吃音×繊細キッズは「これ言っても大丈夫かな?」と不安になり困りごとを話すことを躊躇してしまう子がいます。これは吃音を1人で抱えてしまうことにも繋がりかねません。早めの対応でなんでも話して大丈夫と思える信頼関係を作っておきましょう!
吃音の人口と実際に出会う吃音の人口にズレがある正体
幼児期に起こる発達性吃音は近年の幼児期における調査から、吃音の発症率は約8〜11%程度であることが報告されています。一方で、海外の調査からは、学童期以降成人までの吃音の時点有症率(ある特定の時点での全人口における吃音のある人の割合)は、1%より少ない0.8%が妥当と言われています。
つまり学童期以降は125人に1人いるという計算になります。
私の体感ですが、吃音だと認識される人の割合はもっと少ないように思います。それは、吃音だと気づかれないように日々気をつけながら暮らしている人が多いためではないでしょうか。
吃音を隠すことばかりに意識がいくと本当の自分が薄れていく
ジョセフ・G・シーアン(カリフォルニア大学教授)が提唱した吃音氷山説をご存知でしょうか?吃音の問題の本質は、海面上に見えるどもる状態ではなく、海面下の見えない部分にある感情・思考・行動だとする説です。
感情:恥じる、不安、恐怖など
思考:「吃音は悪いもの、恥ずかしいもの」「吃音のせいで〇〇ができない」などの捉え方、考え方
行動:吃音を隠し、話すことに消極的になること
まさに、私は長年海面下の感情・思考・行動ばかりに気を取られて、本来の自分はどうだったのかわからなくなっていきました。
吃音がなかったら、どんな人生だったんだろう・・・
大学時代のバイト先、就職先、何かを選択する時にはいつも吃音が頭をよぎっていました。吃音という私のほんの一部に、人生を大きく変えられていました。
大学時代のバイト先、就職先、何かを選択する時にはいつも吃音が頭をよぎっていました。吃音という私のほんの一部に、人生を大きく変えられていました。
娘が吃音を発症したことで私の人生が大きく変わる
娘が2歳半の時に吃音を発症し、自分以外に吃音で悩む人生が始まることに絶望しか感じませんでした。ですが、娘の吃音の相談を医療機関や福祉センターにする機会が何度かあり、吃音の話題への抵抗感が薄れていきました。
そしてずっと1人で抱えていた自分の吃音について問診の家族歴で話す場面があり、初めは緊張しましたが、1度言ってしまえば次からはなんてことなく話せるようになりました。
「吃音=隠さないといけない恥ずかしいもの」という今までの概念が覆り、なんで私はこんなことにずっと苦しんできたんだろうと思いました。この経験から、吃音に対してネガティブな感情が少ない幼児期から、ママは対応していく必要があると感じました。
娘吃音×繊細キッズがなんでも話せるようになるママの対応法
子どもがなんでも話せるような関係を作っておくことが、吃音の困りごとを1人で抱えさせないためのポイントです。それは、子どもが好ましくない行動をしても否定せず肯定することです。好ましくないこととは、悪いこと、心配かけること、困らせることなどです。
繊細なお子さんは、否定されると極端に落ち込む子がいます。否定しないこと、笑顔で対応することを意識しましょう。
声かけの例をご紹介します。買ったばかりの服を泥だらけにして帰宅し脱衣所に置かれていたとき。
否定の声かけ:買ったばかりなのにこんなに汚して!もう服買わないよ!?
肯定の声かけ:元気に遊んだんだね〜!服出してくれてありがとう!
このように肯定の声かけをすると、子どもは「これってよくないかな?」と思うようなことでも話してくれるようになります。つまり、どんな自分でも受け入れてくれるんだというママとの信頼関係を築いていけます。それが吃音の困りごとを話してくれることに繋がります。
吃音を1人で抱えるのは本当に辛く、吃音が深刻な状態まで進行する可能性もあります。話せる相手が身近にいるだけで救われます。ママが「吃音なんて大したことない」というスタンスで子どもと接していれば、子どもも「吃音なんて気にならない!私は大丈夫!」となり、吃音が進行せず脳の発達と共によくなってきますよ。
執筆者:藤野ゆっこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)