不登校の兄弟(きょうだい)に「ずるい」と言う背景には、登校している子どもの学校でのしんどさや不公平感があります。この記事では、「ずるい」と感じる理由を解説し、不登校のきょうだいがいる家庭で使える“心を癒す関わり方”を具体的に紹介します。
1.不登校のきょうだいに「ずるい」と言われて、どう接したらいいか悩んでいませんか?
不登校中のきょうだいがいると、学校へ行っている子が、
「なんで自分だけ毎日行かないといけないの?」
そんな思いを抱き、「ずるい」と言葉になって出てきたり、言葉にしなくてもきょうだいへ八つ当たりしてしまうことがあります。
実はその「ずるい」の裏側には、登校している子ども自身も学校で抱えてるしんどさが隠れていることが多いのです。
この記事では、不登校のきょうだいに「ずるい」と言いたくなる理由と、実際に私の家庭で試して効果のあった“子どもを癒す会話”を紹介します。

2.不登校の弟に「ずるい」と八つ当たりする兄への対応に悩んでいました
弟が不登校になり、長い間休みが続くと、兄は「ずるい」と言葉に出さなくても、
「今日も学校いかないの?」
「一緒にいこう」
「YouTubeは禁止だよ」
そんな強い口調が増え、とうとう弟の携帯を取り上げることも…。
兄自身、過去に不登校の時期があり、”学校が苦手だけど、頑張って登校している”という葛藤を抱えていました。
だからこそ、「休んで良いよ」と言うべきなのか、「頑張って行こう」と励ますべきなのか、私はどう関わるべきか深く悩みました。
そこで、私は「子どもを癒す会話」を試してみることにしました。
ここからは、不登校のきょうだいを「ずるい」と感じてしまう理由と、「子どもを癒す会話」の具体的な関わり方をお伝えします。

3.不登校のきょうだいを「ずるい」と言う背景にあるもの
♦①家で自由に過ごしているように見える
YouTubeをしたり、ゲームしたり…。
学校で頑張ってきた子どもから見ると、
「自分だけ頑張って、なんであの子は自由なの?」
そう感じるのは自然なことです。
親が不登校のきょうだいを理解して寄り添っている姿を見て、
「なんだか不公平だ」
「ずるい」
と思う気持ちが生まれることもあります。
♦② 登校している子どもも、実はしんどさを抱えている
登校している子どもも、学校生活でのしんどさを抱えていることがあります。
例えば、
・集団行動が苦手
・先生や友達とのコミュニケーションが苦手
・授業中ずっと座っているのがつらい
こうした、“小さな負担”が積み重なっていることも少なくありません。
だからこそ、
「自分も本当は休みたい」
「なんで自分だけ頑張らなきゃいけないの?」
という気持ちが「ずるい」という言葉になってあふれ出るのです。
きょうだいが家でのんびりしている姿を見るだけで、 頑張る力がスッと抜けてしまうこともあります。
♦③ママにもっと見て欲しい
不登校のきょうだいは、ママがそばで寄り添う時間がどうしても長くなります。
それを見ている、上の子・下の子は、
「ママはあっちばっかり」
「自分より弟(妹)のほうが心配なんだ」
とちょっとさみしくなることがあります。
その「さみしさ」が、“怒り”や“ずるい”という言葉や態度にでてしまうことも考えられます。

4.不登校のきょうだいに「ずるい」と言う子どもを癒す会話
♦「子どもを癒す会話」の4つのステップ
保留:大人の思いをいったん脇に置き、子どもの様子を静かに観察する
受容:泣いていても怒っていても、親が子どもの感情の巻き込まれずに受け入れる
理解:子どもが何を感じ、何を分かって欲しくて無愛想なのか、確かめたり代弁して伝える
共感:子どもの“ありのままの感じ方”をそのまま受け止める。理解すると共感が芽生える。
また、話を聞くときは正面から向き合うのではなく、そっと横に並ぶ姿勢がおすすめです。
正面から向かい合うと、子どもは不安なときほど目が合うのが負担になり、胸がドキドキして 「話したくない…」 「怒られるかも…」 と感じてしまうことがあります。
♦我が家での実例
兄が登校前、弟へ八つ当たりしてしまい、弟が泣き出したことがありました。
私は自分の気持ちはいったん保留し、兄のそばにそっと並んで、「イライラしてるんだね」とひと言。
そのあと、感情に巻き込まれないように、落ち着いた声で、
「ちょっと二人で話したいから、あっち行こう」
「怒ってもいいよ。話、聞かせてね」
と受け止めながら、別の部屋へ移動しました。
少し落ち着いてきたところで、
「弟にイライラしてたのは、なんでかな?」
と聞くと、は最初は 「わからない…」と答えるだけでした。
そこで、私がそっと気持ちを代弁しました。
母:「弟が学校行かないで遊んでるのが嫌だった?」
兄:「うん。」
母:「そっかぁ。いつも学校頑張ってるもんね。弟が家で遊んでたら、羨ましくなるよね。」
兄:「うんうん。」
母:「ほかに話したいことある?」
兄:「…もう少し遊んでから学校行きたい。」
母:「うん。話してくれてありがとうね。」
こうして、気持ちを言葉にしていくと、長男の表情が少しずつ落ち着いてきて、次に進むための気持ちが整っていきます。
そして、気持ちが落ち着いたら
「家ばかりじゃつまらないし、学校いこー」
「給食、好きなメニューだから行こうかな」
と気持ち切り替えて学校へ向かう日もあります。
また日頃から兄には、
「弟は今、学校がつらくてお休みしているんだと思う。いつまでかかるかはわからないけど、ゆっくり充電してるところだよ」
「あなたも行きたくない日があっていいし、いつも頑張ってること、ちゃんと知ってるよ」
と伝えるようにしています。
学校へ行っても、行かなくても、 どちらの選択でも“あなたは大切だよ”と伝えること。
これが、子どもの心を支える一番の力になります。
我が家の体験が、同じように悩むママの参考になれば嬉しいです。

執筆者: 木村 まい
発達科学コミュニケーション アンバサダー




