前頭葉のメカニズムから紐解く子どもの癇癪のおさえ方

脳を育てる

スキー場でこんな親子がいました。

 

4歳ぐらいの女の子が

スキー教室を終えて

ママと2歳ぐらいの弟と

もどってきたところでした。

 

その時間は15時。

ママは開口1番、

「早くブーツ脱いで。

高速が混んでくるから早く帰らなきゃ。」

 

すると娘ちゃんは

「やだ!もっと滑りたい!パパと滑る!」

と脱ぐのを拒否し始めました。

 

スキーができるパパは

上級コースを滑っているらしく、

その場にはいません。

 

ママは2歳ぐらいの弟と

ずっとキッズエリアで遊んでいたようで

すっかり疲れ切っています。

 

女の子に向かって、

 

・ママは帰ってから

寝かしつけまでにやらなければ

いけないことがたくさんあること、

 

・明日も朝から仕事で保育園の

準備が終わっていないこと、

 

などをイライラした口調で

うだうだ言い始めました。

 

すると女の子は床に寝転んで

ギャン泣きを始めました。

それに対してママもヒートアップ!

 

「それするなら

パパが雪山いこうって言っても

絶対来ないからね。

全然楽しくない!

ママはスキーなんてしないんだよ。

3秒で脱がないともう来ないよ!

はい、脱いで!1、2、3!

なんで脱がないのよ!」

 

女の子は立ち上がり、

ママを殴る、蹴る、、、、

もう泥沼になってしまいました。

 

そんなことは日常茶飯事なのか、

2歳の弟君はボーッと2人の様子を

少し離れたところから見ています。

見事な無表情でした。

 

なぜ、こんなことになるのか?

ちょっと脳のメカニズムから

ひも解いてみましょう。

 

脳のメカニズムの研究は

脳を後天的に損傷した人

から進められてきました。

 

今日、ご紹介するのは、

New Yorkにある

前頭葉機能障害の方々を

専門に診るRuskの

「神経心理ピラミッド」です。

 

 

前頭葉というのは、

この表に書かれているように

機能別の階層構造になっている、

と考えられています。

 

 

細かなことを説明すると、

100ページ以上必要になるので、

かいつまんで説明すると、

下から3段目の「抑制」という

ところをみてください。

 

感情をコントロールする

抑制機能は前頭葉機能の中でも

下から3段目ということです。

 

この3段目がぐらつくと、

その上の機能はより一層ぐらつき、

十分に機能を果たせません。

 

 

スキー教室に参加し、

滑れるようになった女の子は

もっと滑りたかった!

上手に滑れるようになった

ところをパパにみてもらいたかった!

 

それを伝える間もなくママに

ダメ出しされてしまって、

その願望を抑えられなくなってしまった。

 

抑制機能の崩壊です。

 

 

そんな子に、「ママは帰ったらね…」

ってママのやることリストを

うだうだ言っても通じないんです。

 

だって、その話を理解するのは、

この表でいう、上から三段目、

「論理的思考力」がすることだから。

 

ピラミッドの下の部分が

ぐらついている時に、

上段に書かれている機能を

使わせようとしても

うまくいかないんです。

 

みなさんも経験ありませんか?

お子さんがぐずったり、

癇癪を起こしたり、

どうしても言うことを聞かない時。

 

そんな時は前頭葉はほとんど

機能していません

 

理屈や正論を並べてもダメ

 

 

じゃ、どうすればいいのか?

 

まず、大前提として、

「もう早く帰りたい!」

というこちらの要望を

スムーズに叶えたい時は、

 

 

「与えるが先!」

 

 

であることを覚えておいて

ください^ ^

 

 

これは鉄則!

 

 

要望を伝える前には

その要望に応えたく

なるように仕向ける

仕掛けが必要です。

 

神経心理ピラミッドでみると、

やはり下から3段目の

「発動性=やる気」

を活性化させる仕掛け

という意味です。

 

このスキー場の親子の例で

言えば、

 

スキー教室を終えて

戻ってきた娘ちゃんの

話をまず聴くことです!

