楽しいお出かけのはずなのに「もう帰る…」とつぶやく息子。ADHDの小学生のその言葉の裏にある本当の気持ち、気づけていますか?言葉に込められていた我が子のSOSに気づけたきっかけと、気持ちを読み取るために効果的だった方法をご紹介します。
1.お出かけ先で突然の「もう帰る…」に毎回どうしていいかわからなかった日々
子どもとお出かけすると、何かのスイッチが入ったように突然「もう帰る…」とつぶやくことはありませんか?
我が家では、当時小学2年生だった注意欠如・多動症(ADHD)の息子が、毎回のようにそう言っていました。
「まだ着いたばかりなのに」「楽しい時間のはずじゃないの?」そう思って私はいつも戸惑っていました。
その頃の私は息子に、「もう小学生なんだし、自分の言葉で言ってほしい」と思っていましたが、理由を聞いても答えないのでわかりません。
最初のうちは、本当の理由がわからないまま「ああ、ゲームがしたいだけかな」「疲れたのかな」と思って、行き先を変えたり、所要時間を短くしたり、休憩をはさんだりとできることをあれこれ試していました。

それでもやっぱり「もう帰る」は、やってきます。
だんだん私の心の中にも、「せっかく連れてきたのに…」という気持ちがわいてきて、楽しいはずの親子の時間がぐったりと疲れだけが残る時間になっていきました。
特につらかったのは、「どうして帰りたがるのかがわからない」ということでした。
その頃の私は、体力の問題?飽きっぽい?わがまま?とも思いましたが、何か違う気がしていたのです。
振り返ってみると、実はこんな状態のときの息子は予想外のことや不快感から『パニック』を起こしていたことがわかりました。
2.子どもがお出かけ先で帰ると言い出す理由
ADHDや発達凸凹キッズは、「自分の気持ちに気づくのが苦手」「気持ちを言葉にできない」といった特性をもっていることがあります。
そのため、お出かけ先でつぶやく「もう帰る」という言葉も、本当に「帰りたい」という意味ではなく「今ここにいるのがつらい」「どうしていいかわからない」「なんとなく嫌だ」といった感覚を上手く言葉にできずに言ってしまうという子もいるのです。
つまり「もう帰る」という言葉は、子どものSOSかもしれません。
その背景には、例えば、気温が暑すぎた、靴の中が気持ち悪かった、音や匂いが不快だったなどがあります。

このような予想外のことにパニックになりそうだったり、その違和感をうまく言葉にできなくて「もう帰る」「やらない」「無理!」など、やっとのことで気持ちを表現しています。
だからこそ、「小学生だから自分の言葉で言えるはず」と年齢にとらわれず、その言葉の裏にある気持ちを読み取ることが大切です。
それでは、どうすれば子どもの気持ちを読み取れるのでしょうか?
3.ADHD小学生のSOSを見逃さない!言葉の裏にある気持ちを読み取る2ステップ
私がやってみて効果抜群だった「言葉の裏にある気持ちを読み取る2ステップ」をご紹介します。
①「言葉通り」に受け取らない
「もう帰る」という言葉をそのまま受け取るのではなく、「その裏側で何が起きているのかな?」と考えてみます。
単なるわがままや甘えではないことが多いからこそ、まず一旦受け止めて、「何がつらい?」「何が苦しい?」という背景を意識することが大切です。
②「何が嫌なのかな?」という背景を一緒に探る
例えば、
・暑すぎない?
・寒くない?
・どこか痛くない?
・眠くなってきてない?
・人が多くて疲れた?
こうした環境要因をチェックしながら、なるべく子どもと同じ目線で「不快の原因」を探していきます。
直接言葉で聞くよりも、行動や表情、タイミングから“察する”ことがポイントです。

我が家で印象に残っているのは、近くの山で行われたボーイスカウトの親子ラリー。息子は「去年やったからできる!」とやる気いっぱいで、チェックポイントを進んでいました。
私も「がんばれてるね」「あと半分だよ」と励ましながら、一緒にゴールを目指していました。
ところが、道を間違えて予定より長引いてしまったとき、後ろから「もう帰る…」という声が。
一瞬イラっとしかけた私でしたが、息子の顔が赤かったので「顔が赤いよ、暑いんじゃない?」と声をかけ着替えさせると、また元気に歩き出しました。
そのときの原因は“暑さ”だったのです。
この経験を通して、「言葉の裏の気持ちに気づけると結果が変わる」と実感しました。
「もう帰る」という言葉の裏にある、“助けて”や“不快だよ”という小さなサインに気づけるようになると、お出かけの時間がぐっと楽になります。
そして何より、自分の気持ちはこうだったんだと子ども自身が気づくことで、どんな言葉で表現すればいいかわかるようになります。
ADHDや発達凸凹のある小学生が生きやすい一歩を踏み出せるのもママの対応次第です。
子どもの「もう帰る」という言葉に悩んでいる方はぜひ参考にしてくださいね。
執筆者:長谷川アン
(発達科学コミュニケーション STELLA*Schoolアンバサダー)
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