ADHDタイプの多動性や衝動性は脳を発達させることで落ち着いていきます!脳の発達に効果的なトレーニングの1つがクッキング♪アンケート結果を元にどんなクッキングが良いのか、その理由やおすすめのやり方を紹介します。
1.ADHDタイプ子育ての新常識⁈クッキングが発達トレーニングになることを知らなかったママは78%
落ち着きがない、パッと動いてしまう、話を聞いていないなど、お子さんに注意欠如・多動症(ADHD)の様子が見られて悩んでいませんか?
どうにかできないのかと「治し方」を調べている方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は、ADHDや多動症は「治る」ものではないので「治し方」は存在しないのですが、脳の発達が進んでいくと、できることが増えて多動や衝動による行動は落ち着いていくことが多いです。
落ち着いたことで日常生活に困りごとがなくなれば、「治った!」という表現をしても良いのかもしれません。
では、どうやって脳の発達を促すかというと、オススメは親子で一緒にやるクッキングです!
なぜかというと、クッキングは脳の発達に効果的なことが多いからです。
例えば、材料をよく見て包丁で切る、混ざり具合や焼き加減を見るなど、食材の様子を注意して見る力が必要になるので、視覚のトレーニングにつながります。
また、手先をたくさん動かす細かい作業が多いので、それが脳への刺激となり、脳の発達に繋がります。
「手は第二の脳」と言われるほど指先にはたくさんの神経が集中しているので、たくさん使うことで刺激も増え、どんどん発達が促されるというわけです。
そして、クッキングにはレシピが存在するように、これをやってこれをやって…といった計画・段取りを立ててやる力も鍛えられます。
色々な食材を扱うので、それぞれに合わせた力加減のトレーニングにもなります。
そこで脳の発達について学んでいるSTELLA*Schoolのメンバーがどのようにお子さんとクッキングに取り組んでいるのかアンケートを実施、32人から回答が集まりました。
まずはお子さんの性別です。
男の子が90.6%と圧倒的に多く、女の子は9.4%でした。
統計的に、ADHDタイプは男の子の方が多いと言われています。また、女の子は低年齢時には気付かれにくいことも関係していると考えられます。
お子さんの発達タイプは、ADHDと自閉症スペクトラム(ASD)のミックスタイプが68.8%と最も多く、ついで31.3%のADHDとの2つに分かれました。
STELLA*Schoolのメンバーは、お子さんがADHDなのでは?と疑い受講する方がほとんどですが、実際はASDとのミックスタイプであることが多いです。
脳科学的に見ても、実はADHDタイプのみの特性を持っているということは少ないのです。
お子さんの年齢では、78.1%が小学生、15.6%が中学生以上、6.3%が未就学児でした。
次に、STELLA*Schoolで学ぶ前からクッキングがADHDキッズの発達トレーニングに良いと知っているかを聞きました。
すると、STELLA*Schoolで学ぶ前は、クッキングがADHDキッズの発達トレーニングに良いと知らなかった方が78.1%に上りました!
クッキングがADHDキッズの発達トレーニングに良いということはあまり知られていないようです。
2.ADHDタイプキッズとの親子クッキングで身に付く力 ランキング1位~4位
次に、ADHDキッズとクッキングをするとどんな力が身に付くと思うかを選んでもらいました。(複数回答可)
第1位:計画力や段取り力(90.6%)
最も多かった答えは、「計画力・段取り力」でした。
90.6%と、回答者のほぼ全員が選んでいます。
回答者の興味・関心も反映してると思われるので、計画力や段取り力をつけたいと思っているママが多いということが分かります。
ADHDキッズは、見通しを立てることが苦手なので、やることがたくさんあると、どれを優先してやったらいいかを判断することが難しいです。
また、注意がほかに向きやすい「不注意」の特性から、絵を描き始めたと思ったら、おもちゃで遊び始め、次は本を読み、気づいたらテレビを見ている…しかもやっていたものはすべて出しっぱなし、といった様子が見られることも多いです。
『片付けてから次のことやってよ!』と思うこと、よくありませんか。
もう少し計画的に行動できるようになってほしいと思う方が多いのではという印象です。
第2位:手指の微細運動(87.5%)
2番目に多かった答えは、「手指の微細運動」でした。
手指の微細運動とは、手や指先を使った細かい動きのことです。
ADHDタイプは筆圧が強すぎたり、箸がうまく使えなかったり、折り紙の角がうまく折れなかったり、手先の細かい動きに苦手があるお子さんも多いです。
この次のクッキングでの心配事・困りごとの設問でも「ケガ・不器用さ」は半数以上の方が選択されています。 やはりお子さんが不器用だと思っているママが多いようです。
第3位:協調運動(78.1%)
こちらも約8割の方に選ばれました。
目と手、手と手、手と足など別々の動きを一緒にやることを協調運動と言いますが、ADHDキッズはその協調運動が苦手なことが多いです。
