5歳になったのに、お子さんがまだ字が書けないと悩んでいる親御さんはいらっしゃいませんか?本記事では、子どもが文字を書けるようになるための発達段階の指標と文字に全く興味のない子どもへの上手な教え方をご紹介します。
1.5歳になったのに字が書けない…。どうしよう…。
「5歳になったのに、字が書けない…。来年、小学生なのに大丈夫でしょうか?」
就学を来年に控えている年長児の親御さんたちからよくいただくご相談です。
幼稚園や保育園の生活では、文字を書くことは重要視されることがなかったと思いますが…
小学生になると本格的に学習が始まり、字を書くことができないと、授業についていけないのではないかと心配に思われる親御さんも多いことでしょう。
実際、どのくらいを目処に文字を書けるようになっておいた方がいいのか?
特に就学を控えたお子さんがいらっしゃる親御さんにとっては、気になるところですよね。
本記事では
・子どもが文字を書けるようになるための発達段階の指標
・文字に全く興味のない子どもへの上手な教え方
をご紹介します。

2.お子さんは文字に興味を示していますか?
5歳にもなると、発達が早いお子さんの場合、文字をすでに読んだり書いたりできる子もいると思います。
周りのお友達が文字の読み書きができるようになっていたり、幼稚園や保育園の先生からの指摘があったりすると
つい焦ってしまい、塾に通ったり、家で反復練習をさせたり。
強制的に文字の練習をさせてしまうこともあるかもしれませんね。
もし、お子さんが文字の練習を楽しんでやっているのであれば…
お子さんの脳は、文字の習得への下準備ができている状態なのでしょう。
お子さんのペースで楽しく文字の読み書き練習を進めていきましょう。
しかし‼︎
お子さんが文字の練習を嫌々ながらやっていたり、全く文字に興味を示さないのであれば、まだお子さんの脳は文字の習得に向けての準備が整っていない状況です。
今すぐ、強制的な練習はやめて、下準備を整えていきましょう。

3.子どもが文字を書けるようなるための発達段階の指標
文字を書くための下準備をするためには、子どもが文字の習得に向けてどのように発達をしていくのかを知っておく必要があります。
ここからは、文字を習得する上での、子どもの発達について、少しご説明していきましょう。
文字の習得には『読み』の発達と『書き』の発達が必要です。
◆文字の読み
実は、文字の読み書きを習得するための下準備は、赤ちゃんの頃からの物の形の認識から始まります。
①形の認識ができるようになる
赤ちゃんは、物の色や形を触ったり見たりして、認識しています。
形を認識できるようになった赤ちゃんは、文字を記号や形として認識していきます。
文字の読みの習得は、形を認識することから始まります。
②生活の中の文字に興味を示す
絵本や様々な生活の中の文字に触れ、興味を持つようになります。
絵本などを読むと、登場人物の名前などを言うことができるようになります。
③文字には意味があると理解する
生活の中で、文字には意味があることを理解し始めます。
まだ文字は読めないのに、遊びの中で読んだふりをしていたり、絵本を読む大人の真似をしたりする子どもの様子が見られるようになります。
自分の名前や好きなキャラクターなど、特定の文字に興味を持つようにもなります。
自分の名前が読めるようになる子もいます。
④文字を読めるようになる
文字が読めるようになると、絵本を読んでもらうときに、字を目で追えるようになってきます。
自分で一文字一文字、指で追って、絵本を読める子もいます。
◆文字の書き
文字を書くために、文字の読みの習得にプラスして、手先の運動機能の発達が必要です。
①手首や指先での運動発達が始まる
生まれたばかりの赤ちゃんも、親の手をギュッと握ります。
すでに、この時期から手首や指先を動かす運動の発達が始まっています。
②書くことへの興味が生まれる
子どもの運動機能は
・上から下へ
・体の中心から外側へ
・粗大運動から微細運動へ
順に発達していきます。
字を書くことに必要な指先の微細運動は、運動機能の中ではゆっくり発達する部分。
2歳くらいになると、この微細運動が少しずつできるようになってきます。
微細運動機能が育っていくと、クレヨンやペンを握るという動作ができるようになり、子どもは点や線などを思い思いに書くことを楽しむようになります。
初めは点から横線→縦線→斜め線→曲線
お子さんがどのような物を書いているのか、どのくらいの力で書けているのかを観察することで、運動機能の発達状態を知ることができます。
③運動機能の発達と文字の認識が交わる
文字を書くために必要な微細運動ができるようになると、ようやく子どもは文字らしいものを書こうとするようになります。
まだ形の認識が育ってない場合は、宇宙語のような(笑)自分なりの文字を書く子もいます。
④簡単なひらがなや数字が書けるようになる
文字の理解、形の認識、運動機能の発達
この3つが全て育った時点で、ようやく文字の習得が進んでいきます。
これらの発達は、あくまでも定型発達のお子さんの段階です。
文字の読み書きにおける発達には、個人差があります。
発達障害があるお子さん(特に言葉の発達が遅いお子さん)は、文字の読み書きにおける発達もゆっくり進んでいると考えてください。
お子さんの発達がどの段階にあるのかをまずは把握することから始めましょう。

4.5歳になっても、文字に興味が全くない!そんなお子さんにぴったりの教え方
5歳になったのに文字に全く興味がない…そんなお子さんには 『子どもが好きなもの』に着目して、文字に興味を持たせる方法がオススメです。
好きな乗り物の名前、好きなアイドルの名前、好きなキャラクターの名前、家族の名前、ペットの名前。
子どもが『好き』だと思っているものを利用して、文字に興味を持たせましょう。
『これは何て読むの?』お子さんからこの言葉が出たら、興味スイッチがONになった証拠!
「このペットボトル、ママの名前と一緒の『い』がついてるよ!」
「このお菓子、しんかんせんと同じ『し』がついてる!」
好きなものから発展して、様々な文字に興味が向くように、生活や遊びの中で、文字探しや形探しなどを取り入れてみましょう。
これらの過程で様々な文字に興味を持ち始めたら… 迷路遊びや運筆遊び、簡単なひらがなドリルを取り入れていってもOKです!
あくまでも子どもが楽しくできる工夫をしていくことを忘れないでくださいね。
逆に、文字に興味を持っていない子には、ひらがなを書く練習はまだNGだと思っておいてください。
まずは文字に興味を持たせる関わりを重視していきましょう。
子どもが字を書くために、お子さんがどの段階の発達であるかを理解し、それぞれの発達段階にあった対応を生活や遊びの中で取り入れてみてくださいね!
