何度注意してもなくならない子どもの好ましくない行動。次第にママもイライラして、声をかけることにも疲れてしまいますよね。発達凸凹っ子のマイナス行動への対応には、ポイントがあります。マイナス行動を減らす親子のディスタンスについて、ご紹介します。
1.発達凸凹っ子の行動に振り回されて疲れてしまうママたち
我が子が何か好ましくない行動をしたとき、注意したり叱ったりすることで、子どものその行動は落ち着きますか?
一度の声かけで、ちゃんと言うことを聞いてくれますか?
時と場合にもよると思いますが、一度の注意でスッと切り替えられる子は少ないのではないでしょうか。
特に発達凸凹っ子の場合、切り替えが苦手、何かに集中すると他のことに意識が向きづらい、などの特性があるため、すぐに行動を落ち着かせるのは難しいことも多いと思います。
一度で子どもが聞いてくれないと、ママは何回か声をかけることになりますね。
そのうちに子どもの機嫌が悪くなり、騒ぎ出す、癇癪を起こすなどの暴言が出て、その結果ママも次第にイライラ、最終的に爆発する、というような場面も珍しくないのではないでしょうか。
「本当は怒りたくないのに怒ってしまう」というママもいると思います。
子どもの感情に巻き込まれずに対応できたら、ママの負担は軽減されます。
そもそも、発達凸凹っ子に対して好ましくない行動を注意したり叱ったりしても、その効果は続かないことが多いのです。
なぜ、注意や叱責は効果が出づらいのでしょうか。
その理由をご説明します。
2.否定の注目がご褒美になってしまう!?
好ましくない行動に対して注意したり叱ったりすることは、その行動に“注目している”ということになります。
実はこの“注目”が、子どもにとってはご褒美となってしまうのです。
「ママが自分に注目してくれている」「きちんと見てくれている」という、注目のご褒美を与えていることと同じ効果が出てしまいます。
また、子どもの良くない行動に取り合ってしまうことにもなります。
特に発達凸凹っ子の場合、注意を繰り返したところでその行動が減らない場合も多く、ママの言葉が届きづらい状態です。
ですから、好ましくない行動をやめさせようとママが声をかければかけるほど、子どもにとっては、“ママからの注目が自分に集まっている時間”になってしまうのです。
これでは、どんなに声をかけても、なかなか行動を変えることはできませんよね。
3.マイナス行動を減らす親子のディスタンス
では、凸凹っ子の好ましくない行動には、どのように対応するのがベストなのでしょうか。
答えは、「見て見ぬふりをすること」です!
子どもに好ましくない行動が見られたら、そこに注目せず見ないふりをします。
そして、好ましくない行動をやめられたら、そこですかさず褒めます。
「見て見ぬふり」と「切り替わったら褒める」をワンセットとして対応するのです。
「見ないふりをしていて本当に大丈夫なの?」と思うママもいるでしょう。
大丈夫です。
上手に見ないふりをするためのポイントを4つお伝えします。
◆最初から見ないふりをする。
注意したり叱ったりしてから見守るのではなく、行動が始まったら最初から見ないふりをしてスルーしましょう。
◆視線や体を子どもに向けない
「ママは全然気にしていません」というような様子で、子どもの行動について気にしていないという態度でいましょう。
◆否定的な感情を、表情や態度で示さない
ため息をついたり、怒りのオーラを出すなどの否定的な感情を出さないようにします。
何か別のことをして(料理を作る、別の部屋に行くなど)、否定の注目を向けないようにしましょう。
◆褒める準備をしておく
子どもが切り替えられたらすぐ褒められるように、見ないふりをしながらも、褒めるタイミングをしっかり待ちます。
そして好ましくない行動をやめられたら、すかさず褒めましょう。
以上のポイントを意識して「好ましくない行動をスルー」することで、子どもは自分のタイミングで行動を切り替えることができるようになっていきます。
この親子のディスタンス(距離)は、見守って、切り替えられたときに褒めるために子どものタイミングを待つ、温かい対応なのです。
ママは、子どもが切り替えられたら「できたね!」と言うだけなので、何度も注意する必要がなくなり、精神的にとても楽になります。
また、好ましくない行動の最中でも、次のタイミングのために褒める準備をしたり、子どものできていることに注目したりする肯定的な対応になるので、子どもに対して自然と“プラスの見方”ができるようになります。
親子のディスタンスは、子ども以上に、ママにとって大きな効果をもたらすのです。
子育ては思い通りにいかないことがたくさんあります。
子どもがすべて親の言うことを素直に聞くかと言ったら、そんなことはありません。
そこを何とかしようとするのではなく、子どものタイミングを見守り、上手にスルーしながら肯定していく。
そんな親子のディスタンス、ご紹介したポイントを参考にぜひ実践してみてくださいね。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
長谷川まこ