例えば、我が子は箸を使うのが苦手です。そもそも掴めなかったり、掴めても落としてしまったり…。
箸を使うのも、「食べ物を見て」「箸でつかむ」という動きを一緒にやっている協調運動です。
他にも、字を書く、音読、縄跳び、ボール投げなどで協調運動の苦手さが現れるお子さんも多いです。
第4位:見る力(59.4%)
「見る力」を選択された方は59.4%でした。
発達の面から見る「見る力」とは、単なる視力のことではなく人や物など対象に注意を向ける力のことです。
ADHDタイプは、必要なものを注意深く見ることができない、どこを見たら良いのかが分からないということがよくあります。
この力が弱いことで、どこに注意を向ければよいかわからず、人の話が聞けなかったり学習面に遅れが出たりすることもあります。
皆さん、クッキングを通して、これらの力を身に付けさせられるかもしれない、身に付けさせたいと思っているようです。
3.ADHDキッズとクッキングでの心配事・困り事 ランキング1位~5位
クッキングが発達トレーニングに良いと知った上で、お子さんと一緒にクッキングをしてみたいかを尋ねました。
すると、既に積極的にクッキングに取り組まれているという回答が31.3%もありました。
「ぜひやってみたい」と答えた方も50%と多く、「今はまだいい」の回答はありませんでしたので、大半の方が発達トレーニングに良いのならお子さんと一緒にクッキングしたいと思っているということがうかがえます。
つまり、クッキングが発達のトレーニングに良いと知っていてやってみたいと思っているのに、積極的には取り組めていない方が半数以上ということが分かりました。
そこで、ADHDキッズといっしょにクッキングをする上で、心配なこと・困ったことは何かを選んでもらいました。(複数回答可)
第1位:台所がぐちゃぐちゃになる(62.5%)
「台所がぐちゃぐちゃになること」と答えたママが62.5%と、最も多い結果でした。
自分がクッキングをするなら、片付けながら調理したり、まな板が汚れにくいものから調理したりと考えられるので、そこまでぐちゃぐちゃになることはないですよね。
それを計画や段取りが苦手で不器用なADHDキッズと一緒にやったらどうなるでしょう?
台所がぐちゃぐちゃになるだけでなく、それを片付けるのはママ自身かもしれない…という予想が、親子クッキングをしたい気持ちに歯止めをかけているのかもしれません。
第2位:時間がかかる(53.1%)
約半数のママが「時間がかかる」ことを選択しました。
話を聞くのが苦手だったり、衝動的に動いてしまうADHDタイプは、順番通りに進められなかったり、勝手にやってしまったりなど、余計に時間がかかってしまうことがあります。
また、ASDとのミックスタイプでは不安が強いお子さんもいるので、なかなか進まないということもあります。
そうなると、一人でやるよりも余計に時間がかかってしまいますよね。
お子さんが「お手伝いしたい!」と言い出しても、手伝ってくれるのは嬉しいけど余計に時間がかかるんだよなぁ…と悩むママも多いのではないでしょうか。
第3位:ママがイライラしてしまう(50%)
「時間がかかる」と僅差で、「ママがイライラしてしまう」が第3位にランクイン。
上位の「台所がぐちゃぐちゃになる」「時間がかかる」も結局はママのイライラの原因につながっていると考えられます。
ただでさえイライラすることの多いADHDキッズ子育て。 我が子にとって良いことと分かっていてもイライラしながらやるのは嫌ですよね。
第4位:ケガ(46.9%)
第5位:不器用さ(43.8%)
第4、5位で、お子さん自身のことが入ってきました。
「クッキングで身につくと思う力」のところでもありましたが、ADHDキッズは手指の細かい動きに苦手があることが多いです。
不器用だから包丁なんて怖くて使わせられない!と思うママも多いと思います。
やらせるのは怖いけれど、やらせないと上達しないし…と心の中で葛藤し、やるぞ!と決めてやらせても、クッキング中ずっとママがドキドキひやひや…。
これもママのストレスの一因となってしまっているのかもしれませんね。
1位〜5位と見てきましたが、まとめると、ママのストレス・負担となることが多いため、クッキングがADHDキッズの発達トレーニングに良いと分かっていても、なかなか取り組めないでいるということが分かりました。
こういったママの負担を軽減させられるような取り組みやすいクッキングがあれば、ADHDキッズの発達を伸ばすトレーニングも兼ねて積極的にクッキングに取り組んでみよう!と思える方が、もっと増えるのかもしれませんね。
STELLA*Schoolのメンバーにどんなクッキングをやったことがあるのかを聞いてみると、一番多かった答えがカレーでした。
お子さん自身が好きなもので、工程も簡単で教えやすいのが理由のようです。
4.発達が進めば困りごとも減って一石二鳥!ADHDの治し方が気になるママにおすすめの親子クッキングメニュー
では、どんなメニューなら取り組みやすく、発達も伸ばせるのか⁈STELLA*Schoolのメンバーにおすすめのメニューを聞いてみました!
