一方で、
「どうしてうちの子ばかり責められるの?」
「あなたは来れてるからいいじゃない!」
とやりきれなくなってしまうこともあるでしょう。
でも実は、「ずるい」と言ってしまう子も、その子なりのしんどさを抱えているのかもしれません。
この記事では、不登校の子を守りながらも、相手の子にも優しさを向けられる関わり方について一緒に考えていきましょう。

2.「不登校ずるい!」と言われる子どものことだけを心配していました。
久々に登校できた日。
学校でクラスメイトに会うと「不登校ずるい!」と言われてしまった・・・
「そんなこと言われたら子どもが傷ついてしまう!」
「今日はやっとの思いで来れたのに、余計なこと言わないで欲しい・・・」
ママの心は、まずわが子を守る方向に動きます。
当然のことです。
不登校の子どもは、学校に行けない自分を責めていることが多く、誰かに「ずるい」と言われることで、「やっぱり自分は悪い子なんだ」と感じてしまうこともあります。
そんなわが子の姿を見て、ママは
「仕方ないじゃない」
「あなたは来れてるからいいよね・・・」
と心の中で思い、つらくなるものですよね。
私たちはつい、「不登校の子どもを守らなきゃ」と思うあまり、相手の子の気持ちを考える余裕がなくなってしまいがちです。
でも実は、そう言ってしまう子にも「ずるい」と言うことで「自分を守る理由」があるのです。

3.ずるい!と言ってくる子どもの心境
「ずるい!」という言葉の裏には、いろんな感情が隠れています。
たとえば――
・毎日学校に行っているのに、行けない子が認められているのが納得できない
・自分も本当は休みたいけど、我慢している
・先生や親が不登校の子を特別扱いしているように見える
・友達が学校に来てくれなくて寂しく思っている
つまり、「ずるい」と言ってしまう子どもも、心のどこかで頑張りすぎていたり、満たされない気持ちを抱えているのです。
不登校の子どもがつらいように、学校に通い続けている子たちにも、それぞれの苦しさや頑張りがある。
それを理解できると、「どちらかが悪い」ではなく、「どちらも一生懸命なんだ」と思えるようになります。

4.子どもが学校に行けない理由を伝えながら相手を称えよう!
では、実際にどんなふうに伝えればいいのでしょうか?
もしも相手の子やその保護者から「なんで行けないの?」と聞かれたときには、
「なんでかなぁ。集団生活が苦手なのかも・・・」
などとやわらかく伝えてみましょう。
そして大切なのは、「あなた(相手の子)もがんばってるね」と言葉を添えること。
たとえば、
「毎日学校行けてるんだね!」
「朝早くからがんばって行ってるの知ってるよ」
というひとことがあるだけで、「ずるい」と感じていた子の心がふっと緩むことがあります。
不登校の子どもを理解してもらうために、相手を責める必要はありません。
むしろ、「あなたもがんばってる」「うちの子もがんばってる」と両方を認めることが、子どもたちの関係を少しずつ温かくしていきます。

5.どちらも頑張ってるんだ!という考え方
「不登校の子ども」と「学校に通っている子ども」。
この2人は、違う場所で頑張っているだけです。
学校に行けない子は、心の整理やエネルギーをためるために日々努力しています。
一方、学校に通う子は、人間関係や授業、集団生活に耐えながら精一杯頑張っています。
「どちらが正しい」「どちらが偉い」ではなく、どちらもそれぞれのペースで生きている――そう思えるだけで、親の心もふっと軽くなります。
ママが「どちらもがんばってる」と思えると、その姿勢は子どもにも伝わります。
「ぼくもがんばってるし、あの子もがんばってるんだね」と思えるようになるのです。
不登校の子を守ることと、言ってくる子に寄り添うこと。
この2つは、相反することではありません。
どちらも理解しようとすることで、子どもたちの世界が少しずつやわらかくなっていきます。
まとめ
「不登校ずるい!」という言葉には、たくさんの心の声が隠れています。
その言葉を真正面から受け止めず、 「どちらの子も頑張っている」という視点を持てると、関係が少しずつ変わっていきます。
ママができることは、
・わが子の気持ちをまず大切にする
・「ずるい」と言う子のしんどさも少し想像してみる
・どちらも頑張ってるね、と言葉にしていく
この3つだけでも十分です。
子どもたちは、大人のまなざしをよく見ています。
ママがどちらの子も認めてあげる姿を見せることで、「違いを受け入れる力」が少しずつ育っていくのです。

執筆者:しまたに あすみ
発達科学コミュニケーション アンバサダー





