さて今日は
「安心させるだけでは
動き出しません」
というお話です。
今日は、
不登校への対応を学んで、
声かけも変えた。
親子関係もよくなった。
子どもの笑顔も増えた。
だけど、
そこから先へ進めない…
そんなママへお話しします。
実は最近、私の講座には、
すでに別のトレーナーから
発達科学コミュニケーションを
学んだ方や、
ほかの不登校講座、
ペアレントトレーニングで
声かけを学んだ方も来られます。
みなさん、
何もできていないわけではありません。
以前のように、
「いつまで寝ているの?」
「少しは勉強したら?」
「明日は学校に行けそう?」
と、子どもを追い詰めるような
声かけは減った。
できていることに注目したり、
子どもの話を否定せずに聞いたり、
安心できる親子関係を
つくれるようになっています。
その結果、
部屋から出てくるようになった。
家族と話すようになった。
笑顔が増えた。
好きなことを楽しめるようになった。
ここまで回復することはあります。
声かけを変えることで、
子どもが安心を取り戻し、
回復の段階を進めることはできます。
けれど、その先で
止まってしまう親子がいます。
学校の話になると黙る。
勉強の話をすると、
「もう無理だから」と諦める。
本人は「行きたい」と言うのに、
前日になると不安が膨らむ。
「明日は行く」と決めても、
朝になると動けない。
少し挑戦したあとに、
また何日も動けなくなる。
ママは、
「まだ休息が足りないのかな」
「私の声かけが間違っているのかな」
「もう少し待てば、自分から動くのかな」
と迷い始めます。
ここで必要になるのは、
さらに優しい言葉を探すことでも、
もっと上手に褒めることでもありません。
子どもの中で起きている
ネガティブな思考の反応を
見立て、リセットすることです。
たとえば、同じ
「学校に行きたいけど、行けない」
という言葉でも、
その背景は一人ひとり違います。
勉強の遅れを見られるのが怖い子。
久しぶりに教室へ入ったとき、
周りから何か言われる気がする子。
一度行ったら、
次の日からも行かなければならないと
考えてしまう子。
行って途中で帰るくらいなら、
最初から行かないほうがいいと思う子。
「できなかった自分」を
これ以上増やしたくない子。
周りにどう思われるかは分かっても、
自分が何に疲れ、
何を怖がっているのかは
うまく言葉にできない子。
表面に出ている行動は
同じ「行けない」でも、
脳が何を危険だと判断し、
どの場面でブレーキをかけているのかは
違います。
ネガティブ思考をリセットするとは、
前向きな言葉をかけて
ポジティブに変えることではありません。
その子が、
何をどう受け取ったのか。
どこで未来を悪く予測したのか。
どんな「ゼロか百か」の
考えに入ったのか。
なぜ回避するほうを選んだのか。
その脳の反応を丁寧に見立てて、
「行くか、行かないか」
「できるか、できないか」
という二択の間に、
新しい選択肢を増やしていくことです。
「教室には入れないけれど、
放課後なら先生に会える」
「一日全部は難しいけれど、
この授業だけなら受けたい」
「みんなと同じようにはできないけれど、
自分に合う方法なら試してみたい」
「今日はできなかったけれど、
次はどうすればできそうか考えたい」
そんなふうに、
子ども自身が考え、選び直せる状態を
つくっていきます。
これは、決まった声かけを
当てはめるだけではできません。
今、その子が
回復のどの段階にいるのか。
体調、自律神経、不安、認知のクセ、
過去の失敗経験、感覚の敏感さ、
学校や家庭で受けている負荷。
それらを重ねて、
脳の反応を見立てる必要があります。
私の講座を受講された方からは、
「なるほど、
そういうことだったんですね」
「その視点は初めてです」
「同じ言葉なのに、
この子には違う意味で
届いていたんですね」
という声をよくいただきます。
見立てが変わると、
ママの声かけも変わります。
そして、子どもの動き方も
具体的に変わっていきます。
(実際に6週間後のお子さんの変化↓)
✓「こっちがいい」も
「それは嫌」も言えなかった子が、
「どっちがいい?」と聞かれると、
自分の希望を選んで
伝えられるようになる。
そして、
「算数をやりたい」
「ドリルを買いに行きたい」
と、自分から次の行動を決め始める。
✓1年半、学校にも部活にも
行けなかった子が、
「部活に行きたい」
と自分から動き、
久しぶりに野球部の練習へ参加する。
そして、1年半ぶりにフライを取り、
帰宅してから
「楽しかった」と話してくれる。

✓文化祭には行かないだろうと
ママが思っていた子が、
前日に自分から先生へ
「明日、行きたい」と伝える。
当日の朝、まだ寝ていても、
自分で「行く」と決めたからこそ、
起きて文化祭へ向かい、
友達に会うことができる。
✓今の高校に在籍し続けられるかさえ
心配されていた子が、
「卒業生として、
出身中学の定期演奏会に出たい」
という自分の思いを叶える。
✓「部活をやる・やらない」
「学校へ行く・行かない」
その二択だけで考えず、
今の自分なら、
どこまでできそうか。
何を小さくすれば、
一歩を踏み出せそうか。
自分で考え、選び、動き始める。
✓ママから見ると
大きな変化がないように感じる時期にも、
子どもの中では、
「本当は、こんなことを考えていた」
「実は、ここが不安だった」
と、自分の状態を言葉にする力が
育っている。
一度できなかったからといって、
すべてがゼロに戻るわけではありません。
できた経験が脳に上書き保存され、
次に動くための材料になっていきます。
その積み重ねが、
ママに動かされる子から、
自分の気持ちを言葉にし、
自分で次の一歩を決められる子へと、
変化していく土台になります。
誰かに動かしてもらうのではなく、
自分で立て直し、
次の一歩を選べるようになる。
私が目指しているのは、
不安や失敗に出会ったときにも、
子どもが自分で考え、選び直し、
もう一度動き出せる脳を育てることです。
だから私は、
「この声かけをしてください」
だけでは終わりません。
なぜ、この子は動けないのか。
今、どんな不安が
脳にブレーキをかけているのか。
次の一歩を引き出すには、
何を減らし、
何を育てる必要があるのか。
そこまで見立てて、
一人ひとりに合う関わり方を考えます。
声かけを学んだのに、
また元に戻ってしまった。
安心して過ごせるようにはなったけれど、
そこから先へ進まない。
それは、これまでの関わりが
間違っていたからではありません。
安心を取り戻す段階から、
自分で未来へ動き出す段階へ。
今のお子さんに必要なサポートが
変わってきたということかもしれません。
「待つ」か「動かす」かではなく、
この子は今、
何を怖がり、
どこなら自分で選べるのか。
その見立てができるようになると、
止まって見えた時間の中にも、
これまで見逃していた成長が
見えるようになります。

そしてママは、
「いつ動くのだろう」
と暗闇の出口を待つ人から、
わが子が動き出すために
今、何を育てればいいのかが分かる人へ
変わっていけるのです。
今日はここまでです。


