旅先で癇癪が増える?ADHDタイプの子が不安になりやすい理由
楽しみにしていた旅行なのに、出発したとたん不機嫌になったり、着いたらすぐに疲れたと癇癪を起こすお子さんに困っていませんか?
ADHD(注意欠陥多動性障害)タイプのお子さんは、新しい環境や予定の変化に対して敏感で、不安やストレスを感じやすい傾向にあります。
そのため、旅行のような「特別なイベント」は楽しさの半面、癇癪を引き起こすきっかけにもなりやすいのです。
旅行で癇癪が起きやすいADHDタイプの特性には以下のようなものがあげられます
1、見通しを立てることが苦手
「次は何をするの?」「どこにいくの?」といった先の予定がわからないことに強い不安を感じやすいのがADHDの特性の一つです。
見通しが持てないまま場面が次々に変わると、感情がついていけず、癇癪に繋がってしまうことがあります。
2、衝動性
目に入ったものに強く惹かれたり、急に「ここ行きたい」と動きだしてしまうこともあります。
自分の興味にうごかされて予定から外れてしまったり、親に怒られて癇癪を起こすという場面もあります。
3、多動性・身体の落ち着きのなさ
長時間の移動や待ち時間、行列など、「じっとしていなければならない」時間が続くのも大きなストレスになります。
動きたい・しゃべりたい・何かをしていたいという欲求を抑えきれず、結果的に癇癪という形で爆発してしまうのです。
4、環境の変化に敏感
はじめての場所、知らない人、見慣れない景色、におい、音…。
こうした感覚刺激の変化に過敏に反応し、心と身体のバランスを崩しやすいのも特徴です。
旅先ではいつも以上に疲れやすく、癇癪も起こりやすくなります。
このような子どもの感じやすさや困り事を理解しながらあらかじめ対策を立てておくことが旅行を楽しむ第一歩です。
歩けない!疲れた!旅行中に癇癪ばかりだった以前の息子
せっかく楽しみにしていた旅行なのに、 出発したその時から、息子はグズグズに。
「まだつかないの?」「いつ着くの?」と車の中で何度も聞かれ、やっと目的地に着いたと思ったら、今度は「疲れた!歩けない!抱っこ!」 と不機嫌になる息子。
「僕が楽しいところににはいつ行くの?」 「まだ?」そんな風に何度も聞かれて、 まだ先だとわかると癇癪を起こして大泣きする。
落ち着きがなくて、その辺を走り回ったり、 あちこちのものに触ったり、目が離せません。
気が付けば、旅行を楽しむどころか、イライラして注意してばかりになっていました。
なぜならば、旅行はいつも以上に、周りの目が気になり、「迷惑をかけたらいけない」「ちゃんとさせなくちゃ」と私自身、いつも以上に気を張っていたからです。
そんな時に出会ったのが、発達科学コミュニケーションでした。
「癇癪は困らせたいのではなく、困っているサイン」
そう知っただけで、私の息子への見方も関わり方も大きく変わりました。
そして少しずつ、親子で旅行を楽しめるものになっていったのです。
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ADHDタイプの子と旅を楽しく過ごすために取り入れた4つの工夫
私が実践した、旅行を楽しむための4つの工夫をご紹介します。
1、旅のしおりを作って、予定を見える化する
旅行中は、子どもにとって「次に何があるのかわからない」という状況が不安や癇癪の引き金になりやすいもの。
そこで役立つのが 「旅のしおり」 です。
行き先や移動手段、泊まる場所などを、写真やイラストを使って一枚にまとめておきましょう。
子どもがパッと見て理解できる形にすると、「次は電車に乗るんだ」「お泊まりはここなんだ」と流れをイメージしやすくなります。
先の見通しがつくことで不安が減り、ぐずりや癇癪も起きにくくなります。
さらに、旅のしおりを一緒に眺めながら「ここ楽しみだね」「次はこれだよ」と声をかけると、旅行そのものをポジティブに楽しみにする気持ちが育ちます。
