1.一人っ子であることをネガティブに考えていた私
発達障がいの特性があるお子さんを育てていらっしゃる方で、お子さんが“一人っ子”という方も多いと思います。
お子さんが友達と仲良くできなかったり、何かできないことがあった時に「一人っ子だからかな…」と考えてしまうことはありませんか?
日本では、まだ一人っ子に対して、マイペース、わがままになりそう、打たれ弱くなりそうなどネガティブなイメージを持つ人が多いのも現実です。
もしかしたら、周囲の人に(とくにご年配の方に)お子さんの困りごとが発達の特性によるものであっても「一人っ子だからね…」と言われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
私には、小学2年生の息子がいます。一人っ子です。
実は以前の私も、息子の困りごとを何かと一人っ子であることに結びつけて、ネガティブに考えてしまっていました。
息子の場合、とくに協調運動が苦手で、お友達と一緒の体操教室に通わせても、うちの子だけできないという事がよくありました。
そんな場面を見ると「やっぱり一人っ子だからかな…」と考えてしまうところがありました。
兄弟がいる子に比べて経験が少ないからだ、と考えて公園に連れて行っては苦手な運動を特訓していたことも…。
また、子どもに自立して欲しいと思う反面、手をかけ過ぎてしまい、学校の準備などを子どもが自分でやるのを待ちきれず手伝ってしまったり。
兄弟がいたら、違う環境だったら、もっと成長してこういう困りごとはなかったかも…。「一人っ子って難しい!」正直そんな風に考えてしまっていました。
お子さんが一人っ子のお母さんで、以前の私のようにネガティブな考えに陥りがちな方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、実はメリットもたくさんある一人っ子の子育て。楽しまないのは、もったいない!
発想を転換して、前向きに子育てしていきましょう!
2.発達凸凹×一人っ子の子育てには、メリットがたくさんあります!
兄弟がいることの良さがあること同様に、一人っ子であることにもメリットがたくさんあります。
“一人っ子×発達凸凹”子育てを楽しくするために、まずこのメリットに気づくことから始めましょう!
♦丁寧なサポートをしてあげられる
発達凸凹の子には、家族の理解とサポートが必要です。ある程度大きくなっても、学校と連携をして本人が過ごしやすいようにしてあげたり、何かと親の出番は多いです。
発達の特性により、学校などの集団生活の中でうまく行かない場面も多いので、自信をなくしてしまうこともあります。
そんな時、一人っ子だとゆっくり落ち着いた環境の中で、お子さんの話を聞いてあげたり、気持ちをケアしてあげることができます。
兄弟がたくさんいる場合よりも子どもにかけられる時間が多いので、お母さんも余裕を持ってお子さんのサポートができるのです。
苦手と得意の差が激しい発達凸凹の子ども達。習い事や塾を選ぶ際にも、集団で習うよりも個人が向いていることも多いです。
また進路を選ぶ際も、子どもに合った道を考えてあげなければなりません。
学校を卒業して一般企業に就職するというルートが合わない子には、その子が得意なことを専門的に学ばせてあげたいと思うかもしれません。
一人っ子だと「どの進路が良いのか」を時間をかけて一緒にじっくり考えてあげたり、兄弟がいたら金銭的に無理だったかもしれない選択をさせてあげることができます。
♦メリットがある反面、気をつけたいことも…
一人っ子はメリットがある反面、気を付けなければならないこともあります。
目が行き届いて手をかけてあげられる分、親が過干渉になりがちです。
親が先回りして、子どもが自分でできる事まで手を出したり決めてしまうと、子どもの自信が育ちにくかったり、自立が遅くなってしまう所もあります。
また一人っ子だと、必然的にお母さんと2人で過ごす時間が長くなるので、兄弟のいる子どもよりもお母さんから受ける影響が大きくなると言えます。
どんな子もお母さんからの影響を受けますが、一人っ子はとくにお母さんの気持ちや考え方がよりダイレクトに伝わります。
お母さん自身が一人っ子であることをネガティブに捉えていたり、子どもの困りごとにばかり目を向けていると、それは必ず子どもに伝わります。
しかし、一人っ子の気を付けなければいけない所も、お母さんの心がけと工夫でポジティブに変換していくことができます!
3.お母さんが“幸せ!楽しい!”と感じるための2つのステップ
一人っ子に対するネガティブな思い込みを手放して楽しく子育てできる、2つのSTEPをご紹介します。
<STEP1>子どもの困りごとを“一人っ子だから”と結びつけない!
お子さんに困りごとがあると「一人っ子だからかな…」と思ってしまう場面があると思います。
周囲から見て困っていることが気づきにくいほど、育て方や環境の影響によるものなのか、発達の特性によるものなのかわかりづらいので、周りの人も、そして親自身もそのように考えてしまいます。
環境が子どもの発達に影響することは確かですが、子どもの困りごとを“一人っ子であること”と結びつけて考えるのはやめましょう!
なぜなら、親がこの考えを持ってしまうと「一人っ子だから甘やかしていると思われたくない」と思って、必要以上に厳しくしつけをしたり、子どもの苦手分野を無理にでも克服させようとしてしまう事が多いからです。
子どもが健やかに育つ上で必要なのは、自分は価値のある人間だと思える感覚(自己肯定感)と“自分は無条件で愛されている”と感じられる感覚です。
必要以上に親から厳しくされた子どもは、人が生きていく上で基盤となるこの部分が充分に育たずに、かえって精神的に脆くなる危険性があるのです。
ただでさえ、自信を失いがちな発達凸凹の子にこれをしてしまうのはリスクが高すぎます。
「一人っ子だからと思われないように、厳しめに育てなきゃ」という思い込みは捨ててしまってください!
そして、できている事を認めてあげて、自信を育む子育てを心がけてください。
<STEP2>子どもが生き方を真似したくなるようなハッピーなお母さんになろう!
お母さんの気持ちが伝わりやすい一人っ子の子育てで、最も大切なのはお母さんが“幸せ!楽しい!”という気持ちでいることです!
そのためにも、まずお子さんの持つ素晴らしさに、たくさん気づいてください。
子どもの良さを丁寧に見つけてあげられるのも一人っ子のメリットです。一緒にお子さんが好きなことにハマってみるのも良いですね。
良いところを見つけたら「あなたには、こんな素敵なところがあるんだね!こんな力があるんだね!」とたくさんフィードバックしてあげてください。
褒めてばっかりいたら、うぬぼれないかな、甘ったれにならないかな…など心配する必要はありません。
前向きなコミュニケーションを重ねて、お子さんと一緒にいる時間を楽しいものにしていきましょう!
「私は、こんなに素晴らしい子どもを育てることができて幸せ!」
「子どもと一緒にいる時間が楽しい!」
一人っ子育児はとくに、お母さん自身が心からそう思えていることが何より大切です。
そして、お母さん自身も“心からやりたいと思うこと”にチャレンジして、その姿をお子さんに見せてあげてください。
お母さんが、自信を持って何かに夢中で取り組んでいる様子を見ると、自然にお子さんも自分のことは自分でするように自立していきます。
そして、お母さんをお手本にして、お子さんも自らの人生を自分で決めて切り開いていけるようになるでしょう!
執筆者:滝麻里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
お母さんも子どもも、ハッピーになれるコミュニケーションの秘訣、教えます!