行きたいけど行けない…その言葉、信じていいですか?

朝起きられない

さて今日は、

 

「行きたいけど行けない…

その言葉、信じていいですか?」

というお話です。

 

起立性調節障害の子がよく言う、

「学校に行きたいけど、行けない」

この言葉の正体について

知っていますか?

 

前日の夜には、

「明日は行きたい」

「友達にも会いたい」

「授業も受けたい」

と言っていた。

 

ところが朝になると、

頭が痛い。

吐き気がする。

体が重くて起き上がれない。

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そして、

「やっぱり行けない」と言う。

 

そんな姿が続くと、

行きたいって言っていたのは

本当なの?

もしかして、さぼり?

 

学校が嫌なら、

嫌だと言えばいいのに。

 

少しだけでも

行ってみたら変わるのでは?

 

と、ママも混乱しますよね。

 

ですが、

「行きたいけど行けない」は、

気持ちが矛盾しているわけでは

ありません。

 

「行きたい」も本当。

「行けない」も本当です。

ではなぜ、両方が同時に

起こるのでしょうか。

 

それは、

「行きたい」と考える働きと、

「危ないから止まろう」と

体を守る働きは、

同じようには

動いていないからです。

 

「友達に会いたい」

「勉強が遅れるのは嫌だ」

「できれば普通に学校へ行きたい」

これは、

 

子どもが頭で考えている

本当の気持ちです。

 

一方で脳には、

過去の経験をもとに、

「またつらくなるかもしれない」

「失敗するかもしれない」

「途中で具合が悪くなったら困る」

と、危険を予測する働きもあります。

 

例えば、

学校で具合が悪くなった。

朝、起きられずに責められた。

久しぶりに登校したら、

みんなの視線が怖かった。

頑張って一日過ごしたら、

翌日から何日も動けなくなった。

成績をキープしたいのに

それが難しくなってきた。

 

そんな経験が重なると、

本人が意識するより先に、

学校や朝の準備に反応して、

体が緊張する。

心拍が上がる。

お腹が痛くなる。

吐き気がする。

体が固まって動けなくなる。

という反応が

起こることがあります。

 

つまり、

頭では「行きたい」と思っていても、

脳と体は、

「前にもつらかった」

「今日は止まったほうが安全」

と判断していることがあるんです。

 

さらに、ここで関係するのが、

自分の体の内側の変化を

感じ取る「内受容感覚」です。

 

緊張している。

疲れがたまっている。

心臓がドキドキしている。

お腹に力が入っている。

こうした体の変化に

早い段階で気づける子もいれば、

 

頭痛や吐き気、

強いだるさになるまで、

気づきにくい子もいます。

 

特に、

人に合わせるのが上手。

周りの空気をよく読む。

つらくても「大丈夫」と答える。

その場では笑顔で頑張れる。

そんな子は、

周りの人の気持ちには

よく気づけるのに、

自分の疲れには

気づかないまま頑張ることがあります。

 

だから本人も、

前日の夜には本気で、

「明日は行ける」

と思っているんです。

 

けれど翌朝、

脳と体の警戒反応が強く出て、

初めて「動けない」と気づく。

 

これが、

「行きたいけど行けない」

の正体です。

そして、もうひとつ、

知っておいてほしいことがあります。

 

 

学校へ行こうとして

頭痛や吐き気が出たとき、

「今日は行かない」と決めると、

張りつめていた緊張が

少し下がることがあります。

 

すると脳は、

「学校へ行かなければ、

この苦しさから逃れられた」

と学習します。

 

これは、

怠けを覚えたのではありません。

脳が、

苦しさを避けて

自分を守る方法を覚えた、

ということです。

 

この経験が何度も重なると、

体調が少し良くなっても、

学校の話を聞く。

制服を見る。

翌日の予定が決まる。

朝が来る。

それだけで、

以前のつらさを予測して、

警戒反応が起こることがあります。

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だから、

おうちで元気に過ごせるように

なったのに、

学校には動き出せない。

 

一度は登校できたのに、

また体調を崩した。

 

ということが起こるんです。

これは、

回復が全部振り出しに戻った、

ということではありません。

 

体の回復と、

学校に対する脳の警戒反応が

変わることは、

同じではないからです。

 

もちろん、

起立性調節障害は

気持ちだけの問題ではありません。

 

自律神経の働きが関わる病気ですから、

身体の状態を確認し、

必要な治療や生活面のケアを

続けることが大切です。

 

そのうえで、

体調は良くなってきたのに

動き出せないときには、

 

本人のやる気だけを

確認しても答えは出ません。

 

必要なのは、

「本当は行きたいの?」

と気持ちを確かめ続けることでも、

「行けば何とかなる」

と背中を押すことでもありません。

 

まず、

安心できる会話の中で、

本人も気づいていない

体の緊張や疲れに気づけるようにする。

 

次に、

一日登校するか、

完全に休むか、

という二択ではなく、

 

本人が、

「ここまでならできそう」

と思える大きさまで

一歩を小さくする。

 

そして、

「校門まで行けた」

「自分で帰る時間を決められた」

「不安になったとき、助けを求められた」

という経験を重ねる。

 

そうすることで脳に、

「学校はつらいだけの場所ではない」

「不安があっても、自分で調整できる」

という新しい記憶が増えていきます。

 

「行きたいけど行けない」は、

意志が弱いからでも、

甘えているからでもありません。

 

行きたいと考える頭と、

危険を予測して止まる脳と体が、

別々の答えを出している状態です。

 

ここが分かると、

なぜ励ましても動けないのか。

なぜ元気になっても再び止まるのか。

なぜ「本人の意思を待つ」だけでは

変化しにくいことがあるのか。

 

その理由が

つながってきます。

 

体調は良くなってきた。

だけど、

なかなか動き出さない。

 

「行きたいけど行けない」の先へ

進むヒントとして、

明日のメルマガも

楽しみにしておいてくださいね。

 

今日はここまでです。

 

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