楽しみにしていたはずのお出かけなのに、出発直前に「行きたくない」と言い出した!なんてことはありませんか?特に発達障害グレーゾーンの子どもとのお出かけはこちらの予想通りにいかないことがよくありますよね。そんな子どもがスムーズに動き出すおすすめの会話術をご紹介します。
1.お出かけ直前に「行きたくない!」そんな経験はありませんか?
とても楽しみにしていたはずのお出かけの時。
しかし子どもが、朝になるとなかなか準備をせずゴロゴロしていたり、直前に「やっぱり行きたくない」と言い出して困惑した経験はありませんか?
特に発達障害グレーゾーンの子どもは、大人の思惑通りに動いてくれないことが多々あります。
早めに出発時間を予定していたとしても、予定した時間通りに出られないと、焦ってイライラしてしまいますし、「行きたいって言っていたのになんで?どうしたの?」と不思議に思いますよね。
2.行きたいはずなのに、なぜか出発前にお出かけしたくない!と言い出す息子
私には発達障害グレーゾーンの息子がいます。
息子は「○時に家をできるよ」とお出かけの予告をしていてもなかなか用意をしなかったり、出かけるのを面倒くさがったり、
もう出発時間になるのに、「お腹すいたから何か食べたい」と言い出したりすることがあります。
出ようと思った時間に出られない…なんてことは日常茶飯事です。
先日も実家帰省中にちょうどそんなことがありました。
何日も楽しみにしていたイベントに出かけるときのことです。
息子は、出発時間の直前になってもYouTubeを見てゴロゴロ。
「そろそろ行こうか」と声をかけてもうわの空…。
もう一度声をかけると、「なんか面倒くさいな。行きたくない。」と言い出したのです!
行きたいって言ったから予定したのに!
そのうち、息子の姿にイライラし始めた祖父母から
「早くいかないと遅れるよ!さっさと行ってらっしゃい!」
と強く言われ、息子はますます不機嫌になり、頑として動こうとしません。
私はだんだん迫ってくる時間に焦ってはいましたが、
「ずっと楽しみにしていたお出かけだから本当は行きたいけど、動く元気がない」という息子の気持ちが想像できたので、どう声をかけたらやる気が出るだろうを必死に考えました。
3.発達障害の子どもがスムーズにお出かけできない理由
発達障害グレーゾーンの子どもは脳の危険センサーである扁桃体が活発になりやすいので、ネガティブなことの想像力に長けています。
だから
今日も外は暑そうだな。
目的地まで遠いから暇だな。
混んでいそうだから嫌だな。
と、お出かけ中のイヤなことをいろいろと想像してしまうのです。
発達障害に関わらずどんな人にも当てはまることですが、人の脳は何かをやり始めるときに1番エネルギーを必要とします。
発達障害グレーゾーンの子どもは、イヤなことや面倒なこと、不安があることにやる気を出しにくいという脳の特性があるので、より脳に負荷がかかってしまいます。
つまり、お出かけ中のイヤなことを想像して、「出かける」という行動をし始めるのに人一倍エネルギーが必要になってしまうというわけです。
脳の特性によるものなので、自分でもやる気をコントロールするのが難しいと言われています。
さらに、大人たちのとげとげしい声色や表情、ジェスチャー、口調からイライラしている雰囲気をとても敏感に受け取ってしまいます。
だからただ「早くしなさい!」と強い口調で言われても、この状態では子どもの耳は閉じてしまっていて脳には届かず、やる気を出させることはできません。
4.子どものやる気を引き出すおすすめの会話ステップ
脳の特性が関係しているのだから、脳に届く声かけをするのが鉄則です!
そこで私は、次のようなスモールステップで子どものやる気を引き出す作戦に出ました。
①焦っている気持ちを表に出さない
まずはこちらのイライラしたり焦っている気持ちを悟られないように、優しい口調で話しかけることが大切です。
私はひとつ大きく息を吐いて自分を落ち着かせてから話しかけました。
ため息ではなく、大きくふーっと息を吐くことがポイント!
ため息ではイライラした雰囲気が伝わってしまいますよ。
②行きたくない気持ちに共感する
「そっか〜、行きたくなくなちゃったんだね。」
「今日も暑そうだもんね。」
と、子どもの言葉や様子からわかる気持ちに共感し、言葉にして伝えます。
このときは「行く気にさせよう」という気持ちは一旦封印です。
そうすることで「受け止めてもらった」という満足感で気持ちが落ち着きます。
③ポジティブな言葉で会話をスタート
気持ちが落ち着いたら「出かけよう」と言う前にもうワンクッションおきます。
楽しい会話を入れることで子どもの耳が開き、その後の指示が入りやすくなるのです。
おススメなのは子どものやっていることに興味や関心を示すこと。
息子の場合はYou Tubeを見ているところだったので、「何見てるの?」「〇〇してるところ?おもしろいね〜!」と一緒に楽しみました。
ほんの一言、二言でも大丈夫です。子どもの世界に一緒に入りましょう。
これにより子供の耳がパカっと開くのです。
④行動に誘う
楽しい会話で子どもの耳が開いたら
「行ったらかき氷あるっぽいよ!」
「水遊びできるところで遊ぶ?」
とお出かけ先の楽しいイメージがわくような提案をしました。
この会話のステップを踏むと、息子はさっと立ち上がり出かけることができました。
そして車の中で、「行きたいけど、暑いし、遠いし、混んでそうだし、面倒くさくなっちゃったんだよね~」と自分の気持ちを話してくれました。
いざ、目的地に着くと予想通り「あれやろう!これやりたい!」と楽しそうな息子。
帰るときには「出かけるの面倒だったけど、やっぱり楽しかった!また来たい!」という言葉を聞けました。
「うん。また来ようね!みんなで一緒に来れてママも楽しかった!」と声をかけて、何が楽しかったかを家族で話しながら帰りました。
この会話によってさらに、このお出かけを『イヤだと思ったけど、動いてみたら楽しかった!家族も喜んでくれた!』という成功体験にすることができました。
発達障害グレーゾーンの子どもは、その脳の特性からやる気を出すのに人一倍エネルギーが必要ですが、
ママの声を脳にしっかり届けて、楽しそうなイメージを持たせてあげることで動き出すきっかけを作ってあげることができます。
ぜひこの会話ステップで、ママもストレスなくお出かけを楽しんでみてくださいね。
執筆者:よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション リサーチャー