新しいことや苦手なことに挑戦するのを拒む発達障害の子どもに成功体験を授ける対応とは~娘のスキー体験記~

発達障害の子どもは新しいことに挑戦するのが苦手な場合が多いです。どうしたら挑戦して成功体験にできるか…かたくなにスキーへの挑戦を拒否したASDタイプの娘に「スキーができた」と苦手なことに挑戦することを後押しして、子どもに成功体験を授ける事ができた我が家の事例をご紹介します。
 
 

新しい事に挑戦させたい親と苦手なことに挑戦できない発達障害の子ども

 
冷え込む日が増えて今年もそろそろ冬の足音が聞こえてきましたね!
 
 
今年は家族でウィンタースポーツをやってみようとか、子どもに挑戦させてみたい!と思っているご家族もいらっしゃるかと思います。
 
 
子どもに新しい経験をさせることって、成長にとってとても大切なことです。
 
 
しかし、新しいことや苦手なことに挑戦するのを「絶対やらない!」とかたくなに拒んだり、本当は挑戦する気持ちはあるけれど行動できないという子どももいますよね。
 
 
親としては苦手なことに挑戦したり新しい経験をさせたい一心で、「やってみよう!」とをかけたり、どうやったらやる気になるのかと作戦を立てたり試行錯誤するでしょう。しかし、なかなか子どもが行動しないと、ついイライラしてしまう事もあるかもしれません
 
 
新しいことや少しでも苦手なことに挑戦するのを拒むのは、発達障害の子どもに多く見られる特性の一つでもあります。
 
 
ですから、親が思っている以上に子どもにはハードルの高いことであり、簡単な事ではないのです。
 
 
一方で新しいことや苦手なことに挑戦できた時の成功体験は確実に子どもの成長への大きな一歩となります。
 
 
この記事では、我が家で実際に経験した娘のスキーへの挑戦体験記を元に、新しいことや苦手なことに挑戦するのを拒む発達障害の子どもに成功体験を授ける上手な親の対応をお伝えします。
 
 
我が家は夫がスキーが大好きで、冬は家族でスキーを楽しむのが定番です。
 
 
いつも娘の雪遊びとお兄ちゃんのスキーに、私と夫のどちらかがついて2組に分かれて遊んでいました。
 
 
甘えん坊の娘は「ママと一緒がいい!」というし、夫もスキーをしたいのでどうしても私が娘に付き添うことが多くなってしまいます。
 
 
 
 
スキーを履き替えることが面倒で大変なので、交代するのもおっくうになってしまいます。
 
 
「私が娘に付き合うからお父さんとお兄ちゃんはスキーに行っておいで!」と言いがちになるのです。
 
 
すると今度はお兄ちゃんが不満を溜めてしまいます
 
 
滑り始めのうちはお父さんと楽しく滑っているのですが、お兄ちゃんもお母さんとスキーを滑りたい気持ちがあるのです。
 
 
お母さんが妹ばかり相手していて見てくれない、自分も上手に滑っているところを見てほしいといった気持ちがあるのかもしれません。
 
 
だから交代するのが面倒でも最後に必ずお兄ちゃんと滑っていました
 
 
みんなが一緒に滑れたらラクになるし、時間も目いっぱい使えるしもっと楽しいだろうな、と常々思っていました。
 
 
せっかく家族で来たんだから早くみんなで一緒にスキーを楽しみたい!
 
 
ならば、娘がスキーをできるようになってもらいたい!と考え、娘にスキーをやってみることを持ちかけました。
 
 
ところが娘は「スキーなんて絶対やらない!」というのです。
 
 
今年はスキーができるだろうと期待して一生懸命にネットで検索して教え方やスキー場の情報を調べていた夫も拍子抜け。
 
 
いったいどうしてかというと、実は過去に失敗経験があるのです。
 
 

▼動かない子どもを自分で行動させたいママはダウンロードしてください▼

 
 

どうして挑戦しない?発達障害・ASDタイプの娘がスキーを拒否した理由

 
 
娘は現在小学三年生で発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)傾向があり、少々知的に遅れもある子です。
 
 
発達障害の子どもが新しいことや苦手なことに挑戦するのを拒む理由は様々です。
 
 
・やり方がわからなくて不安
・物事への見通しがわかない 
・自信がない 
・過去に失敗したことが記憶に残っている
・失敗が怖い 
・挑戦した先のイメージがわかない 
感覚過敏により環境によっては集中して取り組めない
 
