ゲームに負けると癇癪を起こす。その度に周りが嫌な思いをしてしまう。こんなお子さんに困っていませんか?この記事では、負ける度に癇癪を起こしていた我が家の息子が落ち着いた目からウロコの対処法をご紹介します。
1.「ゲームで負けると癇癪」にウンザリしていませんか
ゲームで負けると怒る。鬼ごっこで鬼になると怒る。
お子さんが「とにかく勝ちにこだわる」というお悩みはありませんか?
負けず嫌いなのは、頑張り屋で簡単には諦めないといういい面もあります。
しかし、度が過ぎてしまうと、負ける度に癇癪をおこす「ちょっとわがままな子」と見られがちです。
次第に「あの子とやると楽しくない」と避けられてしまうようなことも起きて、友達トラブルや本人の生きづらさにもつながってしまいます。
そんなお子さんに有効的な目からウロコの解決法があったんです!私の体験談とともにお伝えしていきます。

2.勝負事が大好きな息子に対して「負けませんように」と密かに祈っていました
私の息子は幼稚園の年中で、とっても負けん気の強い子です。
テレビゲーム、ボードゲーム、スポーツなどの勝負事が大好きです。
ただ、悩みのタネは負けた時。
「ゲームだから勝ったり負けたりするんだよ」
「負けて怒ってたらみんなと遊べなくなっちゃうよ」
と何度伝えていても、負けたり負けそうだと分かった途端、顔がこわばって泣いたり怒ったりして癇癪を起こすことが度々ありました。
親子でテレビゲームをしていて、自分が不利になってくると、テレビの前に立って画面を見えなくしたり、コントローラーを奪おうとするので最後まで楽しめません。
ボードゲームは途中でぐちゃぐちゃになるし、トランプでも「負け」と分かると叩いたり蹴ったりする息子に困り果てていました。
サッカー教室でも自分のチームが負けてしまうと、相手チームのお友達に手を出してしまうこともありました。
カーっとなっているため、自分がやったことに対して謝ることはもちろんできません。
しまいには「相手が悪い!」という始末。
そんな態度に私もイライラしながら周りに頭を下げていました。
ママ友や先生からは
「その闘争心分けてほしいくらいだよ」
「先生も負けず嫌いだよ。じゃんけんでも負けたくないもん」
と声をかけてもらっていましたが、私は内心「なんでうちの子だけこんなにも負けん気が強いんだろう」と思い、外での勝負事にヒヤヒヤしながらいつも「負けませんように」と密かに祈っていました。

3.勝ちにこだわって癇癪を起こすのは脳の癖が原因
息子の場合、以前から記憶力がいいなと思うことがありました。
それも自分が体験した嫌なことだったり、失敗したことなど、ネガティブなことをよく覚えていました。
これは実は「ネガティブな記憶を残しやすい」という脳の癖だったんです。
息子の脳内では、恐怖や不安を感じる部分がとても敏感に働き、「負け」=「嫌なこと」がセットになり記憶されていました。
例えば、マリオカートで1位になれなかったからトロフィーがもらえなかった、という体験をしたとします。
「1位じゃない」=「負けた」=「欲しいものが手に入らなかった」=「嫌だ」という思考になり、次に似たようなことが起きた時、この出来事を思い出してそれを避けようとします。
つまり、怒ることでそういった「嫌なこと」を回避しようとしているのです。
これは記憶によって自分の「身を守る」という本能的なものです。
自分ではどうしようもないことなのです。
脳レベルで考えると息子の行動の表れをよく理解できました。

4.負けず嫌いにはこんな目からウロコの対処法
このような脳の癖が強い息子に、私が今までしてきた「諭す」ような行為は逆効果でした。
「勝ちたい」息子には「負け」は通用しません。
では、どうするのか。
「とにかく勝たせる」んです。
「そんなことしていいの?」と私もこの方法に半信半疑でしたが、おうちではとにかく勝たせて本人が気持ちよくゲームを終われるようにしていました。
テレビゲームでは、コンピューターを弱い設定にして、息子が1位を取れるようにサポート役に回ったり、
すごろくのようなボードゲームでは特別ルールを発動して息子はサイコロを一度にふたつ振れるようにしたりしていました。
その時に気をつけていたことは「ゲームに勝った」という結果を一緒に喜ぶだけでなく、勝つまでの「過程」を言葉にして伝えることです。
「あの場面でアイテム使ったのナイスだったね」
「たくさんの数をかぞえられたね」
「今のいい作戦だったね」
「よく見てあそこにパス出したんだね」
ゲームの最中に本人のできているところに注目して褒めていくと、結果ではなく、過程の努力こそ「面白い」という成功体験に変わっていきます。

5.満足するまで勝ったその先は?
これでいいのかな、と思いながら「とにかく勝たせる」対応を続けていたある日、負けた私に気を遣って「ママ負けて悲しい?」と聞いてきたときがありました。
勝つことに飽きてきた息子がいたのです。
満足するまで勝つという成功体験を積んだからこそ、相手のことまで考えようとする次のステップに進めました。
そこからは色々な変化が見られました。
・「1位がいい」だったのが「6位までは勝ってる」と自分で納得できるラインを決められるようになった
・風船バレーや卓球などで1点でも相手にポイントを許すことができなかったが、自分のミスを5回に1回くらい認めて、相手にポイントをあげられるようになった
・「〇〇くんすごく早いんだよ。なかなか勝てないんだよ」と、自分より足が速い子を認められるようになった
・サッカー教室で負けても癇癪を起こすことはなくなり、「あのパスよかったでしょ?」と過程を自分で振りかえられるようになった。
あんなに負けることにハラハラしていた私も息子が成長したことで「負け」に対する怖さがなくなりました。
この「とにかく勝たせる」はおうちの中でしかできません。
子ども同士のなかではなかなかできないことです。
だからこそ、おうちでこの成功体験をどれだけ積めるかが大事です!
「負けると怒る」お子さんにお困りのママは、ぜひ試してみてください。

執筆者: 渡辺 さくら
発達科学コミュニケーション リサーチャー