家族がとても楽しみにしていた家族旅行で毎回「帰りたい」という子ども…。わざと場の空気を壊しているわけではありませんが、毎回となると「またか…」と思ってしまいます。発達障害・グレーゾーンの子と家族旅行を楽しめるテクニックをご紹介します。
1.発達障害・グレーゾーンの子と行く家族旅行
家族みんなが楽しみにしていた家族旅行!
しかし、到着するなり「帰りたい」「疲れた」ばかりいう子どもに場の雰囲気が悪くなること一度や二度ではない我が家。
こんな我が家のようなご家庭はありませんか?
家族みんなが楽しめるように毎回下準備をしますが、子どもは次から次と問題を起こします。
この記事では、何度も失敗を経験しながら見つけた「こうしたらうまくいったテクニック」をご紹介しますね。
2.「帰りたい」ばかり言う発達障害・グレーゾーンの傾向がある娘
我が家は主人と私、三姉妹(小中学生)の5人家族です。
ちょっとそこまで買い物に行くにも、近場にお出かけするにも毎回と言ってもいいくらい、次女の『疲れた』『帰りたい』は日常茶飯事です。
周りから見れば、『また言ってる…。』『そんなに疲れることしてないでしょ?』と思われワガママに見えてしまいます。
しかし、周りの反応とは逆に、娘は自分のわがままでその場の楽しい雰囲気を壊してはいけないと思っていて、辛くなるまで言わないのです。
それは、発達障害・グレーゾーンの傾向がある娘は少しの苦痛なら我慢できてしまうからです。
言ったところで理解もしてもらえず、わがままだと思われてしまう経験が何度もあり、我慢するしかなかったのです。
次女は
✔︎ザワザワした場所や大きな音の鳴るテーマパークが苦手
✔︎小さい子の癇癪や高い泣き声が苦手
✔︎味覚過敏で食べられるものは少なく、あえて新しい食べ物に挑戦はあまりしない
✔︎安心できるいつもの環境から、何が起こるかわからない環境へなんてできることなら行きたくない
など、聴覚が特に過敏です。
長女と三女は楽しい事が大好きな活発なタイプで、次女は外が苦手でできるなら家にいたいタイプの子です。
三姉妹が幼少の頃も今と変わらず、なるべく外に出たくない次女ばかりを優先するわけにもいかず、長女と三女の希望も叶えるようにしてきました。
しかし、ワンオペでは厳しくどちらかが我慢をする場面も多々ありました。
普段から、外に出たくない次女を家族旅行に連れ出すと言うのはハードルが物凄く高いことでした。
しかし、他の家族のことも考えてあげたい。
外が苦手な次女もテレビ越しでは楽しそう!と言う時もあるのです。
なので、全く興味がないわけではなく行きたいけれど行けない、そんなもどかしさを感じていました。
3.発達障害・グレーゾーンの子がせっかくの家族旅行で「帰りたい」理由
お子さんにこんな特徴はありませんか?
✔︎子どもが楽しめそうなテーマパークや遊園地が苦手
✔︎人混みが嫌い
✔︎いつもと違うことは苦手 いつもと同じがいい
✔︎食べられるものが少なくて外食に困る
これらの困りごとは『感覚過敏』が原因で引き起こされている可能性があります。
感覚過敏は脳の特性です。
いずれの場合も、わがままで言っているのではありません。
私たちが生活している空間は、様々な音やにおい、感触で溢れかえっています。
多くの人は生活するうちに慣れて気にも留めなくなるものですが、人よりも五感を通した刺激に敏感な「感覚過敏」という症状を持つ人がいます。
音が聞こえすぎる聴覚過敏
味が敏感すぎる味覚過敏
太陽光やテーマパークのキラキラした光が眩しく感じる視覚過敏
人混みのにおい、柔軟剤のにおいなど香りが敏感な嗅覚過敏
洋服の感触や触られる感覚、シャワーが痛く感じるような皮膚感覚が敏感な触覚過敏などがあります。
これらの感覚が敏感だからと言って、日常生活に制限や困りごとが起きるのかはその時の子どもの状況によって違います。
大丈夫な時もあれば我慢できないくらい辛い時もあります。
不安やストレスがあるとより短時間で感覚過敏が強く出てしまうこともあります。
4.家族旅行で「帰りたい」と言う発達障害・グレーゾーンの子に打つ先手
家族みんなが楽しみにしている家族旅行です。
できることなら『疲れた』『帰りたい』と聞くことなく楽しみたいですよね。
子どもに無理はさせたくないけれど、ママも家族も楽しみたい!
これからご紹介するのは、感覚過敏のある発達障害・グレーゾーンの子のママに参考にしていただきたいポイントです。
家族旅行だけでなく、お出かけをする際にも使えるテクニックです。
参考にしていただけたら幸いです。
さて、お子さんがリラックスしている時や安心できる時はどのような時でしょうか。
たとえ感覚過敏があっても気にしなくても良くなる時。
それは『楽しいことをしている時』『見通しがわかる時』です!
普段、大きな音やざわざわしている環境が苦手で教室に入れない子も、どうしても見たい映画がある時には映画館で見れたりします。
苦手な大音量の映画館より『大好きな推しが出ている映画が見たい!』が勝るのです。
このように、楽しい、楽しみだと思えるポイントをお子さんと相談して旅行のプランに入れてみましょう。
また、楽しみになるような声かけも大切ですね。
予定を立てる所から是非参加させてあげてください。
いつもと違う場所、食事、時間、宿泊するならホテルの環境なども悩みの種だと思いますが、1つ1つ共有することで、見通しを持つことができます。
感覚過敏が強く出てしまう原因は『いつもと違う時』『緊張している時』『疲労感がある時』『不安な時』などです。
家族旅行は楽しいイベントがたくさんありますよね。
旅先の名産の料理を食べる、旅先でしかできない体験をするなど周りの人は楽しみにしていても、何が起こるか分からない不安や刺激の多さに、その場にいることが辛くなってしまうことがあります。
せっかくの家族旅行だからと、予定を詰め込みすぎるのはやめましょう。
いつもと違う環境で疲労が溜まりやすいので、余裕のあるプランで、休憩もとりながら楽しんでくださいね。
色々対策をしてきた私が一番の秘策だと思うことがあります!
それは、『ママが笑顔で楽しむこと』です。
感覚刺激が敏感な子はママの感情の変化も敏感に感じとります。
ママと子どもはお互いの感情を鏡のように写してしまうミラーリング効果があります。
「疲れたって言われたらどうしよう…」と思わずに、ママが思いっきり楽しんでみましょう。
ママのそんな姿を見ていると、感覚過敏も気にならないくらいお子さんも楽しめる時間が増えますよ。
一度お試しくださいね。
執筆者:田中さくら
発達科学コミュニケーション リサーチャー