 
などがあげられます。
 
 
以上の理由から、娘がかたくなにスキーの練習を拒否する理由ってここにあるのかな?と私が考えてみたことをお伝えしますね。
 
 

◆過去の失敗経験を強く記憶しているから

 
 
実は一度、保育園の頃に娘のスキーデビューを試みましたが失敗しています。
 
 
キッズスクールに入れてみたのですが、うまくいかなくて嫌になり泣いて途中でやめる結果になってしまいました。
 
 
その経験が、娘にとってスキーをすることがネガティブなイメージとなって残ってしまったのです。
 
 
娘は新しい環境が苦手な上、集団の中で周りについていけず、理解も追い付かないことがあっただろうと思います。
 
 
私自身も当時は娘の発達障害にまだ気が付いておらず、娘の特性が分かっていなかったのです。
 
 
発達障害の自閉症スペクトラム傾向がある子どもは、不安が強くネガティブな記憶を強く残しやすい特性があります。
 
 
一度失敗した経験があればなおのこと、スキーに対するネガティブな記憶が残ってしまったでしょう。
 
 
そのうえ不安が強い特性があるので、「できない」「怖い」挑戦する気になれないのです
 
 
 
 

◆見通しが立ちにくい

 
 
発達障害の子どもは見通しが立ちにくい特性もあります。
 
 
これを行うとどうなるのか、どのくらい時間がかかるのか、想像力を働かせるのが苦手なため先の見通しが立ちにくいのです。
 
 
大人は様々な経験がありますから、経験から想像ができて見通しが立ちやすいですよね。
 
 
ですが、子どもで経験が少ないうえ、発達障害の特性でさらに見通しは立ちにくいのです。
 
 
娘は過去に
 
 
「スキーが楽しくなかった」「できなかった」
 
 
という失敗経験を強く記憶に残しています。
 
 
どのくらい練習したらできるとか、スキーができると何がいいのか、見通しがつかないこともあるのでしょう。
 
 
いくらこちらが口で「スキーは楽しいよ」「できるようになるからやってごらんよ」と言ったとしても、過去の失敗経験の記憶を強く持ってしまっているので、なかなかスキーをやる気にはならないのです。
 
 
そこで、娘の発達障害の特性があっても、さらには過去の失敗経験があってもそれを乗り越えて挑戦する気になるように対応を考え、実行したことをお伝えしますね!
 
 

新しいことに挑戦する「やる気」になるポイントとは

 
 
新しいことに挑戦するのが苦手な発達障害の子どもにとって、教え方を工夫して分かりやすくしたとしても「やってみよう!」という気持ちにならなければ行動できません
 
 
まずは、子どもが「やってみよう!」と挑戦する気持ちになる必要があります。そこで私は娘がスキーに挑戦する気持ちになるように作戦を立てて実行しました。
 
 
娘のスキー体験記を例にして、教え方以前に大切な「やる気を出す」ポイントをお伝えしますね!
 
 

◆ネガティブな記憶を上書きするポジティブな記憶

 
 
まずは、小さい子どもたちが楽しくスキーをしている動画を見せました。
 
 
動画を一緒にみながら
 
 
「これできたら楽しそうだね!」
 
「自転車で坂道を猛スピードで降りるのが好きだからスキーも楽しいよ。」
 
「自転車と違ってスキーは下が雪だから練習で転んでも痛くないよ。」
 
 
と話しました。
 
 
発達障害の子どもの多くは視覚優位という特性があるため、耳で聴くより目で見たものの印象が強く、記憶に残ります。
 
 
だから、他の子が楽しくスキーをしている動画を見せて、スキーって楽しそう!と感じてもらいスキーに対しポジティブな感情が記憶に残るようにしました
 
 
また、動画を見せながら、自分が自転車に乗れた成功体験を思い出すように話をしました
 
 
「自転車を練習したときも、何度も転んだけど最後はできるようになったよね!」
 
「スキーの練習は自転車の練習に似ているんだよ。自転車に乗れたならスキーはできるよ!」
 
 
過去にスキーがうまくいかなかった経験を「スキーって楽しそう」という良い記憶に上書きし、「私もやりたい!できそう!」と思えるようにしました。
 
 

◆挑戦できた未来にご褒美を設定する

 
 
