家にいるとゲームばかりしている子どもの姿を見ると、ついイライラしてしまいますよね。けれども、ゲームには発達凸凹っ子の成長につながるプラスの効果も多くあるのです。今回はその効果と、生活の中でゲームと上手に付き合っていくポイントをお伝えします。
1.ゲームばかりする我が子が心配…
家にいる時間、お子さんは何をして過ごすことが多いでしょうか?
うちの息子は母子分離不安がある発達凸凹っ子で、不安が強いときは学校を休むこともあったため、家の中で過ごす時間が多くありました。
学校を休んだ日、息子のお供といったらもっぱらゲームでした。
もちろん私と一緒に出かけたり、自宅で一緒に勉強したりする時間も取るようにしていましたが、ずっと息子と遊んでいるわけにもいきません。
私が家事をしたり、パソコンで仕事や調べ物をしたりする時間は、息子は自分で何をするか考えて過ごすようになります。
自習をする、本や漫画を読む、工作をする、庭先や家の中で体を動かす、DVDを観る、など、その日によって色々とやっていましたが、一番はやはりゲームをしている時間が長く、一旦始めると他のことへの切り替えがなかなかできないこともよくありました。
発達凸凹っ子は特に、『何かに集中すると他のことへの切り替えに時間がかかる』という特性があるため、一度ゲームをやり始めるとスムーズに終わらせることが難しいのです。
私はそんな息子を見て、
「学校を休んだのにゲームばかりしていて良いのだろうか…」
といつも心配していました。
もっと、ためになることをした方が良いのではないだろうか。
でも、付きっきりで相手をしてあげることもできない。
私の中で、ゲームは『子どもに良くない影響を与えるもの』という意識があったのです。
2.ゲームが発達凸凹っ子にもたらすプラスの効果
しかし、息子と過ごす日々の中で、ゲームから得たことが日常生活にも活かされていることに気がつきました。
息子を通して感じた、ゲームのプラスの効果について、いくつかご紹介します。
◆反射神経が良くなる
ゲーム内では突然目の前に敵が現れたり、突如アイテムが出現したりします。
そこに瞬時に反応しなければならないので、集中力や注意力が養われます。
これにより、息子はドッジボールやサッカーなどの球技が以前よりも得意になりました。
ボールに対しての反応速度が上がり、プレーに活かせるようになりました。
◆創造力が磨かれる
ゲームの中には、自分で好きにコースや街を創ることができるものがあります。
このようなゲームは、息子の創造性を刺激しました。
個性豊かな自分だけのコースや街を創り上げることで、達成感を感じられます。
また、完成したものに「正解・不正解」はないので、誰でも成功体験を得られることができます。
子どもの自己肯定感を育みながら創造性を伸ばすことができるのです。
◆「目と手の協応」のトレーニングになる
「目と手の協応」とは、目の動きに手の動きを合わせる力です。
うちの息子はこの力が弱いため、漢字練習や授業での板書が苦手でした。
ゲームは、目で画面を見ながら手元で動きを操作するため、まさに目と手の協応そのものです。
ゲームをすることで、息子の苦手な分野のトレーニングにもなりました。
このように、発達凸凹っ子にとって、ゲームを通して得られる効果も実はたくさんあります。
「ゲーム=悪」というのは、親の思い込みなんですよね。
問題は、“どのようにしてゲームと付き合っていくのか”ということだと思います。
3.ゲームとの上手な付き合い方
プラスの効果もあるのなら、ゲームをやること自体はOKだけど、他のことをやらずに長時間ダラダラとやっているのは、親として見過ごせませんよね。
ゲームの良さも取り入れながら、発達凸凹っ子が日常で上手にゲームと付き合っていくためのポイントをお伝えします。
◆①ルールは親子で一緒に決める
親が一方的にルールを決めてしまうと、子どもは反発します。
特に時間の制限などは、子ども自身が納得していないと、タイムアウトした後もなかなか気持ちが切り替えられなかったり、癇癪を起こす原因にもなります。
自分が納得して決めたルールであれば、子どもも限られた時間内でより集中して楽しくプレイできるようになるでしょう。
また、決められた時間の中で自分で調整して動く練習にもなります。
ルールは必ず親子で話し合って決めるようにしましょう。
◆②親子で一緒にゲームを楽しむ
時には子どもと一緒にゲームを楽しむこともおすすめです。
一緒にプレイしてみると、意外と難しく、子どもの上手さが分かったり、親の方が楽しくなって夢中になったり、新しい見方ができるものです。
また、協力して行うゲームでは親子のコミュニケーションになりますし、プレイ中は子どもをたくさん褒めてあげることができます。
ゲームに関しては、親より子どもの方が上手な場合がほとんどだと思いますので、そこでたくさん褒めてもらえることで、子どもの自己肯定感を育てることにもつながります。
親子で同じものを楽しむ時間は、子どもの安心感の土台にもなりますので、時には一緒にゲームを楽しむ時間も作ってみてください。
このように、ゲームと上手に付き合っていくことができれば、
「ゲームばかりやらないで!」
というママのイライラも解消されます。
まだまだ自分をコントロールすることが難しい面もある発達凸凹っ子が、ゲームを生活の中で上手く使いこなせるように導いてあげることが大切です。
「ゲーム=悪」ではなく、そこから得られるプラスの効果もふまえて、子どもと一緒にゲームとの上手な付き合い方を見つけていってくださいね。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
長谷川まこ