不登校の高学年の子がお風呂に入らないのはなぜ?動けないときに試したい3つのステップ

不登校の高学年の子がお風呂に入らないのはなぜ?動けないときに試したい3つのステップ
不登校や強いストレスを抱える高学年の子がお風呂に入らないのは、怠けではなく、脳が省エネモードのサインかもしれません。「安心の確保」「負担を軽くする」「ワクワクをセット」の3ステップで、子どもが自分から浴室へ向かいやすくなる工夫をご紹介します。
 
 

1.「お風呂に入らない」は怠けではなく、脳が自分を守っているサイン

 
 
不登校や強い不安を感じているとき、お風呂がひどく億劫になる子がいます。
 
 
そしてそれは、親にとっても見守りにくい悩みの一つかもしれません。
 
 
「毎日必ず入らなきゃダメ!」と強く思っているわけではなくても、何日も続くとお母さんとしては心配とモヤモヤがじわじわ積み重なっていきますよね。
 
 
特に高学年ともなると、親が手伝うわけにもいかず、本人の意思に任せるしかない分、なおさらどう声をかけたらいいのかと悩んでしまうと思います。
 
 
清潔のこと、体調のこと、明日の予定のこと。
 
 
「入ってほしい」と思うのはごく普通の気持ちです。
 
 
例えば、こんなことはありませんか?
 
・「今日はお風呂どうする?」と聞いても、「うーん…」という返事だけで終わる
・怒りたくはないけれど、返事だけのまま何時間も過ぎていき、内心ため息が出る
・明日は外出するのに大丈夫かな…と、本人よりお母さんの方がハラハラしてしまう
・無理強いはしたくない。
 でも行動につながらない様子を見て、このままでいいのかとモヤモヤしてしまう…
 
そういう日が続くと、声をかける側もしんどくなります。
 
 
「言いたくないのに言ってしまいそう」そんな気持ちになるのも、自然なことだと思います。
 
 
実は、お子さんがお風呂を拒むのは怠けているからではなく、脳がこれ以上エネルギーを使わないように、自分を守っているサインなんです。
 
 
脳が「省エネモード」に入っているときは、正論や気合いで動くのが難しくなります。
 
 
だからこそ、まず「安心の確保」をして、それから「負担を軽くする」そして「ワクワク」をセットする。
 
 
この順番で関わると、子どもが自分から動きやすくなることがあります。
 
 
悩む女性
 
 

2.布団から一歩も出られなかった息子

 
 
私には、自閉スペクトラム症(ASD)のグレーゾーンの息子がいます。
 
 
以前から不登校傾向があり、小学5年生のときにうつのように見えるほど、ぐっと調子が落ち込んだ時期がありました
 
 
当時は学校のことに限らず、息子にとって心が休まらない出来事が重なっていて、脳が省エネモードに入りやすい時期だったのだと思います。
 
 
一歩も外に出られなくなり、お風呂に入ることも難しくなった息子。
 
 
食欲も減り、顔色も冴えず、行動すること全般が億劫になっている様子でした。
 
 
布団の中でゲームやYouTubeばかりになり、私が声をかけても無言か「うーん……」と生返事をするだけ。
 
 
何度声をかけても動けない息子を前に、戸惑う日々が続いていました。
 
 
ただ時間が過ぎていくのを静かに見守るしかない中で、息子のただならぬ様子を見て私は、息子がサボっているのではなく「動きたくても、動けない状態」なのだろうと感じていました。
 
 
わが家の場合、なぜお風呂がつらくなったのか。
 
 
次に、考えられる理由を整理します。
 
 
不調
 
 

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3.なぜお風呂がつらい?発達特性×ストレスで起きやすい2つの理由

 
 
お風呂がネガティブなイメージになり、足が遠のいてしまうのには理由があります。
 
 
特に高学年の不登校傾向にある子の場合、特性による感覚とストレスによる脳のエネルギー不足が複雑に絡み合っていることもあるようです。
 
 
ここでは、我が家なりに感じた2つの視点で整理します。
 
 

♦①お風呂が「苦痛な場所」になっている(感覚過敏)

 
発達特性のあるお子さんの中には、感覚が非常に敏感な子がいます。
 
 
シャワーの音が耳に突き刺さるように痛いと感じたり、お風呂特有の籠もった匂いが苦手だったりすることも。
 
 
親にとっては心地よいと感じる環境でも、お子さんにとっては苦痛な場所になっている可能性もあります。
 
 
お風呂場は音が反響しやすく、シャワーの刺激や温度差など、実はたくさんの刺激がある場所です。
 
 
本人がうまく言葉にできなくても、「なんとなく嫌」「近づきたくない」という拒絶反応として表れることがあります。
 
 
わが家も小さい頃は感覚の面で刺激を強く感じやすく、もともと「お風呂が大好き!」というタイプではありませんでした。
 
 

