こだわりが強い子どもはASD傾向があるの?わがままとは何が違う?癇癪が増えて毎日つらい…そんなママへ、ASDグレーゾーンの専門家が原因・特徴・正しい対応を実体験とともにわかりやすく解説。今日からできる関わり方も紹介します。
1.こだわりが強い子どもは「わがまま」ではない!
結論から言うと、こだわりが強い子どもは決してわがままではありません。
そこには「その子の脳の特性」が深く関わっています。
自閉スペクトラム症(ASD)傾向のある子どもは
・変化を受け入れることが苦手
・“いつも通り”が安心
・情報処理に時間がかかる
というこだわりの裏にある“脳の特性”を持っています。
大人には「そんなこと?」と思える些細なこだわりでも、子どもにとっては“安心を守るための絶対ルール”なのです。
ASD傾向の子どもは、「予測できないこと」や「曖昧な状況」が不安に直結します。
そのため
・決まった順番で登園したい
・お皿の柄が違うと食べられない
・服のタグや素材に敏感
などの行動が表れます。
これは不安に対処するための“安心行動”であり、わがままとは本質的に違います。

2.筆者の実体験:息子のこだわりに毎日悩んだ日々
私はASDグレーゾーンの子どもの発達支援を行う専門家ですが、実は、我が子のこだわりに悩み続けた一人でもあります。
息子は幼いころからこだわりが強く、特に5歳の頃は酷くなりました。
・積み木が1ミリずれても最初からやり直す
・靴下の縫い目が気になり登園できない
・想定外のことが起きると泣き叫ぶ
そのたびに家の中が緊張感に包まれ、私も常にイライラしながら子育てをしていました。
息子が癇癪を起こすたびに
機嫌を損ねないように…
不満を言わせないように…
地雷を避けるように…
必死になっていました。
しかしその結果、私はますます疲れ果て、息子も安心できず癇癪は増えるばかり。
この経験が、私が専門家としての学びを深めるきっかけになりました。

3.こだわりが強い子どもの特徴とよくある行動例
こだわりが強い子どもには、いくつか共通する特徴があります。
◆「順番」「見た目」「手順」に強いこだわり
(例)
お風呂→歯磨き→就寝の順番が変わると泣く
いつものコップじゃないと飲めない
カレーの具の大きさがいつもと違うと拒否
◆予想外の変化に弱い
(例)
時間割で急な予定変更があると混乱
親の言い方が普段と違うだけで不安になる
◆思い通りにいかないと癇癪になる
脳の処理が追いつかず、「どうしたらいいか分からない」
→ 泣く・叫ぶ しかできない状態になりやすい。
これらは甘えでもワガママでもありません。

4.こだわりが強い子への正しい対応5つ
ここからは、今日からできる対応を5つ紹介します。
①まずは気持ちを言葉に代弁する
「このコップじゃないと嫌だったんだね」
「順番が変わってびっくりしたんだよね」
子どもは自分の気持ちをうまく言語化できません。
まずは気持ちの代弁が最大の安心材料になります。
② 選択肢を2つに絞る
「①赤いシャツ、②青いシャツ、どっちにする?」
多すぎる選択肢は混乱のもと。
2択がもっとも落ち着きます。
③ 見通しを言葉と視覚で伝える
「あと5分したら片付けね」
「今日はこの順番で行くよ」
時計・イラスト・タイマーなどを併用するとより効果的です。
④ ルールより「安心感」を優先
「ルールだから!」より、まずは“その子の安心”を整えるほうがうまくいきます。
安心できて初めて、子どもはルールを守れるようになります。
⑤ がんばれた部分を具体的に褒める
「順番変わったのに泣かずにいられたね!」
「自分で選べたね!」
「できた部分」だけを切り取り、短く具体的になるべくたくさん褒めてあげましょう。

5.こだわりが強い子を育てるママへ:今すぐできる行動
こだわり対応に正解はありません。
だからこそ、以下を意識することが大切です。
・完璧に対応しようとしない
・困ったら一旦距離を置いて深呼吸
・パパや家族と役割を分担する
また、うまくいかない日の“リセット習慣”も身につけておくとよいでしょう。
・好きな飲み物を飲む
・子どもが寝た後に1人の時間をつくる
・「今日はよく頑張った」と自分を褒める
育児は毎日の積み重ね。
リセットができるママほど長期的にラクになります。
こだわりの強さは「その子の個性」
こだわりが強い子どもは、環境や声かけを整えるだけで、ぐんと落ち着いていきますよ。

こだわりの強い子への対応は、以下の記事でも知ることができます。