2、子どもと一緒に旅行を計画する
旅行は大人が段取りを考えることが多いですが、予定をすべて親が決めてしまうと、子どもにとっては「連れて行かれるだけ」の受け身の体験になりがちです。
そこで大切なのが、子どもを計画に巻き込むこと。
「どこに行きたい?」「この順番でまわるのはどうかな?」と相談しながら予定を決めていきましょう。
自分の意見が反映されることで「自分で決められた」という納得感が生まれます。
すると、当日の行動もぐんとスムーズになり、癇癪が起きにくくなるのです。
3、こまめな休息でリズムを整える
旅行は楽しい反面、普段と違う環境や移動が続くことで、子どもは想像以上に疲れやすくなります。
特に、疲れやすい・じっとしているのが苦手な子には、こまめな休憩が欠かせません。
車で長距離を移動するときは、30分〜1時間に1回は外に出て、軽く散歩をしたり体を動かしたりしてリフレッシュしましょう。
また旅行先でも「限界まで頑張る」のではなく、疲れる前に休むことを意識するのがポイントです。
小さなリセットをはさむことで、グズグズや癇癪に発展する前に気持ちを整えることができます。
結果的に、旅行全体の雰囲気も穏やかに保ちやすくなります。
4、小さな目標とご褒美を設定する
子どもが長い道を歩いたり、慣れない環境でがんばるとき、大きなゴールだけを目指すのは負担が大きく、途中で癇癪につながりやすくなります。
そこでおすすめなのが「小さな目標」と「ご褒美」をセットにする工夫です。
たとえば、「この道を歩ききったらアイスを食べよう」「頑張ったらお土産をひとつ買おう」といったように、目の前のハードルを越えやすくしてあげましょう。
歩いている途中では、「歩けてるね」「がんばってるね」と、その場で努力を認める声かけを添えることも大切です。
「努力したら嬉しいことがある」という体験を積み重ねることで、達成感が自信に変わり、癇癪も少しずつ減っていきます。
ここで大きな役割を果たすのが、脳の報酬系です。
報酬系は「できた!」「うれしい!」と感じたときに活性化し、ドーパミンが分泌されて「またやってみよう」という意欲を生み出す仕組みです。
ご褒美は、この報酬系を刺激して挑戦する力を伸ばす、「がんばるためのスイッチ」なんです。
だから、ご褒美は“甘やかし”ではなく、「挑戦する意欲を支える脳の工夫」。
そう考えると自然に取り入れられます。
「わが子と楽しく旅行なんて無理かも」そんなふうに思っていた私ですが、事前準備や旅行中のちょっとした工夫をすることで、旅が楽しいものへと変わっていきました。
ADHDタイプの息子が笑顔で旅行を楽しめるようになった
「旅のしおり」「一緒に計画」「小さなご褒美」「こまめな休憩」息子に合わせた小さな工夫を、旅行の前から準備してみました。
そのおかげで、以前は「歩けない!疲れた!」と騒いでいた息子が、旅行中はほとんど自分の足で歩ききることができました。
そして、癇癪になりそうな場面でも、ちょっと休憩したり、予定を声に出して伝えたりすることで、感情が爆発する前に落ち着けるようになったんです。
旅行の最終日、息子がぽつりと言ったひと言
「ママ、今日一日楽しかったよ!」
その言葉を聞いた瞬間、胸がじんわりあたたかくなり、「ああ、準備してよかった」と心から思えました。
ADHDタイプの特性がある子との旅行は、たしかに大変なこともあります。
でも、ちょっとした工夫を加えるだけで、癇癪の時間が減って、笑顔の思い出をぐんと増やすことができます。
もし、お子さんが旅行に行くと毎回癇癪を起こすことで困まっていたら、ぜひ、この4つの工夫を試してみてください。
あなたとお子さんが「楽しかったね」と笑い合える旅になりますように。
執筆者:大下せいこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)


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