1.発達障害グレーゾーンの子どもはどうして一方的に喋るのか?
発達障害グレーゾーンの子どもは人と上手にお喋りをすることが苦手です。
自分の言いたいことを一方的に話してしまったり、ほかの人が話し始めてもそれにかぶせるように話をしてしまったり、話題が途中で急に変わってしまったり。
なぜ、発達障害グレーゾーンの子どもは上手に人と喋ることができないのでしょうか?
それは脳の特性が関係しています。
注意欠陥・多動症(ADHD)の子は、不注意や多動、衝動性を持っています。
不注意があると、人の話を集中して聞けず、自分の言いたいことを一方的に話してしまいます。多動性があると、喋り出すと止まらなくなり、絶え間なく早口で一方的に喋りますし、衝動性があるため人の話が終わるのを待てず、遮って話しをかぶせてしまったりするのです。
また自閉スペクトラム症(ASD)の子は、不注意のほか、場の空気を読むこと、人の気持ちを汲むことが苦手で、会話のキャッチボールをすることが難しいことがあります。
そして人とのおしゃべりが苦手な子に共通して言えることは、じっくり観察してその場を「見る」チカラが弱いということ。
そのため、今どんな場面でどうするべきかを把握することが困難になってしまうのです。
発達障害グレーゾーンの子は、上手く会話のやりとりができる場面もあり、一見普通に会話ができているようにも見えます。
ですが、実際に一緒に喋ることの多いお母さんは、話が嚙み合わない、最後まで聞いてくれない、空気を読まずに話してくる等の場面を頻繁に経験します。
そのため、「あれ?」「ちょっとちょっと」「おーい」と思う場面が多くあるのです。
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2.長女の喋る気持ちを失わせる、発達障害グレーゾーンの次女の会話中の割り込みに困っていた
我が家の小4の次女はADHDの発達障害グレーゾーンです。
とにかく話したいことがあると、わたしが電話をしていようと、イヤホンをして講義を聞いていようと、ほかのきょうだいと話をしていようと、お構いなしに喋りかけます。
また、喋る内容も主語がなかったり、まったく関連のない話が唐突に始まったりするため、その内容を理解するのに「それは何の話?」「主語は?」「いつの話?」と質問していかないといけません。
それでも、まだ次女一人の時はこちらが合わせるだけなので、なんとか会話自体は成立していました。
しかし、我が家には小6長女・小4次女・4歳長男と、子どもが三人。
『聞いて、聞いて』のお年頃の4歳長男がいると、もはや、どちらが何を喋っているのか全く分かりません。
そして何よりも、あまり積極的に喋らない小6の長女が喋る時に、すぐ話をかぶせてくるため、長女が「もういいわ。」「めんどくさくなった。」と会話を切り上げてしまうのです。
長女と話をしていて次女が話をかぶせてくると、長女が話を終わらせてしまうので、わたしは先に次女の話を聞いてしまっていました。
そのあと、長女に「ごめんね。さっきの続き聞いていい?」と言っていたのですが、日常の雑談に近い話は、改めて言うほどでもないため、長女も「べつにいい」と話さないか、再度話し始めてもまた次女が話をかぶせてきて終わる、というパターンでした。
口数の少ない長女の話をもっと聞いてあげたい…
どうしたら次女に分かってもらえるだろう?
という気持ちで困っていました。
ですが、たった3つのステップで解決することができました。
次に実際にどう行ったのかお伝えします。
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3.子どもがルールを無視して喋るときに試したい3つのステップ!
♦ステップ1)ルールを無視した会話は取り合わない姿勢を貫く
今回、私が次女に使ったテクニックは『ルールを守っていない会話はとりあわない』という方法です。
なぜなら、ルールを無視した会話にお母さんが反応しているうちは、そのやり方でも自分の話を聞いてもらえるため、これで良いのだと子どもが誤学習してしまうからです。
そこで、長女と話をしているときには、次女の話を取り合わないことにしました。
しかし、話にわたしが反応しないと、次女は聞いてもらおうとより声のボリュームを上げ、食いついてくるようになりました。
そのため長女は前にもまして話す気をそがれ、その場を立ち去ってしまうことも。
発達障害グレーゾーンで、見て状況を判断するのが苦手な次女。
はじめは話しを取り合わないだけでは会話のルールを理解することは難しいと思いました。
♦ステップ2)『見る』より『聞く』で状況理解をサポートする!
次は次女が話をかぶせてきたときに、聞かない振りだけではなく、ジェスチャーで制止のポーズをしてみました。
しかし、それですぐに話がやむわけではありません。
長女も『またか』といった風に話をやめようとするため、長女には「続けて」と伝え、次女には制止ポーズとともに「今、お姉ちゃんと話しているから」と伝えるようにしました。
伝える時に注意したのは、長女をずっと見て話す、ということです。
視線は決して次女にむけません。
それは、次女に『お母さんは、いま誰と話をしているか』ということをはっきりと知らせるためです。
次女は『聞く』ことが得意で、じっくり『見る』ことが苦手です。
そのため、視線を向けないで視覚的に今の状況を伝えることをしながら、言葉でも補うことで、聴覚的にも理解を促すことにしました。
結果、喋りだした言葉を飲み込んで、長女との話が終わるまで喋るのを待つことができたのです。
♦ステップ3)ルールを守れたら感謝でしっかり肯定する
上手に待てた時には「待ってくれてありがとう」と肯定します。
そうすることで、待てばいいことがある、これが正しい行動、と理解し、この行動を定着させることができるのです。
これをくりかえすうちに、次女は話をかぶせてくることはあっても、母の反応を見て、ハッと何かに気づく力がついてきたように感じます。
「今、話していい?」と尋ねることが出来るようになったり、つい母と姉の会話に話をかぶせてしまった後に、姉に「先に話してごめん」と伝えることが出来るようになりました。
そして、こちらが話を聞けるタイミングでないときには「見て見て!お母さん今何してる?」と、まずじっくり見ることを促せば、「あとで喋るわ」と待ってくれるように。
さらに、会話の途中で話を変えてしまうときには、わたしが話を中断し、「そんな時には話す前に『話が変わるんだけど』って言ってくれると、お母さん助かるな。」と伝えたところ、自ら「さっきとは関係ない話なんだけどさ」と、前置きをするようになりました。
次女が会話のルールを守れるようになってきたおかげで、私は長女の話をしっかり最後まで聞いてやることができ、長女も今までよりも話をしてくることが増えました。
いかがですか?発達障害グレーゾーンの子どもが、ルールを無視して喋る時にはぜひこの3ステップを試してみてください。
上手にスルーして、「見る」ことを促し、言葉でも状況の理解をサポート、そしてうまくできたら肯定ですよ!
執筆者:小林ほなみ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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