一方的に話すADHDキッズを癇癪なしで落ち着かせて”楽しい会話ができるようになる”4つの秘訣

人の話を聞かず一方的に話し続け、止めようとすると癇癪を起こすお子さんに困っていませんか?ADHDタイプの脳の特性が関係しているかも。無理に止めるのではなく「聞く力」を少しずつ育てる会話に変えていくことで、親子ともにラクになれます。

ADHDタイプのお子さんが一方的に話す原因

「一方的に話す」「人の話を聞かない」ことに困っていませんか?

ADHD(注意欠陥多動性障害)タイプのお子さんは、興奮すると一方的に話し続けることがあります。

無理にさえぎる癇癪に繋がってしまったり、どう対応してよいか迷う場面も多いですよね。

実は、こうした背景には脳の特性や情報処理の違いがあります。

代表的な4つのポイントを知ると、「なぜ一方的に話してしまうのか?」が見えてきます。

①ワーキングメモリーが弱い

「今やっていることを覚えておく力(ワーキングメモリー)」が弱いため、 自分がどこまで話したか、相手が何を言おうとしているかを保持するのが苦手です。

だから、思いついたことをすぐに口に出さずにはいられません。

②思考がぐるぐる多動になっている

頭の中が常に忙しく、アイディアや感情が次々に湧いてくる「認知の多動」状態です。

言葉にしないと自分でも整理できず、結果的に一方的にどんどん話してしまいます。

③聞く力が育ちにくい

音としては聞こえていても意味を処理するまでに時間がかかったり、注意がそれやすく、会話のキャッチボールが難しくなりがちです。

④空気や相手の気持ちを読むのが難しい

「今、相手が話したがっている」といった状況や気持ちを読み取るのが苦手なため、そのため、自分の話を一方的に続けてしまうことがあります。

このように、ただ「うるさい」「落ち着きがない」ではなく、脳の特性や情報処理の違いが背景にあることを理解することが大切です。

理解することで、声かけや対応の仕方も変えられるようになります。

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一方的なおしゃべりと癇癪に疲れ果てていた過去の私

息子は思いついたことを次々に口に出して話し続ける子でした。

私が何か話そうとすると、すぐに割り込んでくる。

例えば、「ご飯できたよ」と言うと、「ママ見てーブロックのお城作ったよ」と 自分の話が突然スタートし、気づいたら私の話は消えてなくなっていました。

お姉ちゃんは2歳の頃には普通の会話のキャッチボールができていたのに、 この子とは一向に会話が成立しない。

「会話って、こんなに一方通行だったっけ?」
「なんで?」

そんな疑問がだんだんイライラに変わっていきました。

なぜならば、息子の話をちゃんと聞きたいとは思っていても、話が長く まとまらず、気づけばずっと一人で話している。

それが毎日毎日何度もあるため、聞き入れる心の余裕がなくなってしまったからです。

いつしか、話しかけられても、「うん、そうなんだね」と聞き流すようになり、 それでも話し続ける場合には、「今話してるでしょ?ちょっと待ってって言ったじゃん」と怒鳴ってしまうこともありました。

そんな風に怒ってしまった場合には、大抵息子が泣いたり怒ったり、 癇癪に繋がり、それをみては私がぐったり…。

「なんでこんなことになるんだろう?」と自己嫌悪に陥る日々でした。

そんな時に出会ったのが、発達科学コミュケーション。

子どもの脳に届く声かけについて学ぶうちに、「子どもの会話力を上げるには、まずママとのコミュニケーションが大事」だと知り、私自身の対応を変えてみることにしたのです。

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癇癪なしでADHDキッズが落ち着く4つの関わり方

私が実際にやってみて効果を感じた4つの対策をご紹介します。

無理にとめない!とことん話をさせる。

「もう話が長い!」と途中で止めたくなるけれど、グッとこらえて最後まで話させることがポイント。

本人にとっては、話すこと=感情の整理です。

一通り話し終えることで気持ちがスッキリ落ち着くことがあります。

話の途中で遮るより、「話していいんだ」という安心感を作るほうが、結果的に癇癪になりにくくなります。

短い質問を挟む

一方的なおしゃべりの最中でも、「それでどうなったの?」「うんうん、それで?」と 短く問いかけるだけで、子どもの思考が整理されていきます。

これを繰り返すことで、少しずつ「聞く力」や「会話のキャッチボール」が育っていきます。

「ママの話も聞いてくれる?」と提案する。

いつも聞く側に回ると親も疲れてしまいますよね。

そんな時は「今度はママの番ね」「ママの話も聞いてくれる?」と提案してみましょう。

お互いに「会話って楽しい」と感じられる経験が少しずつ「人と話す力」につながります。

そして話が終わったら必ず、「聞いてくれてありがとう」と伝えると、子どもに「聞けた自分」に対する自信が生まれ、またママとお話したいなという気持ちが育ちます。

④どうしても聞けない時は「具体的にまつ理由」を伝える

忙しい時や上の子と話している時など、すぐに聞いてあげられないこともあります。

そんな時は、ただ「あとで」や「ちょっと待って」ではなく、

・「今お姉ちゃんと話しているから、終わったら聞くね」
・「今ご飯の準備してるから終わったらゆっくり聞くね」

というように、「なぜ今は聞けないのか」を具体的に伝えるのがポイントです。

そして待てたら必ずフォローをして

「待っててくれてありがとう」
「それで、どんなことがあったの?聞かせて」

と声をかけることで、「自分の話はちゃんと聞いて貰える」という安心につながります。

一方通行の会話が変わった!癇癪息子の成長

ADHDタイプのお子さんにとって話すことそのものが感情や思考の整理になっています。

それを「うるさい」「話が長い」と止めてしまうのではなく、「話していいよ」「伝えてくれてありがとう」というスタンスで 受け止めてあげることが大切です。

それだけで癇癪がぐっと減っていきます。

もちろん、会話のキャッチボールがすぐに出来るようになるわけではありません。

でも、「会話=楽しい」という感覚が育つと、自然と「聞く力」や「相手に合わせて話す力」が伸びていきます。

実際に我が家の息子も、以前は割り込み&癇癪の連続でしたが、 今では「あとでね」と理由を伝えると、少しの間なら待てるようになりました。

癇癪もほとんど起きなくなっています。

一方的なおしゃべりはまだ続いていますが、最近では人の話を聞いて、 そこに混ざって一緒に会話を楽しむこともできるよう。

「伝えたい」だけじゃなく、「一緒に話したい」という気持ちが少しづつ育っていっているのを感じています。

もしお子さんの一方的なおしゃべりに困っているならば、ぜひ我が家が実践した4つの対応 をぜひ試してみてください。

「聞く力」「待つ力」「会話を楽しむ力」が、親子で一緒に育っていきますよ。

執筆者:大下せいこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

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