「褒めているのに伝わらない」そんなADHDや発達凸凹の小学生には、ただ行動を褒めるのではなく、褒め言葉が子どもにどう届くかを意識することが大切です。言葉の裏にある気持ちや具体的な力を、伝わる言葉にすることで子どもの自信につながります。
1.褒めているのに伝わらない?ママの声かけが子どもの自信にならなかった日々
「褒めているつもりなのに、響いていないかも…。」
私がそう感じ始めたのは、我が家の注意欠如・多動症(ADHD)の小学生の息子の反応があまりにも薄かったからです。
褒める声をかけても、それがやる気に繋がっていないように見えるし、何より「自信」として積み上がっていく感じがしませんでした。
それでも、ADHDや発達凸凹の子どもには“褒める関わりがいい”とよく言われていたので、いろいろな声かけを試していました。
できている瞬間を見逃さずに、
「朝、自分で起きれたね」
「ご飯、ちゃんと座って食べてるね」
「お風呂に入ろうとしてるんだね」
「手伝ってくれてありがとう」
など、その子なりのがんばりに気づいて声をかけるようにしていました。
息子なりのがんばりに気づいて伝えると、確かに一瞬、表情はパッと明るくなります。しかし、そのあとが続きません。

まるで褒め言葉が子どもに届かず、ふわっと空に浮かんでそのままどこかに飛んでいってしまうような感覚で、心には残っていない感じがしていました。
響いたように見えても行動が広がらないし、自分から何かにチャレンジする様子もあまり見られない。
そんな日々が続いて、「どうしたらこの子の中に“自信”として残るんだろう?」と悩んでいました。
せっかくの小さながんばりを、力に変えてほしいのに…。
今思えば、息子自身が自分の気持ちに気づきにくかったり、感情を表現するのが得意でなかったりして、「嬉しい」とか「わかってもらえた」という感覚を、表に出すのが苦手だったのかもしれません。
そんな背景も知らずに「できていること」に注目して言葉をかけているだけでは、届かないのかな?と、このままでいいのかと悩むようなモヤモヤした気持ちをずっと抱えていました。
2.ADHDや発達凸凹の小学生への褒めが伝わらない2つの理由
実は、ADHDや発達凸凹の小学生に褒め言葉がうまく届かないのは、ネガティブな記憶と感情を言葉にしづらいという2つの理由が関係しています。
1つ目のネガティブな記憶とは、過去に失敗した経験や、思うようにできなかった記憶が積み重なって、「どうせまた怒られるに決まってる」「きっとまた上手くいかない」と、自分でブレーキをかけてしまうようになることです。
だから、どんなに周りが「すごいね!」「よくできたね!」と声をかけても、本人の中に「自分でがんばった」「やってみてよかった」という感覚が育っていなければ、それはただの“通り過ぎていく言葉”になってしまうことがあるのです。

2つ目の感情を言葉にしづらいとは、ADHDや発達凸凹の小学生には、感情をうまく理解したり表現したりするのが苦手な特性を持つ子もいるということです。
たとえば、嬉しいと感じていてもその気持ちを言葉にするのが難しかったり、表情に出すのが得意でなかったりすることもあります。
それが「褒めたのに反応がない」「響いていないように見える」理由の一つなのです。
だからこそ大切なのは、「褒め言葉を伝える」だけでなく、子ども自身がその言葉をどう受け取るか、そして「この行動には意味があった」と感じられること。
その実感が少しずつ積み重なって、自信の土台になっていくのです。
3.ふわっと消えていた言葉が力になる!褒め言葉が子どもの心に届く伝え方
そこで私が意識してやるようになったのは、「できていること」だけでなく、その中にある本人の優しい気持ちや、考える力・行動する力などに注目して、言葉にして伝えることでした。
ADHDや発達凸凹の小学生は、自分の力に気づきにくかったり、自信を持ちづらいことがあります。
だからこそ、少しでもその心や力が見えたときには、ママとしての願いを込めて、意識的に言葉にしていきます。
なぜなら、それが、子どもにとって「自分って、そういう力を持ってるんだ」と気づくきっかけになるからです。
たとえば我が家では、
「道、合ってるかな?」と聞いた時、「看板を曲がったから大丈夫だよ」と答えてくれた息子に「記憶力がよくなってきたね」と伝えたりします。
ただ“覚えていた”ことだけじゃなく「記憶力」という言葉で具体的な力を認めるようにしました。

これは、習い事などで、ママが直接その場にいなかったときにも使えます。
たとえばコーチから「今日は小さい子のお世話をしてくれてましたよ」と教えてもらったとき、以前の私は「え、どんなことしたの?」と細かく聞き出そうとしていましたが、うまく答えられない息子にとっては、プレッシャーだったかもしれません。
今ではそういうときこそ、「小さい子のお世話をしたってことは、周りをよく見ていたってことだね。観察力があるし、優しい気持ちがあるね。自分から動いたってことは行動力もあるってことだよ」と、私なりにその場面の“意味”を補って伝えるようにしています。
本人がうまく説明できなくても、「自分の行動には意味があった」と感じてもらえるように心がけています。
今では、子どもが何かをがんばったあとに「僕は優しい気持ちがあるからね!」と話すようになり、褒め言葉がちゃんと心に届くようになったのを感じています。
その変化は、いきなり自信満々になるわけではないけれど、確かに内側にゆっくりと自信の芽が育っているように思えます。
その自信があるからこそ、ADHDや発達凸凹の小学生も、次のチャレンジへ一歩踏み出せる“足場”になっていくんです。
「褒め言葉がいまいち子どもに響いていない」と感じるママは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
執筆者:長谷川アン
(発達科学コミュニケーション STELLA*School アンバサダー)
(発達科学コミュニケーション STELLA*School アンバサダー)
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