●卵割り
手軽で、力加減など手指のトレーニングとして取り入れやすい。
●ポテトサラダ
簡単で手が汚れにくい。
じゃがいもを潰す感覚を味わったり、一緒に味付けをするのもオススメ。
包丁の代わりにナイフできゅうりを切ってもらっても。
●お味噌汁
どんな具材を入れても、どんな形に切っても、それなりに美味しくできる。
具材によっては包丁ではなくてキッチンバサミで切るのも簡単でオススメ。
キッチンバサミを使うのも、片手でハサミを開閉して、反対の手で食材を固定するという協調運動の練習になる。
●パン・ピザ
粘土のようにこねる作業が楽しめて、力を入れる練習になる。
触り心地がベタベタからモチモチに変化し、色々な感触を体験できるので、感覚に過敏さがあるお子さんの体感を増やして感覚を受け入れる効果が期待できる。
●オムレツ
卵を割る力加減、かき混ぜる力、焼き加減・火加減を見る力など、色々な力のトレーニングになる。
好きな具材を入れられるので、楽しんで作ることができる。
玉ねぎのみじん切りやウインナーなど、包丁を使う食材を入れるのもオススメ。
●野菜スープ
キャベツや葉野菜は手でちぎることができるので、不器用で包丁は怖い、年齢的に包丁はまだ早いと考えている方にオススメ。
キャベツは芯と葉でちぎるのに必要な力加減が違うなど、触ってみて初めて分かることもある。
指先を使うことで、微細運動や力加減のトレーニングにつながる。
●煮込み料理
煮込んでいる間に休憩できるので、飽きやすく、すぐに疲れてどこかへ行ってしまうADHDキッズにぴったり。
子どもたちに人気のカレーも簡単で教えやすくてママも楽ちんな煮込み料理。
他には、ハンバーグ・味噌汁・焼きそばなどの定番料理だけでなく、クッキー・ゼリー・パンなどのお菓子系という回答も。
総合的には、「子どもの好きなもの」が一番飽きずに取り組みやすいのではという意見が多く見られました。
また、包丁を使わなくても良い「ちぎる・つぶす・混ぜる・こねる」といったものや、包丁を使うとしても食材のサイズ・形状にこだわらなくていいものが多いですね。
いかがだったでしょうか。
ADHDタイプのお子さんにクッキングをやらせてみたいときは、最初から全部やろうと思わなくて大丈夫です。
簡単なところややりたいところだけやらせてみて、できてもできなくてもやろうとした気持ちをたくさん褒めてあげてください。
ADHDとASDのミックスタイプに多い「最初から全部やりたいの!」などこだわりが強いお子さんには、卵焼きのような工程が簡単ですぐ終わるクッキングがおすすめです。
また、年齢が高いお子さんの場合は、お子さんがクッキングをしている横でママが片付けなど別の作業をする姿を見せることで、これをしている間にこうするといいんだと見て学ぶことができます。
もし、失敗しても「頑張ったね、挑戦してすごい!」と努力したこと・チャレンジしたことに注目してあげてくださいね!
きっと次に繋がります。
アンケート結果からもわかるように、お子さんのケガや不器用さへの心配もあると思います。
そこをちょっと工夫したり、簡単な作業にするなど考え方を変えることで、ママのイライラを減らして子どもの成功体験を増やすことができるので発達を促すことができますよ!
ADHDの治し方があるのか気になっていたというママは、ぜひ親子クッキングに取り組んでお子さんの脳を発達させることに挑戦してみてくださいね!
執筆者:小川 ゆり
(発達科学コミュニケーション STELLA*Schoolアンバサダー)
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