皆さんは「小規模特任校」の存在を知っていますか?とても恵まれた環境で子どもの発達を促すことができる学校です。私が母子登校が辛くなった時に親子で力を蓄えることができた場所でもあります。新しい学びのスタイルとして興味を持って頂けると幸いです。
1.母子登校がつらい!ママが登校拒否
母子登校という言葉だけを聞くと、お母さんと一緒に学校まで行くというイメージがあると思います。
また、それに加えて授業中も子どもに付き添うことも母子登校と呼ばれます。
毎朝、一緒に学校へ行くことだけでもしんどいですが、一日中子どもの授業に付き添うことがどれだけつらいことか…。体験された方にはよくよく理解できると思います。
教室では、
授業中は廊下や教室の後ろで立ちっぱなし。
トイレに行きたくても我慢。
体育などの移動がある授業でも一緒についていく。
これが毎日続くと本当にしんどいんです…。
そして、冬の廊下は寒すぎるし、お腹が減っても学校では飲食はできないので、これがまたつらい…。
何よりも、一日中付き添っていると、お母さん自身の時間がまったくなくなることが一番のストレスになります。
私はこのような生活を1年以上経験しました。その間、体力的なつらさに加えて、精神的にもとてもつらい想いをしました。
毎日他の子どもたちの様子を見ていると、
・毎朝、ひとりで学校へ行ける子どもたち。
・普通に授業を受けている子どもたち。
・学校でも楽しく過ごせている子どもたち。
わが子と比べては、焦りと羨ましさで胸が張り裂けそうでした。
もういろんな想いが絡み合ったある日、私は学校に行けなくなり登校拒否をしてしまったのです。
息子には、「もう学校へ行かなくていいよ」と伝え、実家へ逃亡しました。
もうこれ以上、頑張る力が全く残っていなかったのです…。
2.小規模特認校との出会い
気力も体力もなかったため、息子と実家でしばらくゆっくり過ごそうと思って帰省すると、私が通っていた母校が「小規模特任校」として新たな役割を担う学校へと生まれ変わっていました。
もうこれは運命でしかない!と思い、小規模特認校を利用するためにはどのようなことが必要なのか調べることにしました。
小規模特任校とは、自然豊かな環境に恵まれた小規模校を中心に、特色ある教育を展開して、学区外からでも入学を許可することのできる学校のことを指します。
文部科学省が、平成9年の教育改革プログラムの中で、児童数が減少し存続が危ぶまれる小学校において、小規模の良さを活かした「特色ある学校運営」を進める場合に限り、「小規模特認校制度」を制定したことから始まりました。
今は、この制度を用いた、小規模の小学校、中学校が多くあります。
学区外からでも入学が許可されるので、誰にでも体験できる権利があたえられているのです。
しかも、大自然に囲まれた学校なので体験型学習が多く、分離不安っ子の脳を発達させる理にかなった環境が用意されています。
そして、小規模校のため大人数が苦手な分離不安っ子にとっては、自分らしくいられる場所となり、先生方による一人ひとりに合わせた手厚い指導を受けることが大きなメリットだと思います。
急に田舎へ移住できない!と思われる方もいると思いますが、空き家提供の制度があったり、一時的な体験入学も実施しており住民票を移さなくても短期間のお試しすることもできます。
3.体験学習で自信をつけた息子
実際に利用することで、以下のような条件を満たしてもらえることになりました。
・住民票を移さずに、2週間だけの体験入学に申し込みが可能。
・在籍している学校との連携で小規模特認校に通っている間は出席扱いとなること。
とても手厚くサポートしていただけることが分かり、安心して通い始めることができました。
とにかく自然が豊かな小規模特認校なので、普段の学校では味わうことができないような非日常的な体験が盛りだくさんでした!
・朝の準備は植物や野菜のお世話から始まりのんびり
・畑で育てた野菜を使ってカレーを作る
・異年齢の交流が盛んなため、幅広いコミュニケーションを図ることができる
・授業以外の活動時間が多くあり、子どもの得意を伸ばせる
・そば打ち体験などの体験型学習が豊富
・チャイムがないので時間感覚を自ら育める
など、これ以外にも書ききれないほどの体験をすることができました。どれも子どもの発達を促すことばかりです!
環境変化に弱い息子ですが、緊張しながらも私と一緒に新しい環境へ飛び込むことができ、あっという間に2週間が過ぎて行きました。
新しいお友達はすぐにできて、都会では体験できないような経験をたくさん積むことができました。
また少人数ということもあり、授業も息子のペースに合わせてすることができ、かなり自信がつきました。
とても素晴らしい環境で過ごすことができたので、私たちはこの制度を小1の秋と小2の春の2回、利用しました。いずれも2週間ずつお世話になりました。
4.新しい学びのスタイル
現代は、ダブルスクールといって、在籍している学校に籍を置きながら別の学校にも通うこともできます。
不登校の子どもや五月雨登校(週に1日~2日は学校を休むが、その他の日は学校へ登校している状態のこと)をしている子どもはフリースクールに通いながら、学校へたまに顔を出すことをしているお子さんもいらっしゃるかと思います。
在籍している学校だけがすべてではなく今の時代はさまざまな選択肢があり、子どもの状態に合わせて学校へ通うことができます。
その選択肢の一つに小規模特認校を入れてみるのはいかがでしょうか?
分離不安っ子の好きや得意を最大限に生かすことができる環境を与えることがダブルスクールのよいところです。
どんどん外に出て、広い視野を養うことが分離不安親子の未来を変えます!
私たち親子は、家庭の事情もあり転校まではできませんが、母子登校を卒業した今でも息子に多くの体験をさせてあげたいと思っているので、今後も定期的に利用したいと考えています。
私の経験がどなたかの参考になると幸いです。
発達科学コミュニケーション
トレーナー みやがわ あゆみ