お友達と外に遊びに行かない吃音のある娘
吃音のある私の子どもが小学2年生の頃の出来事です。娘は学校から帰ってくると、宿題や明日の準備など、やることはやってくれますが、終わるとすぐに「YouTube観ていい?」「ゲームしていい?」と聞いてきます。
お友達と一緒に帰ってきている様子もなく、約束もしてこない娘に、私はだんだん心配と不安が強くなっていき、
もしかして、お友達がいないのかな?と考えるようになりました。
違う学校に通っているママ友の同じ歳の子は、しょっちゅう遊んでいる様子。同じマンションの子たちも賑やかに遊んでいる姿をみては、「もしかしてどもることが原因でお友達関係が難しくなっているのかもしれない」と考えるようになりました。
愛着に沿った対応で吃音が減った!
ところが、違ったのです。その答えは、吃音のせいではなく、「愛着」に問題があったのです。
娘は、ネガティブなことはあまり言わない分心に溜め込みやすい、そしてそのネガティブな感情の吐き出し方が分からず、いつも不安を抱えていたので、外に遊びにいくことができない現状だということがわかりました。
私は愛着に注目し、愛着修復に沿った対応をした結果、どもりが減ったのです!
その経験から、愛着の修復対応と吃音は繋がっているんだと実感しました。
そもそも愛着ってあまり聞きなれない言葉かもしれません。
「愛着」とは、「(母と子の場合)母子1対1でお互いに信じ合えて、子どもが愛されていると思える関係性」のことです。
子どもがお友達や先生とスムーズなコミュニケーションを築くために、土台となるのが「愛着の絆」なのです。
安定した「愛着の絆」を結ぶことで、揺るぎない自己肯定感を育み、人を信頼し、自立して歩みを進めることができるようになるのです。
愛着は、3つの基地機能がありそれぞれがしっかり機能することによって愛着の絆が結ばれていく事になります。
その3つの基地を簡単にご紹介します。
安心基地・・・「一緒にいると心地がいい」という安心感
安全基地・・・「この人が必ず守ってくれる」という信頼感
探索基地・・・「安心して戻れる場所があるのでチャレンジすることができる」という確信感
安心・安全基地が十分に機能していないと、探索基地へは繋がりません。
娘はまさしくここ!
安心・安全基地の機能がうまく機能していなかったのです。
安心安全基地が不安定だから心に漠然と不安があり、吃音がなかなか良くならない原因の一つでした。
では、安心安全基地はどのようにすれば強化されるのでしょう。
その答えは、子どもが「僕/私に関心を持ってくれた!」と思ってくれることを実行するだけです!
吃音が減った「先手の対応」とは?
子どもが「僕/私に関心を持ってくれた!」と思ってくれることとはどういうことでしょうか?
我が家に例えると、娘は抱っこを要求することが非常に多いのですが、言われてから抱っこをするのではなく、言われる前に「そろそろ抱っこしてほしい時だろうな」というタイミングを見計らって抱っこをしてあげるのです!
すなわち「先手の対応」です!
先手に回れず後手の対応になったら、「それママ言おうと思ってたんだよね」と、分かっていたフリをします。
ここで大事なのが、主導権を渡さないことです。
そうすることで、
・私→いつも子どもの要求に振り回され「できない」と断ってしまうことも格段に減った!
・娘→してほしいことをママが言ってくれる!と自分に関心があることが実感できる!
このように私にも娘にも良いサイクルが回り始めました。すると、不思議なことに、行動力が上がり、どもることが減ってきたんです。
子どものどもりに真っ向に向き合うのは絶対NG!
吃音は、どもることに注目しがちですが、それだと良くなりにくいんです。
その理由は、ママがどもる話し方に注目すると、子どもは敏感にママの顔色を感じとり、
「またどもっちゃった」
「今の話し方は良くなかった」
「どもらないようにタイミングを考えなきゃ」と、自分に罰を与え始め、どんどん吃音が悪化する流れにいってしまうからです。
吃音は向き合えば向き合うほど症状が進行します。
もし、子どものどもる話し方に注目してしまっていたママさんがいたら、今この瞬間に注目するのはやめましょう!
ママが注目すべきは「親子のコミュニケーションをスムーズにして、子育ての困りごとを解決すること」ここ一択です。
そうすることで吃音悪化要因「ストレス」が減り、吃音が良くなりやすくなります。そのためには脳の発達を加速させ、ぜひ先手の対応をしてみてください!
参考図書:発達障害?グレーゾーン?こどもへの接し方に悩んだら読む本
フォレスト出版/2024年/206P
執筆者:いわもとあさな
(発達科学コミュニケーショントレーナー)