息子たちには怒ってばかり、周りには謝ってばかりいた私
雨の日の兄の野球の試合での一コマ。
ずぶ濡れになりながらも頑張る子どもたちの姿を皆が静かに、そして時に力強い声援で 試合の行方を見守る中、
「あー!飛行機!!すごー!でっかー!」
「ママー、ひまー!まだ終わらんの?」
「ねぇ、今、負けてるよねー?」 (大差で負けていた)
場違いな内容の会話を大声でして、
「ねぇ、ママー!この傘こわれた!」
「それおれの!なんで壊すの?ヤメロ!」
兄弟でケンカ勃発。
やっと仲直りしたと思ったら、タタタターッ! 自分たちの興味ある方へ、 あっち行ったりこっち行ったり。
周りの状況を気にする私は、
「ここに居てって言ったでしょ!これより向こうは行っちゃダメなの!」
(相手チームの応援ゾーン)
「ほら傘に入って!雨に濡れちゃダメ!それは触らないよ!」
「そんなこと言わないの。皆頑張ってるでしょ、もういい加減にしなさい!ダメだって!」
注意欠陥多動性障害(ADHD)の年長男子と、診断はついてないけれど、衝動性の強い年少男子2人を連れての野球観戦はとにかく大変です。
彼らに、私の言い方は、完全に逆効果…。
反発して、大きな声で怒ったり、私を叩いたり…癇癪をおこして余計に迷惑をかけることも少なくありません。
ダメダメばっかりではきいてくれるワケがない、分かってはいるものの、この状況にイライラしてしまい、それ以外の言い方が見つかりませんでした。
静かにしないといけないところで大きな声を出してしまったり、入ってはいけないゾーンに入ってしまったり。
周りはこの子たちをどう思っているのかな、 母である私をどう思っているのかな。
いつも私は、 息子たちに怒ってばかりで、 周りには気を使って謝ってばかりでした。
◯◯すべき、◯◯であるべき。
私は、周りからの評価を気にするあまり、いつの間にか息子たちを”私の思う”望ましい姿の枠に納めようと必死になっていました。
わざとしている行動ではなく、脳の働きの偏りによる行動かも⁉
ADHDタイプの子どもたちは、脳の働きの偏りによって、
・思い通りに行かないと癇癪をおこす
・じっとしているのは苦手
・興味のある方へ衝動的に動く
・空気を読むのは苦手 などの特性があります。
私が怒っていた息子たちの行動は、脳の特性上から現れているものが多くありました。
本人がわざとしていることでは無かったり、いけないと理解はしていてもついやってしまったり。
ADHDタイプの子どもたちは、保育園や学校でも
「わざと聞いてない」
「ふざけて言うことをきかない」
など、誤解からの注意や叱責を受けることが多いのです。
今回の場合もそうです。
冷静に考えると、 そこまで悪いことをしているわけではありませんし、試合を妨害しようとわざとしているわけでもありません。
しかし、その場面、場面で、今やるべきではないことをして、周りに迷惑をかけてしまっていることが私は許せず、怒ってばかりいました。
今回だけではなく、 私はいつも、周りからの評価ばかりを気にしてしまい、子どものことを理解しようというところまでいけていなかったのです。
試合も終盤にかかってきたころ、かなり濡れてしまった彼らを見てふと思いました。
”まぁ いっか”
この ”まぁ いっか” がこの日、私たち親子を救ってくれました。
できないところばかりを見つけるのはもうやめよう!
私たち親子を救ってくれた、“まぁ いっか精神” の反対は、”ねばならない精神”です。
日本の教育は、しつけを重んじてきました。
だからこそ、親の私たちは、子どもの為に、しっかりとしつけをしないといけない!と思い込んでしまっています。
私も同じでした。
しかし、ADHDタイプの子どもたちには
”ねばならない精神”
◯◯すべき、◯◯であるべき。の押しつけは逆効果だったのです。
なぜなら、脳の特性上、この場面では静かにするとか、ここから先は行っちゃダメとか、 そんなルールを守ることが難しいから。
理解されず、たくさん注意され、怒られて、自信をなくしていくADHDタイプの子どもたち。
そんな彼らは、実はとってもステキな力をたくさん持っているんです。
好奇心が旺盛で、自分の興味をもったことへのエネルギーはすごく大きく、真似できないような、驚くほどの行動力があります。
親としては、このステキな力を強みにして伸ばしていってあげたいですよね。
だから、
“こうあるべきという枠からはみ出ている部分を見つけては怒る”
ではなく、
“ステキな力を見つけては褒める(肯定する)”
こんな風に切り替えることができれば、お子さんは自信をつけ、どんどん伸びていくんです。
お子さんが心を傷めてまで、絶対にやらないといけない、絶対にやるべきことなんて無いんです。
だから、思い切って、 ねばならない精神を捨てちゃいましょう!
最後に、この雨の日の試合をこのあとどんな風に乗り越えたかお伝えしますね。
「◯◯であるべき」は通用しない!思い切って楽しい方へ
”まぁ いっか” そんな風に思えた私は、
・雨に濡れてはいけない
・試合は応援しないといけない
・チームの側にいないといけない
・大きな声を出してはいけない
こんなねばならない精神を全て捨てました。
もちろん、試合の妨げになることはあってはいけないので、それだけ気にしました。
そして、思い切って傘をしまい、タオルをそれぞれの頭にかけ、木の棒を手に、「よし!虫探しにいこ!」息子たちと虫探しに出かけたんです。
皆からは離れ、試合がギリギリ見えるところで、3人で濡れながら虫探し。
生き物が大好きな息子2人はそれはそれは楽しそうです。
ミミズや蜘蛛、ダンゴ虫、カタツムリ・・・ たくさんの生き物を見つけ、観察し、枯れ葉でお家を作ったり、誰かに踏まれないように草むらに逃がしてあげたり。
次から次へ生まれるアイディアを一緒に楽しむことができました。
それまで、親子揃って苦痛な時間を過ごしていた私たちでしたが、母である私が、思い切って ねばならない精神を脱ぎ捨てて 楽しいことの選択をしたことで 苦痛な時間を楽しい時間へと変えることができたんです!
やったことはこれだけ。
自分の持っている、◯◯であるべきという精神を捨てて 目の前の我が子と楽しい方を選択する!
少し勇気はいるけれど、簡単でしょう?
思い切って楽しいことを選択した結果はコチラ!
チームの皆からはどう思われてもいいと割り切ったはずの私でしたが、正直、不安でした。
子どもとはうまく過ごせたけれど…。
周りからはきっと、何やってんだって否定的な反応を受けるんだろうな…と思っていました。
しかし、予想はいい意味で裏切られました。
なんと、私の想像とは真逆の反応が待っていたんです。
試合が終わって、 チームの子どもたちからは、
「すげー!こんなに生き物見つけたの?」
「何これ?家?いいね!」
「見せて見せて!」
お母さんやお父さんからは、
「雨の中、よくがんっばって待てたね」
「虫探し楽しそうだったね!」
「ご褒美にお菓子あげる~」
と声をたくさんかけてもらえたんです!!
息子たちもとても嬉しそうでしたが、私が一番嬉しかったかもしれません。
これからも、ねばならない精神に縛られすぎず、目の前の子どもたちと楽しい選択をしていきたいなと心から思った瞬間でした。
ADHDタイプのお子さんをお持ちの方、 一緒にねばならない精神を1つでも手放して苦痛な時間を楽しい時間に変えていきましょう!
執筆者:山田こはる
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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