♦②脳が省エネモードで、動く元気が残っていない

 
何をするにも億劫で心がしんどい時期は、脳がエネルギー切れを起こしているような状態といえます。
 
 
お風呂に入るには、「今やっていることをやめる→移動する→脱ぐ→洗う→拭く→着る→乾かす」と、切り替えの連続が必要です。
 
 
特に高学年になると、自分1人ですべての工程をこなさなければなりません。
 
 
切り替えが苦手な子ほど、この工程の多さを考えるだけで「やーめた!」となりがちで、動き出すためのエネルギーが湧いてこないのです。
 
 
わが家でも子どもに確認してみると、調子が落ちた時期は「しんどくてめんどくさい」が一番大きかったようです。
 
 
だからこそ、まずは安心を貯めて、負担を減らしながら「これならできそう」を少しずつ増やしていく工夫をしていきました
 
 
ステップの積み木
 
 

4.脳を動かす3ステップ:「安心の確保」→「負担を軽くする」→「ワクワクをセット」

 
 
息子の様子をよく観察し、原因が強いストレスによる不安とエネルギー不足にあると気づいた私が意識したのは次の3つでした。
 
 
・まずは「安心の確保」で、脳を休ませる
・次に「負担を軽くする」で、動き出しのハードルを下げる
・そして「ワクワクをセット」して、行動といい記憶をつなげる
 
 
ここから、わが家で実際にやったことを具体的に書いていきます。
 
 

ステップ① 安心の確保:まずは脳を休ませる

 
まずは、心に元気を貯めることを意識しました。
 
 
お風呂も含め、日常の些細な動作ができない日があっても見て見ぬふりをして、注意や指摘は控えました
 
 
日常のできていることに注目し、「〇〇しているんだね」と、穏やかで優しい声を意識して声かけをしていきました。
 
 
息子に「今どんなゲームをしているの?」と質問して、「そうなんだ~、もっと教えて!」と興味や関心を示して教えてもらったり、一緒にゲームをして、雑談もたくさんしました
 
 
その上で、家の中の刺激や緊張を少しでも減らせるように、過ごし方や動線を調整しました。
 
 

ステップ② 負担を軽くする:ハードルを下げて動き出しを助ける

 
「お風呂=嫌な場所」という心理的な壁を取り払うために、Switchやスマホを持ち込むことをOKにしました。
 
 
「お風呂に行く前に、脱衣所で好きなものを見てていいよ」と伝えると、気持ちが軽くなったようで、まずは脱衣所まで動けるきっかけになりました。
 
 
ここで私が意識したのは、「入る・入らない」の二択にしないことです。
 
 
たとえば、こんなふうに声をかけました。
 
 
・「まずは脱衣所まで行けたらOK」
・「今日は髪は洗わず、体だけ流すのもありだよ」
・「湯船に入る?シャワーだけにする?好きなほうでいいよ」
 
できた日はそれで十分。
 
 
「短くてもいい」「全部じゃなくていい」と思えるだけで、動き出しのハードルが下がっていきました。
 
 

ステップ③ ワクワクをセット:心地よさでいい記憶を作る

 
息子は、好きな香りだと気持ちが落ち着きやすいところがありました。
 
 
そこで、入浴剤を私が決めるのではなく、本人が選ぶ形にしてみました。
 
 
「今日はどの匂いにする? 」 そう言って一緒に選び、自分でバスタブに入れる。
 
 
この「自分で決める」体験を少しずつ増やしていく、子どもは行動しやすくなっていきます。
 
 
そして最後に、私はこんなふうにも伝えました。
 
 
「短くても、入れたらそれで十分だよ」
 
 
これを繰り返すうちに、息子の中で「お風呂は心地よい場所なんだ」というポジティブな記憶が少しずつ作られていきました。
 
 
OKと手で合図を送る女性
 
 

5.常識をゆるめたら、子どもが自分で動き出した

 
 
ある日、息子が「今日のお風呂、おいしい匂いだった〜!」と笑いながら、ウキウキで脱衣所から出てきました
 
 
それからは、自分でタイミングを決めてサッとお風呂へ向かえるようになり、いつの間にか、こちらがきっかけを用意しなくても入れる日が増えていきました。
 
 
お風呂という難所を自分でクリアできた経験が、息子にとって自信につながったようで、これまで時間のかかっていた日常のあらゆる動作が、少しずつスムーズに回り始めました。
 
 
常識にとらわれず、子どもにとって「楽しい」「心地よい」といったポジティブな感情と行動をセットで積み重ねていく
 
 
それが遠回りに見えて実は一番の近道なのだと実感しています。
 
 
ネガティブな記憶を溜め込みがちな子には、小さな「できた」というポジティブな記憶を少しずつ重ねていけるように、できる範囲で一緒に工夫していけたらいいですね。
 
 
できるところから、ぜひ試してみてくださいね。
 
 
笑顔の男の子
 
 

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執筆者:たかなし りら
発達科学コミュニケーション トレーナー
 
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