運動会や遠足、学習発表会など、毎年繰り返される学校行事の中で、わが子が苦手意識を持ち、毎年のように不安がっている行事はありませんか?そんな苦手な行事を楽しみな行事に変えることができた、克服の秘訣をお伝えします。
1.「またあの行事がやってくる…。」と親子で不安に思っている方はいませんか?
春は遠足。
秋は運動会。
それが終わればマラソン大会や学習発表会。
学校の行事は年間予定で決まっていて、大体毎年同じ時期に同じ行事がやってきます。
その中にわが子の苦手意識の高い行事があり、その時期が近づくたびに、「またこの時期がきた…。」と親子そろって憂鬱になっているご家庭はありませんか?
ついこの間まで、我が家がそうでした。
しかし、今年はその行事が苦手で嫌なものから、楽しみな行事に変わりました。
その記録を紹介します。

2.苦手な行事を半年以上前から不安がっていた長女
我が家の娘は小学4年生。
そんな娘の苦手な行事は長縄大会でした。
長縄大会とは、決まった時間内で何回跳べるのかをクラスごとに記録するものです。
競い合うものではないものの、子どもたちも先生方も熱が入りやすい行事です。
元々長縄がそんなに得意ではなかった娘ですが、小学2年生のときに連続跳びができるようになりました。
ところが小学3年生になって厳しい先生の指導に気持ちがついていけず、失敗してしまうと友だちにも強く言われてしまうことに傷つき、プレッシャーを大きく感じてしまったことで、再び連続跳びができなくなってしまいました。
そして、この行事をきっかけに我慢の限界に達し、教室へ行けなくなってしまったのでした。
4年生になった今年度。
学校行事の話になると決まって、
「3学期は長縄があるから嫌だな。」
「長縄のころはまた学校行けなくなるかも。」
と、まだまだ先なのに必ず不安がり、落ち込む娘を見て、これはどうにかしてあげないと、という気持ちが強くなりました。

3.「またあの時みたいになるかも…」行事を怖がる理由
不安の強い子どもたちは、ネガティブな記憶が残りやすいという傾向があります。
そのため、まだ何も起きていないのに、
「また失敗したらどうしよう。」
「また嫌なことを言われたらどうしよう。」
と、先のことを考えて不安になり、体が動きにくくなってしまうことがあります。
娘もまさにその状態でした。
長縄の練習で友だちや先生に強く言われたショックが記憶されてしまいました。
そして次の練習のときにはその記憶がフラッシュバックし、
「また失敗したらどうしよう。」
「また怒られたらどうしよう。」
と不安になってしまい、体が動かずにまた失敗してしまうという悪循環を繰り返してしまったのでした。
そうしてネガティブな記憶ばかりが積み重なってしまい、長縄そのものが「怖いもの」「やりたくないもの」になり、半年以上前から不安を感じるほどの大きな存在となってしまったのです。
そして私はここで、ひとつの見方に気づきました。
それは、娘の気持ちをよく分からないまま、なんとなく避けてしまっていたことです。
「そんなに嫌だと言っていても、学校行事なんだから避けられないし…。」
「そんな先のことを不安がっていても仕方がないのに…。」
あの頃の私は、とにかく不安がらないようにと考え、「大丈夫だよ!」と励ますことしかできませんでした。

4.娘の思いを引き出して、親子で行事に備えた作戦会議
そこで私がしたことは、まず娘の思いを引き出すことです。
去年の私は、なんとなく聞かない方がいい雰囲気を感じていたので、長縄大会のことを娘に聞くことがありませんでした。
その結果、私の知らないところで取り返しのつかない事態に陥ってしまったのです。
それなので娘の思いを引き出して、事前に不安を解決しておくことを目指しました。
あえて「長縄のこと教えて?」と聞くのではなく、「長縄嫌だなぁ。」と娘から話し出した時がチャンスです。
不安が強い娘の場合は、そこで「嫌だよね。」と気持ちに共感だけしてしまうと、嫌だという感情を強化してしまうので、「そうなんだね。」と受け止めるだけに徹します。
最初はこの会話だけでした。
そして、日頃から娘の話を受け止めることを心がけていると、次第に何が嫌なのかを具体的に話してくれるようになりました。
「跳べないと強く言われるのが嫌なんだよね。」
「失敗することはあるんだからさ、優しく言ってくれればいいと思わない?私ならそうするのに!」
「跳べなかったときに当たると痛いのも嫌。」
「回すときももっと早くしてとか、こうじゃないとかみんなが好き勝手言うから、回すのも嫌なんだよ。」
次から次へとどうして嫌なのか、何が嫌なのかを具体的に話してくれました。
「~したらいいんじゃない?」などとアドバイスはしません。
「うんうん。」「そうなんだ。」「それで?」などと言いながら聞き出すことに徹していると、子どもは安心して思いを吐き出すことができます。
そして一通り話せたところで、
「教えてくれてありがとう。」
「〇〇ちゃんの気持ちを聞けて、ママうれしかったよ。」
と、伝えてくれたことに感謝をします。
そして、一通り吐き出してすっきりした娘と「じゃあどうしようか?」と作戦会議をしました。
娘は2つの作戦を提案することができました。
1つ目は、「ママから担任の先生に伝えてほしい。」ということでした。
伝えたいことを一緒に整理して、その内容を先生に伝えました。
- とにかく楽しくやりたい
- 失敗しても責めない雰囲気を作ってほしい
- 回す人にあれこれ言わないでほしい
先生は快く受け入れてくださり、そのことを娘に伝えると、心からホッとしている様子でした。
2つ目の作戦は、「パパと練習する!」ということでした。
ママと先生に伝えてわかってもらえた安心感が大きかった様子の娘は、練習をし始めて再び連続跳びができるようになりました。
そして学校でも、担任の先生は2学期の終わりから練習を始めてくださいました。
先生は楽しい雰囲気を作ってくださり、注意し合うようなことはなくなり、毎回楽しく練習できるようになったそうです。
娘は帰ってきてから長縄練習での楽しかった話が止まらなくなりました。

5.苦手な行事を見事克服!
そして3学期。
長縄大会のシーズンが始まりました。
娘は体育の授業や休み時間に長縄をすることを楽しみに登校するようになりました。
鬼門だと思っていた長縄大会を、楽しくて仕方がない行事に変えることができました。
今回の経験を通して感じたのは、「不安をなくそう」とするよりも
- 子どもの中にある思いを言葉にすること
- 安心できる環境を整えること
- 小さく「できた」を積み重ねること
この3つがそろったときに、子どもは自分から動き出せるようになるということでした。
まずは、子どもがぽつりと話し出したときに、「うん、そうなんだね」と評価せずに聞くことから始めてみてください。

\“どう関わればいいか迷う”ママへ/
「待つ?手伝う?」と悩みやすい場面での関わり方を
不安が強い子が「自分でやる」を少しずつ増やしていく
視点と具体的な声かけにまとめました。
執筆者:くろかわ えり
発達科学コミュニケーション トレーナー




