1.学校が合わない思春期の子どもの居場所に選択肢があっていい!
思春期の子どもが不登校になったとき、待っても待っても動き出さない子にイライラしたり、このまま家にいるだけで大丈夫なのか不安になりますよね?
元気なのに学校は行きたくない、やりたいことがあっても何からはじめていいのかわからない、自分の意見がなかなか言えずに動き出せない子もいますよね。
思春期の子どもは、ただでさえ対応が難しいです。周囲から自分がどう思われているのか、自分が社会の中でどんな立ち位置にいるのかを気にするようなお年頃だからです。
発達に凸凹があると、一斉敎育の中で、周りの子はうまくできているのに、自分だけがうまくできないと感じると、自信を失って、何事にも動き出せなくなってしまう…
そんな子は、その子の発達にあった、その子らしさが出せるような環境でやりたいことをさせてあげた方が、ぐんぐん発達します。
今回、パステルジャンプでは、学校が合わない思春期の子どもが不登校になってものびのび過ごすにはどうしたらいいのかを知るため、元中学校教師で現フリースクールTaoHaus経営者信田雄一郎さんにインタビューさせていただきました。
インタビューでわかった、不安で動けない思春期の子どもが動く力が加速するお母さんの関わり方についてお届けします。
2.フリースクールTaoHausで過ごす子どもたちの変化
ーー(清水畑)TaoHausに来ている子どもたちの来る前と来るようになってから様子が変わってきたことはありますか?
「子どもたちは僕のことを先生だと思っているので、ここに来始めた時は、『あれしていいですか?』『これしていいですか?』『トイレ行っていいですか?』ってなんでも聞いてきました。
『座っていいよ』って言っても、自分の席も決められなかったりするので、学校や家で『あれはダメ』『これはダメ』だと言われている弊害だと思います。」
ーー(清水畑)なるほど。
「ある日、子どもがハヤシライスを作ることにしました。ここにレシピ本もあるし、スマホも使っていいので自分で調べれば作り方が出てくるのに、『人参をどう切ればいいですか?』と聞いてくるんです。僕は『好きなように切って』と伝えます。
たとえ人参が煮えなくても、『あっ大きく切り過ぎた!じゃあ次は小さく切ろう』と試行錯誤しながらいいものが出来上がっていくことを体感していきます。
僕は、よっぽど危険なこと以外は全部OKにしています。子どもも『許されている』とわかると自信がついて自分でやるようになっていきます。最近は寂しいくらい何も聞かれなくなりました(笑)」
ーー失敗しても大丈夫だという安心感をあたえてあげることが大事ですね。
ーー(清水畑)一緒に関わっている信田さん自身が意識していることはありますか?
「僕も先生としてではなくて、生徒みたいな感じで過ごしています!子どもがお菓子作っている時に、僕はギターを弾いちゃったりします。すると、ギターに興味を持った子が私もギターを弾きたいと言ってきて、『じゃあ一緒にやろう!ちょっと教えようか』みたいな感じになります。
子ども同士でも、iPadでお絵描きしてる子が、他の子がお菓子作りしていると『作らないけど食べさせて』と言って、そこから興味が出てきて『美味しいからレシピ教えて』と会話が繋がっていきます。自然と、他の人ってなにをやりたいのだろうと興味が出てきたりするものです。
あまり人に興味がない子の場合、図書館が近くにあるので興味のあるジャンルの本を一緒に借りに行って、飽きたら次の本を借りてきて過ごしますね。」
ーー
先生と生徒ではなく、友達同士のような感覚で信田さんと過ごせることが、子ども達が自由に自分の興味を広げられる空間になっていく秘訣なのだとわかりました。
次に子どもを信じるために大人がすべきことについて聞いてみました。
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3.不登校の子どもが自分で動く力を育てるのは、お母さんが子どもを信じること
ーー(清水畑)不登校の子ども達をおウチで育てるお母さんは、『自分で考えて動いて欲しい』と悩むことが多いのですが、日本の教育環境ではなかなか育ちにくいのでしょうか?
