発表会が苦手でパニックを起こすお子さんはいませんか? いつもと違う環境で失敗や緊張を乗り越えるにはママの声掛けが重要です。 この記事では本番への不安が大きい子どもの苦手を克服する事前の「予告」と声掛けの方法を解説しています。
1.いつもと違う!想定外のことでパニックを起こす
幼稚園や学校生活、習い事などの集団生活において避けて通ることのできない『発表会』。
我が子がステージの上で泣き出したり、癇癪を起こしたりしないだろうか。
親としては本番当日を無事に終えるその瞬間まで心配になるものです。
実際、発表会当日は先生やお友達の様子がいつもと違う雰囲気だったり、照明や飾り付けな ど会場の空気までが非日常。
そんな中で”当たり前”のように進行していく発表会は「想定外の連続」です。
この記事では想定外のことに出会っても突然パニックにならないようにするための、『予告』というテクニックについてご紹介しています。

2.ピアノの発表会での出来事
今は小学2年生になる息子が幼稚園生の頃、初めてのピアノの発表会に参加したことがありました。
普段のピアノのレッスンも楽しく通えていたし、本番は一人で演奏するソロではなく私や弟と一緒に演奏する連弾だったので、私自身も特に構えずに本番当日を迎えました。
発表会は長丁場で静かに聴いていなければならない為、息子も弟も幼かったので、出番の少し前に会場入りすることにしました。
でも、それが今思えば大きな落とし穴だったのです。
つまり、会場の雰囲気やいつもと違うピアノにも慣れていないままに本番に突入する形を作り出してしまいました。
いざ出番となり先生や私、弟と手を繋いでステージ上に上がるとスポットライトの眩しさとたくさんのお客様の視線に驚いてしまい、足が止まってステージ上で立ち往生。
ピアノにもなかなか辿り着かずに発表会の進行にもご迷惑をかけてしまい、私もハラハラ。
先生のフォローもあり、なんとか演奏は終えたものの親子共々ほろ苦い経験となりました。
幼稚園ではお遊戯会を経験したこともあったのに、ピアノの発表会ではなぜ上手くいかなかったのか。
その理由を探る中で、私は脳に特性を持つ子どもには初めての場所や初めて触れるものに拒否反応を示すということを知りました。

3.パニックを起こす原因は発達の特性にあった
私の子どもは自閉スペクトラム症(ASD)のグレーゾーンです。
特性の一つとして「強いこだわりがあり、融通が利かないこと」が挙げられ、新しいものに抵抗を示しやすい傾向があります。
また、視覚からの情報を重視するタイプの子は、目の前にないことを想像するのが苦手です。
そのため、突然の変化や“想定外”の出来事が起こるとパニックを起こしてしまうことがあります。
さらに、光や音への感覚が敏感な子も多く、あの時ステージで「まぶしい!」と訴えていた息子の姿にも、今なら納得がいきます。
自分の子どもが想定外のことでパニックを起こしやすい子だと分かれば、そのパニックを予防するために効果的な方法を学び、実践していけば良いのです。
次の項ではその方法についてご紹介しています。

4.苦手を克服する「予告」という最強の武器
子どもの突然のパニックを予防するために効果的な方法とは、ママが事前に予告をすることです。
例えば、ピアノの発表会という場面では初めての会場や初めて使うピアノに拒否反応を示す場合があります。
そんなときは、事前にステージや会場の様子を見せたり、リハーサルで実際にピアノに触れる機会を作ってあげるのがおすすめです。
「今日はこれからこんなステージに立つんだよ」
「家やレッスンで使っているピアノとは違うけれど、同じピアノなんだよ〜」
このような声かけで、子どもの中に“安心のイメージ”を作ることができます。
難しい場合には、実物の写真を見せて『視覚的な予告』をしてあげることも効果的です。
事前に子どもに予告をするという武器を上手に使って、子どもの想定外の出来事を減らしてパニックにつながる要因を取り除いてしまいましょう。

5.大人にとっては想定内でも子どもにとっては想定外
発表会に限らず、集団生活には“想定外”がたくさんあります。
例えば、子ども達が大好きな「遠足」もその一つ。
大人からしてみると明日は雨だったら中止と想定できることも、子どもにとってはそれは想定外の出来事かもしれません。
そんなときこそ、ママが子どもとの会話の中でさりげなく予告をしておくことが大事なポイ ントとなります。
「明日はとっても楽しみな遠足の日だね。でもね、もし雨が降った時には行けなくなるよね。そしたら別のことをするからね。」
このように「もし、〇〇だったら」と事前に想定をさせることで、子どもにとっての想定外の出来事を少なくしてあげることができます。
それだけで、突然の変化にも柔軟に対応できるようになります。
我が子もピアノの発表会での出来事をきっかけにして、私から子どもに事前に予告することを意識するようになりました。
すると、今では初めての環境に飛び込むことにも、初めてのことに触れることにも積極的になり、当日もパニックにならずに乗り切ることが出来ています。
もし今、発表会や初めての環境に接するたびにドキドキしてしまうママがいたら、ぜひ『事前の予告』という武器で無事に乗り切って欲しいと思います。
子どもの想定外が少し減るだけで、親子の笑顔はきっと増えていきます。
発表会が「ハラハラの日」ではなく、「ハレの日」となりますように。

執筆者: 小川 よしこ
発達科学コミュニケーション トレーナー