発達障害ADHDの子との休校生活で見えてきたもの
2020年3月に突然始まった前代未聞の休校措置。
あれから2年半経ってもコロナとの戦いは続いています。
かなり緩和されてきて、学校も社会も通常の生活になってきてはいるものの、気をつけながらの生活が今も続いており、様々な学校行事がなくなったり縮小されたり、
当たり前になったマスク生活で、恥ずかしくてマスクを外せない子どもたちの姿を見ると、大人より子どもの方が影響を受けているのは間違いないと思います。
今日は、今よりもっと活動を制限されていた頃のことを思い返してみました。
ただでさえ活動量の多い発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向のお子さんをお持ちのお母様方は、コロナ禍で活動が制限されることが多く、思うように出かけられないストレスにさぞかしご苦労をされていたのではないかと思います。
2020年の休校中のSNSの投稿などを見ていると、同じ発達障害・ADHD傾向のお子さんをお持ちのご家庭でも、
楽しく過ごしているご家庭とお子さんとの衝突でイライラを募らせているご家庭があることがわかりました。
もともと、じっとしているのが苦手なADHD傾向の子どもとの自粛生活ですが、楽しんでいるお母さんと、息詰まっているお母さんには、一体どのような違いがあるのでしょうか。
発達障害ADHDの子どもの子育てにイライラする親の特徴とは
イライラが止まらないお母さんの投稿を見ていると、ADHD傾向のお子さんの中には家の中にずっといることで、お子さん自身がストレスを溜め気持ちが不安定になっている子が多いようでした。
また、スマホ、ゲームに没頭して、親のいうことを全く聞かず、注意すると機嫌が悪くなり親に当たっているという子が多くいるようです。
そんなお母さん方の対応を見ていると、
「1日1時間は勉強すると約束したのに守れません」
「ゲームは1日何時間までだと約束したのにもかかわらず全く守れません」
と書いてあります。
きちんと事前に約束をして、とても素晴らしい対応をされているのにもかかわらず、子ども達は全く従わず、その結果ガミガミ怒り続け、お母さん自身が疲れ果てています。
それに対し、同じADHD傾向のお子さんをお持ちでも、
「子どもがこんなお手伝いをしてくれました!」
「今日は何も言っていないのに自分で宿題をやり始めています!」
というポジティブな投稿をされているお母さん方、そんな報告をしてくださる生徒さんもいらっしゃいました。
自粛生活を楽しんでいるご家庭の様子は、お子さん自身が1日の時間割を決めたり、今日やることを決めたりしていて、いろいろなことに意欲的に取り組んでおられたようです。
親がガミガミ言っていないのに、なぜ、このお子さん達は自ら進んで動いているのでしょうか?
子どもが自分から動いている家の特徴とは
自粛生活中、子どもが自ら意欲的に動いているご家庭に共通することは、
お母さんが「これをしなさい」「あれをしなさい」とガミガミ言わずに、お子さんと過ごしていることです。
ここでちょっと立ち止まって考えてみてください。
ガミガミ言っているお母さんに質問です。
あなたがガミガミ言った後、お子さんはどうなりましたか?
ご自身の気持ちはどうでしたか?お子さんの行動は変わりましたか?
大半の方は子どもの行動は変わらず、怒鳴って自分だけが疲れている。
むしろ、ストレスが余計にたまっていく。とお気づきなのではないでしょうか。
ガミガミ言いたくないけれど、言わずにはいられないという方もおられるかもしれませんね。
だけど、ガミガミ言ってもお子さんの行動は変わらないんです。
なぜ変わらないのでしょうか?
なぜ一方で、ガミガミ言わなくても自ら動くお子さんがいるのでしょうか?
ガミガミ言わなくても動くお子さんのお母さんは、子どもが動きたくなる魔法の作戦を使っているのです。
自然と子どもが動きたくなる魔法の作戦とは?