スキーが滑れたら、こんないいことがあるよ!未来にご褒美を設定することです。
 
 
娘は「リフトに乗ってみたい」「上にいったら何があるの?」と言っていました。
 
 
子どもにとってリフトはとっても楽しそうで魅力的な乗り物ですよね。この先には何があるんだろう?そんな好奇心もあります。
 
 
しかし、そりではスキー用のリフトには乗れません。
 
 
だから、
 
 
「スキーができるようになったらリフトにも乗れるんだよ!」
 
「みんなで一緒にリフトに乗れたら楽しいだろうね!」
 
「お母さんも○○ちゃんと一緒にリフトに乗れるの楽しみだな~!」
 
 
と声をかけ、
 
 
「スキーができたらリフトに乗れる楽しい未来が待っている」という見通しを立ててあげたのです。
 
 
これは見通しを立てると同時に、スキーができたら「リフトに乗れる!」と言うご褒美が先にあることになります。
 
 
発達障害の子どもはがんばった先にご褒美があるとがんばれることがあるのです。
 
 
これって大人だってそうですよね!なにか楽しいことやいいことがあるからがんばれるんですよね!
 
 
こうして娘はスキーをやる気になって、自分から「私、今年はスキーをやる!」と言ってくれました。
 
 

◆楽しい記憶を作ることを最優先にする

 
 
今回のチャレンジは、前回の失敗から、楽しい記憶を残すことが一番の目的であることを夫とも確認しました。
 
 
それで大事なのは
 
 
・子どものペースに合わせること
 
・最終的にスキーができなくてもいいから、楽しい記憶にする
 
 
ということです。
 
 
娘のペースを守るために今回はスクールに入れずに、夫が娘にスキーを教えることにしました。
 
 
夫もあらかじめ、子どもへのスキーの教え方を調べて準備しました。
 
 
娘が疲れてきたらすぐに休むことにして、休憩のたびに好きなものを食べさせたり、スキー以外でもやりたいことがあればそちらを優先にすることにしました。
 
 
もちろんスキー中はしっかり褒めて楽しく練習できるようにしました。
 
 
スキーができるようになることを目的にしてしまうと、雪だるまを作りたい子どもに
 
 
「スキーに来たんだからスキーをしようよ!」
 
などと言ってしまいがちですよね。
 
 
そうではなく、スキーの練習をやめて雪だるまを作ってもいいから、とにかく娘が楽しむことを優先にすることにしたのです。こうして、娘は2泊3日のスキー旅行でスキーの練習をがんばりました!
 
 
いかがでしょうか。
 
 
新しいことや苦手なことに挑戦するのを拒む発達障害の子どもが挑戦する気持ちになるためのポイントは
 
①ネガティブな記憶を上書きするポジティブな記憶 
②挑戦できた未来にご褒美を設定する
③楽しい記憶を作ることを最優先する 
 
この3つになります。
 
 
 
 

子どもの成長だけではなく家族の団結も強くなった!

 
 
今年はスキーをやる!と決意した娘は、このスキー旅行の期間中に家族でリフトに乗ってスキーを楽しめるほど上達しました
 
 
娘は楽しくて「ヒュー!」と声を出して、何度もリフトに乗っては滑り降りるを繰り返していました。
 
 
ここまで滑れるようになるため、よくがんばっていました。
 
 
娘は何度転んでもやめると言わず、泣いてしまっても何度も立ち上がってがんばっていました
 
 
夫もしっかり教え方を工夫していました。
 
 
良かったところやできたところをこまめに褒めて娘を指導し、お兄ちゃんも夫の右腕としてスキーを運んでくれたり、娘に声をかけてくれたりして、妹の上達を応援してくれたのです。
 
 
 
 
娘の成長はもちろんですが、家族それぞれの成長団結もしっかり感じられた家族の感動の体験となりました。
 
スポーツを家族で楽しむと、子どもの発達を促しながら、家族の絆も強くできます。
 
 
我が家のスキーを通した娘の成長と家族の団結力が高まった体験記はいかがでしたか?
 
 
子どもが自らやってみようと挑戦することができたら、たとえ完璧にできるようならなかったとしても「挑戦した」というはじめの一歩が成功体験です。
 
 
結果ではなくて、新たな一歩を踏み出したことに注目してくださいね。どんな小さな成功体験でも子どもの成長の糧になります。
 
 
「また新しいことに挑戦してみよう!」という気持ちの種になりますので大切にしてくださいね。
 
 

 
 
ゆっくり、焦らずお子さんの力を信じてサポートしていきましょう。
 
 
私の経験が皆さんの子育ての参考になればうれしいです。
 
 
▼一律の苦行の宿題は「百害あって一利なし!」▼
 
 
▼▼宿題をやらせないで良い脳に育てる!コチラをダウンロードしてください▼▼
 
タイトルとURLをコピーしました