吃音のある子の4月といえば、
新しいクラスで
子どもが傷つかないように
準備をしましょう!
と勧められる時期です。
吃音のある子が
授業で発表する時や、
日直でみんなの前で
話さないといけない時、
誰かと一緒に発表する
環境にしてもらったり、
九九のタイム測定の
時間制限を緩めて
もらったり、
クラスのみんなに
どもった時にどんな対応を
してほしいか事前に知らせて、
からかいやいじめを予防する
合理的配慮を勧める
ことがあると思います。
これらの準備によって
どもることによる
嫌な経験を予防できることは
もちろんあるのですが、
うまくいかないケースも
実はあるんです。
それが合理的配慮の穴です。
過去に相談されたケースでは、
こんなことがありました。
・先生の前では
からかわれないけど、
先生がいないところで
からかわれる。
・お前だけ特別扱いされて
ずるい!とひがまれ、
仲間はずれにされる。
・本当はみんなに
吃音のこと言いたくない。
4月は1年で1番辛い時期、
と子どもからカミングアウト
された。
なぜ、こういうことが
起こるのでしょう?
一つは、
合理的配慮を
字面通りにしてしまった
ケースです。
人は感情が動いた時に
自分の行動を変えようと
いう気持ちになります。
吃音を知らない子どもたちが
なんの心構えもなく、
唐突に、どもった時の対応を
教えられても、
伝えたい本質が伝わらず、
表面的な対応で
終わってしまうケースです。
その結果、
吃音とは関係ないことで
友達トラブルが起きた時などに
唐突に話し方を
引き合いに出されたり、
いじめの対象にされて
しまうということが起きます。
もう一つのケースは、
先生がとてもとても
感情的に吃音のことについて
語ってしまって、
まだ何も起きていないのに
火種を作ってしまった
ケースです。
「吃音というのは、
その人の個性であり、
肌が白い、黒いという
理由で差別するのと
同じぐらい悪いことです!」
と力説し、
その子に対して
特別優しくしないと
いけないような雰囲気を
つくってしまった時に
「お前だけズルい」
「どもってるだけで特別扱い」
と言われてしまう事態に
なります。
大事なことは、
吃音を特別扱いしないこと。
どもっていても
「そんな時もあるよね〜」
という態度で
先生がどうどうと動じずに
話を聞く態度を
子どもたちに見せることが
何よりも大事です。
そして、
吃音のことについて話す時も、
「どもることがどうした〜?」
って態度で、
「子どもの頃は
そういう話し方になる子が
いるんだよね。
そのうちよくなるから、
今は最後まで話聞こうな!」
と明るくサラッと
いってくれるだけでも
全然違います。
そして、
どう伝えるか以上に
お家でも学校でも
どもることには注目せず、
子どもたちのいいところに
大人が注目してくれてれば
いいんです。
吃音のある子どもだけじゃなく、
クラスのみんなに、
・鉛筆とがってるね!
・教科書準備してるじゃん!
・いい言葉知ってるね!
・楽しそうに遊んでるな!
・この「つ」きれいだね!」
・その姿勢いいね。
・手がピンと伸びてるね。
・友達に教えてるんだ。
ありがとう。
などなど、
どもること以外、
子どもたちの悪いこと以外を
ずっとグルグル肯定して
回って、
クラスに良い循環を
つくっておくと、
吃音への注目も減り、
吃音以外のことでも
からかいやいじめは
起こりにくくなります。
つまり、
問題は吃音じゃない。
からかいやいじめが
起きにくいクラス作りを
している上じゃないと、
合理的配慮による穴は
予防することはできないんです。
ルールを作ったり、
約束事を増やしたりするよりも
基本の肯定的な態度が重要です!
ではまた!