子どもが自ら動くお子さんのお母さんの魔法の作戦、それは
「子どもがワクワクすること」「楽しいこと」で子どもの気持ちを動かす、ということです。
あるお母さんは、家の中のお手伝いをポイント化し、毎日ポイントを集計して、棒グラフにして成果が見えるようにし、1週間ごとにそのポイントに応じたお小遣いがもらえるということをやっておられました。
歴史が苦手なお子さんと歴史人物カードゲームで遊んだり、子どもが食べたいものを一緒に作っているお母さんもおられました。
つまり、子どもの興味や、関心をくすぐるような働きかけをしているのです。
一方、ガミガミ言っても動かないのはなぜか?
それはズバリ!「楽しくないから」です!
子どもは「楽しいこと」が大好きです。
それは、私達大人にも言えることですが、まだ理性がきちんと発達していない子ども達は、
「こうするのが正しいからやりなさい!」と言われてもなかなか動けないのです。
楽しくないことをやらされていると子どもが感じてしまったら、子どもにとってもストレスとなります。
つまり、子どもを自ら動かすには、同じことをやらせるのでも、
「何か楽しいやり方はないかな?」という発想の転換が必要なのです!
特に、発達障害ADHD傾向の子ども達は、衝動特性も影響して、「楽しいこと」への反応が抜群に良いという特徴があります。
その特性を思いっきり使ってあげることでお母さんがお子さんの行動力をグーンとアップさせることができるのです!
ADHD傾向の子育てを楽にする秘訣は、「正しいこと」を無理やりやらすのではなく、「楽しいこと!」「ワクワクすること!」で子どものやる気スイッチを入れていくことなのです。
お母さんが楽になる我が家の対応
その発想を利用し、スマホとゲームばかりのADHD傾向がある、休校当時中学生の息子に、朝食作りにチャレンジしてもらうことにしました。
料理にチャレンジすることで、少しでも家の手伝いに興味を持ってもらいたいという作戦です。
作ってもらうのは、目玉焼きにしました。息子は、料理など全く興味がないタイプ。
どうすれば「家の手伝いをやるのは当然のことだ」という当たり前を押し付けず、ガミガミ言わずに、息子の「めんどくさい」気持ちを「楽しい」に変えられるかと考えました。
私の作戦は、「フライパンを新しくする!」です。
はじめは、「なんで俺が…」と渋っていた息子ですが、新しいフライパンの上で、目玉焼きがくるくる動くのを見た途端、スイッチが入りました!
とても楽しそうな息子。
自分の分だけ作ってくれれば十分と思っていましたが、結局家族全員分の目玉焼きを作ってくれました!
「楽しいと思えること」は、「やりたい!」という気持ちを引き出します。
そして「やりたい!」という気持ちは、「意欲」となり、子どもの行動をぐんぐんあと押ししてくれるようになります。
その結果、自分で作ることの楽しさを知ったわが家の息子は、ガミガミ言わなくても少しずつ、夕食作りの手伝いをするようになってきました。
ガミガミ言って無理やりやらせるよりも、「楽しいこと」でスイッチを入れたほうが、子どもはスッと動きます。
子どもがスッと動いてくれるので、どうすればこれを「楽しい」に変えられるかな?と考えることが私自身も楽しくなりました。
子ども自身も色々なことができるようになり、スマホや、ゲーム以外にも興味が出てきて、一緒に料理をする中で、今までになかった会話も生まれてくるようになりました。
そして何よりの嬉しい変化が、「楽しい」への動機付けが習慣になり、ガミガミ言うことが減ったことで、「今までより子育てがぐっと楽になって、家族との時間が楽しくなってきた!」ことです。
ぜひ「楽しそう!」「やってみようかな!」と子どもの気持ちがスッと動く魔法の作戦を考えて、親子でストレスなく過ごす技を身につけてみてください!
執筆者:桜井ともこ
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
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