突然はじまった登校しぶり、お子さんが学校に行けなくなってしまったとき、親としては何とかして『理由』を聞き出し、解決したいと思いますよね。ですが、お子さん自身も『学校に行けない理由』がわからないという場合があります。そんな場合の対処法をご紹介します。
1.息子に『学校に行けない理由』を問い詰めた登校しぶり初期
わが家の息子は小2の春に登校しぶりがはじまりました。
登校しぶりが本格化すると、下駄箱で2時間以上、動かなくなることも。
先生やお友達の声かけにも反応せず、下駄箱に立ち尽くす。
無理に教室に連れて行こうとすると、足を突っ張り、無言のまま必死に抵抗していました。
「ここまで嫌がるなら、何か『学校に行きたくない』理由があるだろう」
当時の私はそう考えていました。
そして、なんとかして息子に『学校に行きたくない理由』を聞き出すため、毎日息子を質問攻め。
「なにか嫌な理由があるんでしょ?」
「・・・・・」
「お友達に何か嫌なことをされたとか?」
「・・・・・」
「先生に叱られたの?」
「・・・・・」
「何も理由がないなら、学校行ってよ!」
息子に無理やり『学校に行けない理由』を聞き続けました。
2.学校に行けない本当の理由とは?
息子にしつこく『学校に行けない理由』を聞き続けた結果、ようやく出てきた理由。
それは
「筆箱をふざけて友達に落とされたのが嫌だった」
「え?それだけ??」
当時の私は拍子抜けしました。
今思うと、ただでさえ学校に行くことに抵抗があり、腹痛や食欲不振などの二次障害も出て体調も良くない中、家で私に毎日『学校に行けない理由』を聞かれ続ける、その状況を終わらせたかったのだと思います。
最近になって息子に、当時の筆箱のエピソードを伝えたところ
「え?オレそんなこと言った?」との返事が。
「うん、言った。」「そうなんだ!じゃあ、友達と遊んでくるね〜」(その友達=筆箱を落とした子)というやりとりがありました。
3.『学校に行けない理由』がわからない場合の対処法
学校に行けない理由はお子さんそれぞれ。
不安が強いお子さんの場合は、学校に対する不安=勉強や友人関係、その他何らか学校に対しての不安がある状態といえます。
そのため、『不安の原因を解消する』とした場合、不安要素が複数あり、また多ければ多いほど、学校に戻るための条件も多くなってしまいます。
不安が強い子は、無意識に不安を探してしまう傾向があるため、今ある不安を解消したとしても、新たな不安が出てきます。
不安をみつけ、特定して解消しては、新しい不安が出てきてまたその不安を解消する。
そんなイタチごっこの対応ではキリがありません。
また、親御さんが不安が強い子の性格をふまえて「学校で何が不安なの?」という聞き方をすると、子どもの不安を探すことになってしまうため、気を付ける必要があります。
『学校に行けない理由』は1つとは限らず、複数の原因が複雑に絡み合っていることが多いと言われています。
そのため、学校に行けなくなる理由が、お子さん本人もわからないということも多いのです。
そして『学校に行けない理由』が1つ、2つと重なっていくことで、子どもは学校へ行く意欲も失っていってしまいます。
そのため、明確な原因がある場合以外は、お子さんに理由を問い詰めることに意味はありません。
代わりにすべきことは次の2つです。
◆「学校に行きたくない」「学校に行けない」子どもの気持ちを認め、受け入れる
◆子どもがエネルギーをチャージできる環境をつくる
お子さんの気持ちを認め、受け入れて、どのような状況であっても味方であることを伝えましょう。
そして、「自分は応援してもらっているから大丈夫」と思えるエネルギーが蓄えられるような環境をつくることが対処法です。
理由を聞いてもわからなければ、「学校が嫌なんだ」という事実を受け入れられればまずはOK!
理由が何であれ、お子さんの気持ちを受け止め、子どもが安心できる環境を提供する。
それが大切なポイントです。
執筆者:
発達科学コミュニケーション トレーナー
永瀬 未歩