集団行動が苦手な小学生の対応に困っていませんか?参加できる能力はあるのに、不安が強く行事に参加することが難しい。そんな子どもが音楽会に参加するための工夫についてご紹介します。
目次
1.集団行動が苦手な小学生の対応に困っていませんか?
2.行事が苦手なのは「やる気がない」からではありません
3.私が最初にしてしまったNG対応
4.音楽会に参加するための工夫
5.本番当日、起きた変化

監修者:吉野加容子
発達科学コミュニケーション創始者/パステル総研主宰/発達科学ラボ代表
脳科学をベースに、発達障害・発達グレーゾーンの子どもの発達支援を専門とする。広島大学教育学部卒業後、東京学芸大学大学院修士課程、慶應義塾大学大学院博士課程で学び、民間企業での脳科学研究、医療機関での発達支援、大学での教育に従事。
15年以上にわたり発達に悩む親子と向き合う中で、「子どもの発達を本当に伸ばすのは、家庭での365日の関わりである」という結論にたどり着く。
病院や学校だけでは支援が届きにくい発達グレーゾーンの子どもたちに対して、家庭で再現できる支援を確立するため、脳科学・教育学・心理学を融合した独自メソッド「発達科学コミュニケーション」を開発。
これまでに数多くの親子の変化を生み出し、“ママが変われば子どもが変わる”という発達支援の新しい当たり前を広げている。
著書に『発達障害とグレーゾーン 子どもの未来を変えるお母さんの教室』『脳を育てる親の話し方』『脳が喜ぶ子育て』など。
1.集団行動が苦手な小学生の対応に困っていませんか?
我が家の小学5年生の娘は行事が近づくたびに、「出たくない」と言います。
家では歌ったり、踊ったり、音楽が大好きなのに、音楽会という学校の行事になると急に顔がこわばります。
そんな集団行動が苦手な小学生の対応に困っていませんか?

普段はよく笑い、家ではおしゃべりがとまらないのに、音楽会の練習が始まった頃から、明らかに様子が違いました。
「間違ったら恥ずかしい」
「みんなに見られるのイヤだ」
そんな子どもの姿に、胸がしめつけられたことはありませんか?
2.行事が苦手なのは「やる気がない」からではありません
「どうしてうちの子だけ不安が強いの?」
「みんな普通にできているのに」
そう思ってしまうこと、ありますよね。
けれど、行事が苦手な子どもの多くは、怠けているわけでも、やる気がないわけでもありません。

娘はとても繊細なタイプで刺激を人よりも強く受け取ります。
音楽会は、
・大きな会場
・強い照明
・たくさんの保護者の視線
・失敗できない雰囲気
と、刺激が重なる場です。
脳が「ここは危険かもしれない」と判断すると、脳内で警戒アラートが鳴ります。
その結果が、「やりたくない」「行きたくない」という言葉になるのです。
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3.私が最初にしてしまったNG対応
はじめの頃の私は、こう言っていました。
「大丈夫だよ」
「みんなも一緒だから」
「練習しているんでしょ?」
励ましているつもりでした。
でも娘の表情はどんどん固くなっていきました。

私は娘の気持ちを受けとめずに、行動だけを正そうとしていました。
不安な気持ちを受けとめてもらえないと、子どもは「一人で頑張らなきゃいけない」と思ってしまいます。
そのせいで、さらに緊張を強めていたのです。
ある日、娘がつぶやきました。
「みんなの前で間違ったらどうしよう」
そのとき私は初めて、否定せずに返しました。
「そっか。まちがえたら恥ずかしいって思ってるんだね」
すると娘は、少し安心したような顔をしました。

娘は“やりたくない”のではなく、“ちゃんとやりたい”からこそ怖かったのです。
そこで私は、否定することをやめて、安心を増やすことに意識を向けました。
4.音楽会に参加するための工夫
音楽界に参加するたの工夫は、家を「安心の練習場所」にし、成功体験を積み重ねることです。
まず、家を安心の練習場所にしました。
観客はママ一人。
拍手やリアクションは大きめ。
「今の出だしいいね」
「伴奏のテンポに合わせられるようになったね」
と具体的に伝えます。
できていないところではなく、できているところを認めるます。
すると、小さな成功体験が、娘の中に少しずつ積み重なっていきました。
不安が強い子は、ネガティブなイメージをすぐに思い描いてしまいます。
だから私は、こう伝えました。
「音楽会、楽しみだね。終わったら頑張ったご褒美にクレープ食べに行こうか?」
すると娘はうれしそうに笑いました。
練習したことで演奏できるようになり、娘自身が楽しさを実感できるようになっていました。
楽しさに気づけるとやる気が高まります。

本番が近づいてきたある日「みんなで演奏できるのもあとちょっとだね」と私が話しかけると、
まさかの「ちょっと寂しい」という言葉がでてきました。
ギリギリになって前向きな態度が見えたことが嬉しかったです。
5.本番当日、起きた変化
本番当日の朝。
いつもならなかなか起きない娘が、さっと起きて言いました。
「ちょっとドキドキするけど、楽しみ」
とても良いスタートに胸が躍りました。
余計な一言でやる気をなくしてしまわないように、私はなるべくしゃべらず、ひたすら笑顔で娘を送り出しました。
体育館で娘を見つけたとき、私は思わず息をのみました。
少し緊張した顔。でも、固まってはいない。
そして演奏が始まると―
娘は前を向き、はにかみながらもやわらかい表情で真剣に取り組んでいました。
少しだけ間違えるところもありましたが、最後まで楽しそうに演奏しきったのです。
終わったあと、娘は言いました。
「今までで一番できた!楽しかった!」
その言葉を聞いたとき、胸の奥がじんわり温かくなりました。

娘が笑顔で音楽会に参加できた理由は、特別な練習法ではありません。
・気持ちを否定しなかったこと
・安心を積み重ねたこと
・結果より過程を認めたこと
・正しいより楽しいを優先したこと
行事が苦手な子どもに必要なのは、頑張らせることではなく、安心して挑戦できる土台です。
不安がゼロにならなくてもいい。
ドキドキしながらでもいい。
「怖いけどやってみる」を支えられたとき、子どもは大きく成長します。
もし今、行事前で不安が強いお子さんがいるなら、まずは、
「そっか、不安だよね」
と受けとめることから始めてみてください。
その一言が、「やってみる」につながる第一歩になるかもしれません。
できなくても「まあいいか」を合言葉に親子で笑顔で楽しみませんか?
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執筆者:米倉あさこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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