衝動的に手が出る子どもは発達障害?原因と家庭でできる5つの対応

衝動的に手が出る子どもは発達障害?原因と家庭でできる5つの対応
すぐ手が出てしまう子どもの理由と、家でできる優しい対応をわかりやすく紹介します。発達障害グレーゾーンの可能性や、親が今日からできるサポート方法もまとめています。
 
 

1.衝動的に手が出る子どもは「悪い子」じゃない!

 
 
まず一番大事なことをお伝えします。
 
 
すぐ手が出てしまう子どもは、性格が悪いわけでも、親の育て方が悪いわけでもありません。
 
 
実は、「わかっているけど体が先に動いてしまう」という、脳の特性が関係していることがあります。
 
 
発達障害グレーゾーンと言われる子は特に
 
・気持ちを切り替えるのが苦手
・相手の気持ちを読み取りにくい
・反射的に動きやすい
 
という傾向が見られることがあります。
 
 
だから、「やめてと言ったのに」「何度も教えているのに」と思う場面でも、子どもはわざとしているわけではない のです。
 
 
◆叱っても改善しない理由
 
衝動的な子は、気持ちが爆発するとそのまま体が動いてしまうため
 
「叩いたらダメでしょ!」
「どうしてそんなことするの?」
 
と叱られても、その時点で もう行動は終わっている のです。
 
 
そのため、叱られて反省しても、同じ状況になるとまた体が先に動いてしまいます
 
 
◆発達障害グレーゾーンと関係していることも
 
すぐ手が出る、忘れ物が多い、気持ちの切り替えが苦手…。
 
こうした特徴がいくつか重なると、発達障害グレーゾーンの子に多く見られる傾向と重なる場合があります。
 
 
「診断がついたらどうしよう…」
「このまま大丈夫なのかな…」
 
と心配になる親御さんも多いかと思いますが、困りごとがあるなら、早めに気づけたほうが親子の負担は少なくなることが多いです。
 
 
悩み
 
 

2.なぜ手が出るの?子どもが衝動的になってしまう主な理由

 
 
ここからは、衝動的な行動につながりやすい理由を、できるだけやさしく説明します。
 
 

① 気持ちの切り替えがとても苦手

 
発達障害グレーゾーンの子どもは、感情のオン・オフが難しいと言われます。
 
 
・思い通りにならない
・急に負けた
・注意された
・順番を取られた
 
こうしたことがあると、気持ちが一気にバーッとあふれてしまい、手が出てしまうことがあります。
 
 
大人なら「まあいっか」で済むことも、子どもにとっては大きな出来事なのです。
 
 

② 相手の気持ちを読み取るのが苦手

 
「ちょっかいを出す」
「押してしまう」
 
と聞くと悪いことのように聞こえますが、実は子ども本人は
 
・仲良くなりたい
・自分の気持ちを伝えたい
・遊びに誘いたい
 
という思いだったりします。
 
 
ただ、その伝え方がまだ未熟で、相手が嫌がっていることに気づけないのです。
 
 

③ 忘れ物が多い・不注意がある(実行機能の弱さ)

 

すぐ手が出る子は、同時に

 

・忘れ物が多い

・片付けが苦手

・注意が散りやすい

 

といった「行動を整理する力」が弱いことがあります。

 

 

この力は脳の働きと関係していて、行動をコントロールする“ブレーキ役”が弱いため、

 

「やめよう」よりも「やってしまう」が強くなってしまうという状態に陥ります。

 
 
怒る男の子
 
 

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3.筆者の体験談|息子も「すぐ手が出る子」でした

 
 
ここからは、私自身の経験を正直にお話しします。
 
 
息子は小学校低学年のころ、衝動的に手が出てしまう子でした。
 
 
負けん気が強く、気持ちが一気に高ぶってしまうタイプ
 
 
学校からのトラブル連絡はしょっちゅう
 
 
おそらく、連絡が来ていない小さないざこざまで含めると、数えきれないほどあります。
 
 
当時の私は
・何度も何度も言い聞かせる
・泣くほど叱る
・ノートで説明する
・一緒に反省文を書く
・ゲームを制限する
・おやつナシにする
 
とにかく思いつく限りのことを全部やっていました。
 
 
でも、どれも改善しませんでした。
 
 
「発達障害」を疑い始めた私は発達科学コミュニケーション(発コミュ)を受講することを決意。
 
 
子どもの発達特性について学び始めました。
 
 
発コミュを学びはじめて分かったのは、私がやっていた対応は、ほとんど“逆効果”だったということでした。
 
 
衝動性が強い子は、行動が起きてから叱っても変わりません
 
 
必要なのは”行動が起きる前に、気持ちが落ち着く環境をつくること”でした。
 
 
この気づきは、とても大きかったです。
 
 
気づき
 
 

4.家庭でできる5つのシンプルなサポート方法

 
 
ここからは、今日からできる“やさしい支援”を紹介します。
 
 

① 衝動が出る前に予防する

 
トラブルは「突然」ではなく、ゆっくりエネルギーがたまって起こります。
 
 
だから
・長時間遊ばせない
・勝ち負けのある遊びは短く
・集団遊びの前後は休憩を入れる
 
など、あらかじめ場面を分けてあげるだけで、トラブルはぐっと減ります。
 
 

② 気持ちの言葉を教えていく

 
衝動的な子は、「悔しい」「悲しい」「嫌」などの言葉がうまく出てきません。
 
 
怒り=行動になってしまうため、
 
「悔しかったんだね」
「いやだったんだね」
「ドキドキしちゃったね」
 
と親が代わりに気持ちに名前をつけてあげることで、少しずつ言葉で気持ちを表せるようになります
 
 

③ 行動の見通しを先に伝える

 
・どれくらい遊ぶか
・何時に帰るか
・何をしたら終わりか
 
この“見通し”がわかると、衝動が出にくくなる子がとても多いです。
 
 

④ 運動や外遊びで発散する

 
体を使う遊びは、気持ちの安定に直結します。
 
 
・自転車
・ボール遊び
・鬼ごっこ
・全力で走る
 
こうした遊びは、脳が落ち着くホルモンを出してくれます
 
 

⑤ トラブルの後は責めない

 
親としては「なんでそんなことを!」と責めたくなる瞬間もありますよね。
 
 
でも、衝動的な子どもは、気持ちが落ち着いたあとなら、「次はどうしようか?」という未来の話のほうがずっと取り入れやすいです。
 
 
ぜひ
「途中でやめられたね」
「言葉で言えたね」
 
など、小さな成功を拾ってあげてください。
 
 
男の子を抱っこしているお母さん
 
 

5.最後に|あなたの子育ては間違っていません

 
 
すぐ手が出る子どもを見ると
「もうどうしたらいいの?」「私の育て方が悪いの?」と自分を責めてしまいますよね
 
 
でも、衝動性はしつけでは変わらないことがあります。
それは、あなたのせいではありません。
 
 
必要なのは
・子どもの脳が落ち着く環境
・子どもの気持ちを代弁してくれる大人
・未来につながる関わり方
 
これだけです。
 
 
あなたの子どもは、今日も一生懸命がんばっています。
 
 
そしてあなたも、本当によくがんばっています。どうか、一人で抱え込まないでくださいね。
 
 
親子で手を挙げて話してる様子
 
 

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