「うちの子はだらしない!」「いつも髪の毛がぐちゃぐちゃ」と身だしなみが整えられない子どもに困っていませんか?それはもしかして発達障害の特性かも?理由がわかるとお母さんもスッキリ!身だしなみを整えられるようになる声かけをご紹介します。
1.間違った対応は自己肯定感を下げる!身だしなみを整えるために親ができることはある?
子どもの髪の毛がいつもぐちゃぐちゃ、口の周り、顔が汚れている…
そんな子どもの姿に、ちゃんと鏡を見てよ!と思ったことはありませんか?
何度注意しても、毎日毎日同じことを繰り返す。
どうしてうちの子はこんなに身だしなみを気にしないのかな?
幼児期ならわかるけど、もう小学生だし…。
我が家の娘もそうでした!
女の子なのにいつも髪の毛はぐちゃぐちゃ。
私はその度に「ひどい髪の毛だね〜」といつも注意をしていました。
でも気をつけてください! それはもしかすると発達障害の特性かもしれません!
間違った対応をしてしまうと、子どもの自己肯定感がどんどん下がってしまう可能性もあります。
まずは子どもの「なぜできないのか」を理解して、子どもが自分で身だしなみを整えることができるようになるように、長い目でサポートをしてあげる必要があります!

2.髪の毛はいつもぐちゃぐちゃ。身だしなみを整えるのが苦手な娘
我が家には診断は受けていませんが、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如多動症(ADHD)傾向にある発達障害グレーゾーンの小3の娘がいます。
小2から自分でポニーテールができるようになりました。
しかしまだうまく結べなく、髪の毛はいつもぐちゃぐちゃ…。
笑ってしまうほどひどかったので、いつも「ひどい髪の毛だね。それで外に行ける?」と言って娘が結んだ後に、一度ほどいて私がやり直すということをしてきました。
しかし1日に何度も自分でぼこぼこに結び直してしまうので、その度に「もうちょっと、ちゃんとできないの?」と娘に一言ぼやいていました。
すると「もういい!どうせ私はできないし」と私が結び直すことを拒否されるようになってしまいました。
そのほかにも、食事の後に口の周りに食べたものがついていることがよくあるので、娘は身だしなみを整えること自体が苦手なんだと感じました。
しかしもう幼児ではないので、自分のことは自分でできるようになって欲しい!
女の子だし髪の毛がぐちゃぐちゃでいるのも、恥ずかしいと親としては思ってしまいます。
どのように身だしなみを整えることを、上手に気づかせてあげるべきか困ってしまいました。

3.発達障害だから?身だしなみを気にしない、気にならないのはなぜ?
発達障害の子どもが身だしなみを整えられないのはなぜでしょうか?
◆ASDの特性からわかること
ASDの特性のひとつに「他者視点」を読み取るのが苦手ということがあります。
他人にどう思われるか、他人がどう考えるかを想像することができないことです。
特に自分では見ることのできない、後ろの髪の毛がぐちゃぐちゃになっても、自分にとって問題がなければ、なぜダメなのか理解することができないのです。
つまり「人前に出る時は身だしなみを整えよう」と言われても、なぜ、そうしなければいけないのかを理解していないと、これらは改善しないということです。
◆ADHDの特性からわかること
ADHDの場合は、
・やろうと思っていてもすぐに行動に移せない
・やろうとしても他のことに夢中になってすぐに忘れてしまう
・気が散りやすく、集中力が続かない
といった特性もあります。
身だしなみが整わないことの背景には、このような脳の特性も関係していることが要因です。

4.褒めて伸ばしていく!発達障害の子どもにできる身だしなみの整え方
◼️「他人目線」の理解が苦手な子どもには「自分目線」で説明を
ASDの傾向にある子どもには、人からどう思われるかより、「自分目線」で考えた方がわかりやすいんです。
まずはなぜ身だしなみを整える必要があるかを理解してもらうために
「〇〇ちゃんは髪の毛をまっすぐとかしてた方がかわいい」
「〇〇ちゃんは口に何もついてない方がステキ」
などと、「あなた自身を素敵に、かわいくするためには」という理由を理解してもらいます。
そこでは「ちゃんとして」などの抽象的な言葉を使わずにはっきりと、「こうした方がいい」と言ってあげましょう。
◼️できていることを褒める
身だしなみを自分で整えた子どもに、いきなり「ひどい服装だね」「髪の毛ぐちゃぐちゃだよ?本当にクシでとかしたの?」と言うのはNGです。
まずは「自分で髪の毛をとかしたんだね」「自分で着替えたんだね」と自分でできたことを肯定して、褒めてあげましょう。
発達障害の子どもはできないことが多いがゆえに、指摘されたり、怒られることを経験して自分に自信をなくしている子もいます。
そんな子には、できたことをしっかりと褒めて「ここまではできているんだよ」「がんばっているね」と自信をつけてあげましょう。
その後に、
「じゃお母さんがもっとよくなるように仕上げるね」
「ここを直すともっといいよ」
とできていないところはお母さんがさらっと直してあげて、「もっとよくするために」といったポジティブな表現で伝えてあげましょう。
◼️チェック表を作る
身だしなみを整えた方が良いと理解することができたら、鏡の前に立った時にどこを見るかというチェック表を作ってあげましょう。
・髪の毛をとかす
・口の周りに何もついていないか見る
・服に食べこぼしがついていないか確認する
チェック表にしてあげることで、途中で気が散ってしまっても、また再開することができます。
繰り返し行うことで、次第に覚えていき、習慣がつくことによってチェック表をみなくてもできるようになっていきます。
髪の毛を結ぶなど難しいところは、お母さんがまだサポートしてあげてもいいですし、結ばなくても良い長さにするなどの工夫もできます。
全てをお母さんがやってしまうと、自分では何もできなくなってしまいます。
自分で身じたくをやりながら、できていることを褒めて伸ばしていく、自信をつけてあげることが何よりも大切だと思います。
少しずつ、身だしなみを整える習慣を身につけて欲しいですね。

執筆者:豊泉 えま
発達科学コミュニケーション トレーナー