「そうですね。大人側の問題なんですよね。インターンで大学生がここに来てスタッフをしてくれるのですが、大学生でもすぐ子どもたちを注意してしまいます。
例えば、くるくる回る椅子で小学生が遊んでいて『それ危ないよ』と言ったり、お菓子作りでまだメレンゲの角が立ってないから、『もうちょっと立てた方がいいよ』と言ったり。
でも、すぐに正解を与えてしまうと、そこから考えるチャンスを奪ってしまいますよね。
この間も木工で箱を作ると作り始めた子が、のこぎりを使うことって体力がいるので途中で諦めてしまったのですが、この部屋にその木工の残がいをそのまま残して置いたんです。
そしたら2ヵ月ぐらいして、『あの箱を作るのを忘れていた』と思い出して、また作り始めて。大人は、『もう片付けるね』とか逆に『やるって決めたんだからやりなよ』と言いがちなのですが、3ヶ月後にちゃんと完成しました。
大人はやり方を知っているから、口出ししたくなるのですが、大事なのは失敗を経験して次回は気を付けようと子どもが思うことです。」
ーー(清水畑)子どものやりたいことを先回りせず見守ることが大切ですね。
「意識はするけど期待はしない、期待はしないで信じる。この期待と信じるが微妙で難しいです。難しいけどすごく大事なんです。期待っていうのはこの子が勉強してくれて〇△高校に行ってくれたら私は助かるのにと思うこと。信じるっていうのはこの子がどんなふうになっても大丈夫と思うこと。
子どもは信じられているな、期待されているな、心配されているなというのを明確に感じるので、言葉で言わなくていいのですが、信じていることが自然に伝わるようにすることが大事です。
場合によっては1~3年、5年、10年とかかるかもしれないけど、心配や期待ではなく信じることが大事ですね。」
ーー
子どものありのままを受け止め、信じることが大切ですね。期待が大きくなってしまわないようにしようと思うと同時に、言葉や表情など、子どもが『期待されすぎている!』と感じさせないように日頃から気をつけなくてはいけないですね。
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4.学校に行かなくても大丈夫!大切なのは親子の信頼関係です
信田さんからのインタビューでわかったことは、子どもが安心して動き出せる環境を作ってあげよう!ということです。それから学校じゃなくてもこんな楽しい居場所や学び場があるんだな!という知識を与えてあげる、2つのステップに絞ってあげることが大事だなと思いました。
◆ステップ1 信頼関係を育てる
思春期の子どもは学校に行けない自分を責め、人目が気になり、なかなか外出できない子もいます。だから、子どもが今の自分でもいいんだと思えるようにしてあげたいですね。
まずは家でしっかり親子の信頼関係を育て、「大丈夫だよ」のメッセージを言葉だけでなく、関わりの中で伝えていきましょう。
子どもがリビングに来たときは笑顔で、楽しく過ごしている姿をみせてあげましょう。
子どもが何か決断することに迷っていたら、自分で考えて動かしてあげるチャンス。
例えば、ゲーム好きな子が、オンラインゲームの対戦に参加するのを、不安がって迷っていたら…
「勝っても負けてもお母さんは応援してるよ」
「本当に参加するかどうかは別として、〇〇くんはどうしたい?やってみたい?」
「うまくできなくたって、新しいことに挑戦するチャンスになるね」
と、笑顔で背中を押してあげる言葉をかけてあげましょう。
決して、
「オンラインゲームなんてやったらゲーム時間伸びちゃうんじゃないの?」
「知らない人とやるなんて危ないんじゃないの?」
とダメ出しばかりしないように注意したいですね。
たとえゲームでも、新しいことにチャレンジする経験は、他のことにも繋がっていきます!
◆ステップ2 お母さんが動いて価値観をアップデート!
そして次にお母さんが動いて新しい居場所を知ることが大切です。
不登校で外出が不安になっている子が、
「そんな場所あるの?」
「学校行かなくてもそんな先生と学べるの?」
と思える居場所の存在を知ることで、不安感や罪悪感を少なくしてあげることができます。
今回のTaoHausのように、友達みたいな先生がいて、何をしても失敗にならない、自由な友達がいる、そんな学びの場もある。
ワクワクする場所で過ごすことで、考える力や行動する力をつければ、夢を描いて叶えることができるはず。
道は「学校」という一つだけではない、ということをお母さんが心から納得することがとても大事。
お母さんの視野を広げることで子どもの視野も広がっていきます。
「こんなところがあるよ。」
「お母さん行ってみたけど面白そうだったよ!
と、お母さんが感じたことなどどんどん伝えてください。
パステルジャンプ編集スタッフも、今回、信田さんのインタビューに同行し、初めてのことは不安だらけで当たり前、知らないことを知ることでハードルが下がるということを体感し、私の経験をそのまま不登校の息子に伝えました。
そしたら絶対行かないと言っていた高校の説明会に一緒に参加することができたり、中学校の懇談会で担任の先生と進路の話ができました。
親がしっかり体験してわかったことを伝えると、子どもも聞いてくれるのだなと感じました。
ぜひ、みなさんもお母さんの視野を広げる行動をしてみてくださいね!
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Tao Hausホームページ【2023.11.19更新】|信田雄一郎 (note.com)
執筆者:パステルジャンプ編集部
おおた愛未(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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