宿題をしない!発達障害グレーゾーンの子どもたち
わが家には自閉スペクトラム症(ASD)グレーゾーンの息子と、注意欠陥多動症障害(ADHD)の娘がいます。以前は宿題に取り組むまでも、取り組んでからも時間ばかり過ぎてしまい、声をかけても注意をしてもなかなか終わらず困っていました。
ASDグレーゾーンの息子とADHDの娘は全くタイプが違い、同じ対応が出来ず1人ずつ対応していたので、宿題の時間は家事も進まず憂鬱な時間でした。
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「めんどくさい」は要注意!?
わが家の子どもに宿題をしない理由を聞くと
「めんどくさいから、やりたくない」
と言うだけで私も困り果てていました。
ですが「めんどくさい」には隠れた理由があったのです。
隠れた理由の1つに、学校での時間は発達障害・グレーゾーンの子どもにとって、脳にとても負荷がかかり疲れやすいということがあります。
集中すること、じっと座っていること、苦手なこと、頑張っていてもわかってもらえず注意されるなど、何時間も学校にいるだけで、脳はヘトヘトに疲れている状態なのです。
また、「めんどくさい」に繋がる要因を具体的に見ていくと、発達障害の特性が関係していることが多くあります。
例えば
1、書くことに苦手を感じている
2、問題の量が多いと見通しが持てなくなる
3、色んなものが気になって集中できない
4、習ったところが理解できていない
5、間違いや字が上手く書けずやり直しが多い
など
1、書くことの苦手には目と手の協応が苦手さが関係しており、自分の手や指を見た通りに動かすことが苦手な子も多いです。また感覚過敏が関係し、真っ白な紙が眩しく感じる、字を書くときの鉛筆と紙が擦れる音が苦手などもあります。
2、問題の量が多いと見通しを立てることが出来ない子は、どのくらい時間がかかるのか不安になることがあります。
3、色んなものが気になり集中できない子はADHDタイプに多く、楽しそうに感じること、触ってみたいもの、耳に聞こえてくる音などいろいろな刺激に気持ちが引き寄せられ進まなくなります。
4、習ったところが理解できていない原因の1つにはワーキングメモリという記憶のメカニズムが関係しています。情報を正しくインプットしたり正しくアウトプットできないなど困りごとが増えやすくなります。
5、字を何度も書き直しさせることは、嫌な記憶を増やしてしまうことにも繋がります。自己肯定感が下がり、自分はダメだと自信を無くしてしまうことも多くあります。
隠れた理由に共通すること
上で挙げたものは「めんどくさい」と感じる理由の一例ですが、どの理由にも共通していることがあります。
それはネガティブな感情の蓄積です。
疲れている状態で「先に宿題をしなさい」「まだ終わらないの?」と言われたり、特性によって苦手がある状態で「早くしなさい」「どうしてできないの?」と言われると子どもはさらに辛く、嫌な気持ちになります。
発達障害・グレーゾーンの子どもは嫌な記憶、ネガティブな記憶が残りやすい特徴があり「宿題をしている時に叱られる」という経験が積み重なると
宿題 = 嫌なもの
という記憶がどんどん強くなってしまうんです。
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必要な対応ポイントはたった2つ!
宿題 = いい記憶 に変えていく。
「先に遊びたい」と言えば「いいよ。何時からにする?」と明るく聞き、本人が時間を決めます。
「お菓子を食べてからがいい」と言えば「いいよ。お菓子を食べてからにしよう!」と受け入れます。そうすることで受け入れてもらえたと、嬉しい気持ちになります。
宿題が進まない時は「頑張ってるね!早く終わったらお菓子を買いに行こうか?」や「◯分までに終わったら好きな動画30分長くみてもいいよ!」とご褒美作戦を使い、ワクワクした気持ちにさせてあげます。
勉強への苦手意識が強い子には、まず苦手や不安を取り除いてあげてください。
目と手の協応が苦手、書き写すことが苦手な子には、青ペンなどでお手本を下書きしてあげるのがおすすめです。
真っ白な紙が眩しく感じる場合は度のないカラーメガネを使ってみたり、鉛筆と紙が擦れる音が苦手なら、好きな音楽を聴きながら取り組むことで音が気にならなくなります。
見通しを立てることが出来ない時は「一問だけやってみよう!」と一緒に取り組み「1つ◯分で出来たから、あの時計の長い針が◯にくる頃には終わるね!」とわかるように提示してあげます。
気が散りやすい子は周りになるべく物を置かず、音のない空間にしてあげ、集中が切れる前に「もうここまで出来たんだね!」など肯定の声かけをしてあげるといいです。
インプットが苦手な子には覚え方を面白くしたり、アウトプットが苦手な子には思い出すヒントを作ってあげると、思い出すきっかけになります。
字が上手く書けない時は、出来ている所に注目し「この字綺麗に書けたね!」と声に出して伝えてあげます。
出来ていることを肯定する。
約束の時間が来る前には「後◯分したら始めよう!」と明るく予告し時間になったら「楽しい時間だったね!じゃあ始めよう!」と声をかけて待ちます。本人がやめて始めたら、すかさず「ちゃんと始められたね!」と褒めてあげます。
宿題をしている最中にも「もうここまで終わったんだね!」と出来ていることに注目し、頑張っていることを肯定します。
脳は楽しい時、嬉しい時に発達します。嫌な気持ちで宿題をしても脳は発達してくれません。せっかくなら宿題の時間にも脳を発達させられると嬉しいですよね。
肯定をすることで自信が付き、行動の定着にも繋がり、自分から宿題に取り組むようにもなります。宿題を始める前も、宿題をしている時も嫌な記憶にならないように、褒めることや肯定の声かけはとっても大切です。
お子さんのタイプや特性によって違いがありますが、わが家のASDグレーゾーンの息子は疲れやすく、やり直しや書き直しなどのネガティブな記憶、学校でのストレスがとても多いです。それに加え、感覚過敏や見通しを立てることも苦手です。
ですから息子にはまず先に好きなことをして、ストレスを取り除きます。動画を見たりゲームをしたり、自分で宿題を始める時間を決めてもらい、心を安定させることを優先しています。
心が安定すると宿題をします。感覚過敏による鉛筆の持ち具合、紙に擦れる音の苦手はお気に入りの鉛筆を使い、好きな音楽をかけて取り組むと苦手なものが軽減し進めることが出来ます。
今では自分でペースを掴み1日のリズムができたので、学校や遊びから帰ってくると
「今日はどうする?」
の声かけだけで宿題に取り組むようになりました。
ADHDの娘は気が散って集中が続かないことやワーキングメモリの弱さがあります。
ですから娘と会話をする時には、何かの場面やエピソード、その時の感情が思い出せるような質問をしています。
「今日は何か面白いことあった?」
「その時、先生は笑ってた?」
「先生が言ってたこと、真似してお母さんに教えて!」
と楽しく会話をしながら思い出していきます。
宿題は気にならないように環境を整えてから取り組みます。そして集中が切れる前に「もう◯問できたね!」「この字綺麗に書けてる!」と肯定の声かけをすると集中が途切れずに進みます。
こんな風に脳の特性を正しく理解することで我が子に合った対応ができるようになり、その結果、宿題が進むようになり、楽しく会話をしているだけで息子の記憶力も伸びて苦手だった漢字テストで100点を取ることも増えました。
私の経験が皆さんのお役に立てると嬉しいです。
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執筆者:原田たえみ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)