計算式の書き写しが苦手、漢字練習が苦痛…そんな子たちは、「聴覚優位」の特性を持っているかもしれません。得意な『耳』を活かすことで、発達凸凹っ子が抱える困りごとを軽くすることができます。書き写しが苦手な子を持つママ、必見のテクニックです!
1.計算式の書き写しが苦手な子はいませんか?
うちの子は、算数の宿題で出される計算ドリルが苦手です。
なぜかと言うと、計算式をノートに書き写す必要があるから!
息子は、計算の問題そのものよりも、式の書き写しが苦手なのです。
初めの頃、私は息子のその特性に気が付きませんでした。
計算ドリルの宿題が出た日は決まって、全部終えるまでにいつもよりも時間がかかったり、途中で集中力が切れたり、「もうやりたくない!」と言って放棄したり。
「算数は得意なはずなのに、何故だろう?」と不思議に思っていました。
そんなことが続いたある日、息子の口から
「式を書くのが大変なんだよ…」という言葉を聞きました。
「え?式?問題が難しいのではなくて?」
私はびっくりしました。
そのまま書き写せば良いだけの式を書くことが、息子にとって苦痛になっているとは、思いもよらなかったのです。
実は発達凸凹っ子の中には、息子のように計算式を書き写したり、漢字をノートに練習したり、目で見たものを書くという作業が苦手な子が多いということが分かりました。
これは「目と手の協応」といい、目の動きに手の動きを合わせる力です。
息子は、この作業が苦手だったのです。
2.聴覚優位と視覚優位
息子が持つ特性「見ることへの苦手さ」が分かり、どのようにサポートしていったら良いのかを考えました。
ちょうどその時期、息子はWISCという知能検査を受けることになりました。
その結果、「耳からの情報が入りやすい」という息子の得意が分かったのです。
言われてみれば、以前から息子は、歌を覚えるのが早かったり、人の声真似がとても上手だったり、英語の発音が良かったり、『音』に対しての得意さがある子でした。
息子は、視覚よりも「聴覚が優位」な子だったのです。
この「聴覚優位」とは、目から入ってくる情報よりも耳から入ってくる情報の方が処理をしやすい脳の特性のことです。
反対に、耳から入る情報よりも目から入る情報の方が処理をしやすい特性は「視覚優位」と呼ばれます。
どちらも、脳が『どのように入ってきた情報を処理するのが得意なのか』という特性です。
これは「認知特性」と呼ばれ、誰にでもあるとされています。
多くの子どもは、聴覚優位や視覚優位の特性があっても、聴覚と視覚の両方をうまく使いこなして生活しています。
しかし、発達凸凹っ子の中には、この特性の差が大きいために困りごとを抱えている子がいます。
どちらかの特性が特に強い場合には、その子の困りごとに合ったサポートが必要となってきます。
3.得意な「耳」を活かしましょう
耳から入ってくる情報の方が処理をしやすい脳の特性を持つ息子。
その特性に合わせて、我が家で取り入れたのが『計算式の読み上げ』です!
計算ドリルの宿題が出た日は、家族が計算式を読み上げて、息子はそれを聞きながらノートに式を書いていく。
この読み上げにより、息子の計算のスピードは格段に上がりました。
元々、算数は得意な方だった息子。
計算式の書き写しという苦手が解消されたことで、進んで宿題にも取り組めるようになりました。
私たち家族も、息子が必要としているサポートが分かりました。
発達凸凹っ子の認知特性を知り、それに合った生活や学習の工夫をするということは、子どもの困りごとを理解してサポートしていく上でとても大切なことです。
まずは、我が子が何に苦手さを感じて困っているのか。
反対に、得意なことは何なのか。
それを正しく知ることから始めましょう。
子どもの特性を理解することで、その子に合ったサポートの仕方が見つかります。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
長谷川まこ