宿題がめんどくさいと感じている子にごほうびを提案してもなかなか取りかかれないということはないですか?ADHDタイプの子はめんどくさいと感じることをやり始めるのがとても苦手です。そんな時に使ってほしい新しいごほうびのスタイルを紹介します!
1.ごほうびでは動かない!めんどくさいことを後回しにする手強い息子
宿題が嫌いな子に、やる気を出してもらうために
「終わったらゲームやっていいよ!」
「終わったらおやつ食べよう!」
とごほうびの提案をしても、“なかなか取りかかれない”という手強いお子さんをお持ちのママはいませんか?
これはまさに過去の私です!
注意欠陥多動性障害(ADHD)の息子はとにかくめんどくさい!と思うことを後回しにするタイプ。
“宿題が終わったらごほうびがもらえる”という作戦を使ってもめんどくさがって後回し、時には結局できない、ということもありました。
はじめは優しく声をかけていても、なかなか取り掛からない息子に「いい加減にやりなさいよ!」と最終的には大きい声で指示をしてしまったことも一度や二度ではありません。
怒られるとさらにやる気がなくなってしまうこともあり、宿題がめんどくさい!後回しにしたい!と思っている息子の対応にはとても苦戦していました。
2.ADHDタイプが宿題をめんどくさいと感じる2つの理由
母親的には、終わったらごほうびが待っているのだからササッと終わらせてごほうびをゲットすればいいだけなのに…と思いますよね。
それなのになぜこんなにめんどくさがったり後回しにするのでしょうか?
その理由は2つあります。
◆①ADHDキッズは注意集中が苦手
『頑張らないといけないこと』には高い集中力が必要になり、それを保つことは脳にとても負荷がかかるので疲れます。
宿題は、音読や漢字練習、計算ドリル、作文など、どれも集中して取り組まなければならないものですよね。
しかも最近の小学生の宿題は、私が子供の頃に比べると量がはるかに多い印象を受けます。
息子の学校では国語、算数の宿題がそれぞれ出て、週末はそれに加えてさらに日記や自主学習も…。
ただでさえ苦手な宿題なのに、こんなに量が多いと集中しなくてはならない時間が必然的に長くなってしまいますよね。
◆②脳は動き始める時にエネルギーをたくさん使う
脳は車がエンジンをかけるときに一番ガソリンを使うのと同じように、行動を始める時に一番エネルギーを使います。
ですから宿題をやり始める時にエネルギーをたくさん使うことがしんどくて、めんどくさいと感じてしまいます。
このようにめんどくさいと思っている宿題をやり始めること、高い集中力で続けることはADHDキッズにとっては私たちが思っている以上にハードルが高いのです。
ADHDタイプは宿題との相性があまり良くないのですが、実は特性を逆手にとってやる気を出す方法もあるので次の章で紹介します。
3.新提案!衝動性を逆手に取ったダブルごほうび作戦
ADHDタイプは衝動性という特性もあわせ持っていることが多いです。
衝動性のある子は『興味があれば飛びつく』という特徴があり、目の前に興味のあるものがあればそれにつられて行動してしまうという傾向があります。
例えば「いまおやつを食べるならアメ1個だけど、先に宿題を終わらせればケーキのごほうびにするよ!」というルールを作って、宿題のやる気を引き出そうとします。
ところがADHDキッズは「え、俺はアメでいい」というように大好きなケーキをもらえるとわかっても宿題を終わるまでは我慢できず、先にもらえるものにつられてしまうという事があります。
また先にアメをもらって宿題をしても、終わった時にケーキをもらえないことが不満になり文句を言う、というルールの食い違いも起こりやすいです。
ということはこの特性をうまく利用してアメもケーキもあげてしまう!というダブルごほうびの作戦を使うことがADHDタイプに合った対応になるのです!
お母さん的には両方ごほうびはやりすぎじゃない?と感じるかもしれませんよね。
ですが先にあげるものは『行動を始めるのが苦手なADHDキッズのためのやる気スイッチ』、終わったあとは『普通のごほうび』という考え方で良いと思います。
我が家もこのダブルごほうび作戦を採用したことで、めんどくさがっていた宿題をすんなり始めるようになりました。
宿題を始める時間になったら「やり始めと終わりにおやつを食べていいよ!」と声をかけます。
最初に好きなアメを自分で選びそれをなめながら始め、終わったら小さいスナック菓子やアイス、時にはケーキなどを食べていいことにしています。
また、おやつの代わりにゲームや好きな遊びをごほうびにすることもあります。
おやつの量やゲームの時間は私の方で決めますが、ごほうびの内容は子どもに決めてもらうとさらにやる気が出ることもあるのでおすすめです!
終わった後のごほうびだけではやる気が出ないお子さんがいたら、ぜひやり始めと終わってからのダブルごほうび作戦を試してみてくださいね!
執筆者:村川聡美
(発達科学コミュニケーション STELLA*School アンバサダー)
ADHDタイプのお子さんは普通のしつけではなかなか動かない子が多いと感じています。どんな方法で動けるようになるかはお子さんのタイプによって違います。ぜひ個別相談でお子さんのタイプを聞いてみてくださいね。