何回注意してもゲームから切り替えができない子に「宿題しないとゲームできないよ!」と言ってしまい、毎回親子バトルになってしまう。そんな悩めるお母さんに知って欲しいのは、子どもの切り替え力が上がるお家での声かけテクニックです。
1.子どもがゲームからの切り替えがなかなかできない理由
「そろそろ終わりにしてね〜!」「宿題はやらないの⁉」と、何回声をかけてもゲームをやめてくれない。
「いい加減にしなさい!」「宿題やらないとゲームできないよ!」と言うと親子バトルに発展して余計に切り替えできなくなってしまった! このような経験があるお母さんも多いと思います。
ゲームや動画からなかなか切り替えができない子どもは、注意欠如・多動症(ADHD)の可能性があります。
ADHDの人は、好きなことに集中しすぎてしまうため、「やめよう」と頭ではわかっていても、すぐには切り替えられずなかなか行動にうつせないんです。また、好きなことに集中し過ぎると、お母さんの呼ぶ声が聞こえていないこともあります。
なぜそうなるのかというと、脳の前頭前野の働きが関係しています。
脳の前頭前野は一言で言うと「脳の司令塔」です。行動や感情の「ブレーキ役」を担っていて、ADHDの人はこの前頭前野の発達が遅れていると言われています。
宿題や食事のことを忘れたわけではなく、ちゃんと覚えているけれど大好きなゲームから切り替える事がとても難しいのです。

その為、「いい加減にしなさい!」と好きなゲームを強制的に止められると、突然大好きなゲームを奪われたと思い込み、怒りを抑えられず感情を爆発させてしまうことがあります。
わが家のADHDの息子も、帰宅するなりゲーム。「ご飯だよ!」といくら呼んでも返事はなく、なかなか切り替える事ができませんでした。
2.物を投げつけ怒り大爆発!切り替えられずゲーム機を隠された息子の反応
息子の場合は、何度声をかけても「もう1回!」とゲームから切り替えができないので、なかなか宿題を始められないことに困っていました。
怒った父親がゲーム機を隠してしまったときには宿題どころではありませんでした。
「宿題やったらゲームできるよ」と言われても、「どこやった⁉」とゲーム機を探し回るばかり。
見つからないとわかると、椅子をなぎ倒すなど物に当たって怒りを爆発させていました。
まれに癇癪を起さず宿題を始めることもありましたが、しっかり切り替えができていない状態では宿題に集中できず、些細なミスで鉛筆や消しゴムを投げ始め、結局は爆発してしまいます。

息子がこんなに怒りっぽかったのは、ADHDの特性から学校で一斉指示を聞き洩らしたり、板書が苦手で周りからネガティブな注目をされることが多いからでした。
そのため、学校生活でストレスを抱えやすい息子にとって、ゲームや動画は一時的にストレスを忘れさせてくれる「癒し」として欠かせないものだったのです。
だからこそ、ストレス発散ができるゲームを強制的に禁止されることは許しがたい事だったのです。
3.ゲームがやめられない子の切り替え力を高める!脳に届く声かけテクニック2選
では、ゲームから切り替えて次の動きができない子にはどうしたらいいのでしょうか?
切り替えてサッと行動に移れるようになるお家でできる声かけテクニックを2つ、ご紹介しますね。
◆①ゲーム時間を自分で決めてもらう
「何分遊ぶ?」「何時まで遊べると思う?」ゲームを始める前に、子ども自身にゲーム時間を決めてもらいます。ママもその時間でOKなら「じゃあタイマーセットしよう」とゲームを始めます。
脳は「自分で決めた」と感じたことには責任感を持ちやすく、その時間を守ろうとする意識が働きやすいので、ゲームから切り替えがしやすくなります。
そのため、たとえ時間を守れなかった場合でも、感情的に怒らずに済むことが増えていきます。
◆②魅力的なご褒美を用意する
ゲームは中毒性が高く、大人でもやめられない人が多くいますよね。 切り替える力が弱いADHDキッズにとって、大好きなゲームをやめることはとてもエネルギーがいることなんです。 そこで、ゲームと同じくらい魅力的なご褒美が必要です。
たとえば「終わったらアイス食べようか」「おしまいにできたら、カードゲーム1回勝負しよう!」など、子どもがワクワクするご褒美がおすすめです。

また、切り替えができた時には「自分で切り替えできたね」「昨日より切り替えが早かったよ」などと肯定の声かけをすることで自分の行動に自信が持てるので、ゲームからのスムーズな切り替えが定着していきます。
そして、自分の行動に自信が着くと、宿題など苦手な事にも取り組めるようになっていきます。
我が家のADHDの息子はというと、ゲーム終了時間が近づいてきたら、「あと〇分できるよ」と何度か予告をしてあげたり、「終わったらジュース飲もうね」とご褒美を用意したことで、怒らずに切り替えて次の行動に移れることが増えています。
お子さんの脳に届く声かけで、親子バトルから楽しいご褒美の時間に「切り替えできた」という、成功体験の記憶をたくさん作ってあげてくださいね。
執筆者:仲川かよこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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