 

 

そして、しっかり

肯定すること!

 

「怖かったけどリフト乗れたんだ!」

「先生に褒められたの?すごいね!」

「転んだけど泣かなかったんだ!」

「先生、飴くれたの!よかったね」

「ハの字で止まれるようになったの!」

 

 

などなど、言ってきたこと

すべてを肯定し、感動しましょう

 

そして、ママの気持ち

伝えてください。

 

 

「1日でこんなに滑れるように

なってビックリしたよ〜!」

ママはスキーできないから

上手に滑ってきた時、

本当に感動したよ!」

 

「先生が褒めてたよ。

センスがいいって!」

 

 

などなどです。

 

 

そこで、親子で

ニコニコ笑顔になっていただき、

娘ちゃんの気持ちを満たします。

 

 

そこで、

「パパにも見せたい!」

「もう滑れるからパパと一緒に滑る!」

と言われたら、

 

早く帰りたい気持ちが

あったとしても、

まだその気持ちは

出しません。

 

それを出した途端、

癇癪が始まります。

 

 

だから、

一旦は受け入れます。

 

 

「そうだね!パパも驚くよ!

でも、パパまだ1人で滑ってて

どこにいるかわからないんだよ〜。

連絡してみるね。」

 

 

と電話をしてパパが対応できるなら

パパに任せて、

ママは帰りの支度を始める!

 

 

パパが電話に出ない、

または対応できないと

言ってきたら、

娘ちゃんに相談

をもちかけます。

 

「どうしよう…。

パパ無理だって…。

それにもう帰る時間に

なっちゃった…。

困ったな、ママはすべれないし、

◯◯くん(弟)もいるし…。」

 

娘ちゃんは、

精神的に満たされた状態

になっているので、

前頭葉の抑制機能が

働きやすくなっています

 

つまり、上段の機能の

「論理的思考力」を

使える状態にあります。

 

大人が結論を

出すのではなく、

娘ちゃん自身が

滑りたいけど滑れない、

という感情と現実のギャップを

自分自身でどうするか、

前頭葉で考えるということです。

 

結果として、

ベストな答えを導き出せず、

「もっと滑りたかった〜!

パパのバカ〜!!」

と泣き出したとしても、

 

 

母:「本当だね。

もっと滑りたかったよね。

あんなに上手になったもんね。」

 

娘:「うん」

 

母:「どうする?またスキー来たい?」

 

娘:「うん」

 

母:「そんなにスキーを好きに

なったのならまたパパに

お願いしてみようか?」

 

娘:「うん」

 

母:「その時は一緒に滑ってね、

って言おう!」

 

娘:「うん」

 

 

前頭葉が「Yes」の答えしか

出せない質問をどんどんしていきます。

 

 

ママの話に「No!」ではなく

「Yes」と答える指示を

上から3段目の「遂行機能」

が出し続けているところで!

 

「じゃ、お片付けして

パパ待ってようか!

今度は絶対一緒に滑ってね!

ってママからもお願いするね」

 

と励ましながら、

帰りの支度に誘導していきます。

 

娘ちゃんからすると、

ママが全部気持ちを

わかってくれた!

 

となっているので、

ママへの反発心がなくなり、

素直に言うことを聞きやすく

なっています。

 

 

子どもはまだ

感情をコントロールする

前頭葉機能(抑制機能)が

未熟です。

 

そこを大人がわかった上で

コントロールしやすく

してあげると、

親子で笑顔が増え、

Win-Winの関係になることが

できます。

 

 

これって癇癪の時だけでは

ないんですよ!

 

いろんな場面に応用できます。

 

ぜひ、いろんな場面を

紐解いてみてください。

 

 

おのずとどのような対応が

いいのか見えてきます^ ^




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