毎朝、行く行かないのバトル勃発。朝から疲れ切っているママに伝えたい。登校しぶりは甘えではなく、脳の特性による思考のクセが原因です。この記事では、誰よりも子どもの近くにいるママが戦略的な声掛けを実践し、登校しぶりを打破するテクニックをご紹介します。
1.子どもの登校しぶり。朝が来るのが怖いあなたへ
「明日は行くよ!」と張り切っていたのに、朝になると「学校嫌だな〜」「やっぱり行きたくない!」と言い出し始める。
また今日も「行くの?行かないの?」と朝からバトル勃発。
こんな毎日に疲れ切っているママはいませんか?
朝が来るたびに、「今日は行けるかな」と不安で苦しい思いを抱えてる日々は、1日でも早く抜け出しましょう。
この記事では登校しぶりの原因と、子どもの特性を知った上で戦略的に登校しぶりを打破できる声掛けのテクニックをご紹介します。

2.原因不明の登校しぶりと付き添い登校の日々
現在、小学2年生の息子は1年生の冬に登校しぶりが本格化しました。
夏休みが終わり2学期がスタートした頃、朝になると「お腹が痛い」「気持ち悪い」と不調を訴えることが増え、ついには玄関から出られなくなりました。
休みが続いたある日、「ママと一緒に学校行ってみる?」と聞いた所、「行ってみようかな」と意外にも前向きな回答があり、この日をきっかけにして付き添い登校をスタートしました。
前日の夜には「明日は一緒に登校する!」と決めたものの、朝になると「今日は無理」「行きたくない」と口にするようになり、
ようやく付き添い登校という突破口を見つけたと思ったのに、また振り出しに戻ってしまった…と絶望感でいっぱいになりました。
一番苦しかったのは子どもに行けない理由を問いただしても、これといった答えが見つからなかったことでした。
「みんなは学校に行っているのに、我が子はどうして行けないの?」と気持ちばかりが焦る毎日でしたが、登校しぶりをしている理由やその原因は、実は『脳の特性』にあることがわかりました。

3.どうして学校に行けないの?ASDの子が自信を失う仕組み
登校しぶりの背景には「思考のクセ」が関係していることがあります。
私の子どもは自閉スペクトラム症(ASD)グレーゾーンです。
ASDの子どもによく見られる特徴として、言葉の受け取り方や物の捉え方が独特という傾向があり、ネガティブに解釈しやすいと言われています。
例えば、ちょっとしたお友達や先生との会話の中でも「自分が責められている」と感じてしまうのです。
またASDの子は、人との比較にも敏感です。
「どうして自分だけできないの?」と強く思い込み、小さな失敗や誤解が積み重なることで、自信を必要以上に失ってしまうことがあります。
実際に息子との付き添い登校の日々でも、お友達との会話の中で、ほんの些細な言葉に傷ついてしまって悲しんだり、涙を流したりと、お友達の言葉を悪い方に受け止めてしまっている場面を多く目にしました。
周囲から見れば些細なやり取りでも、本人の中では「またダメだった」「やっぱり行きたくない」という記憶として蓄積され、自信を失っていったのです。
つまり、登校しぶりの背景には
「ASDの特性による敏感な受け止め方 → ネガティブな解釈 → 自信の喪失」
という悪循環が隠れています。
失った自信を回復させるためには、とにかく家ではのんびりとリラックスさせて休ませてあげること。
そしてネガティブな感情をこれ以上溜めてしまわないように「できていること」に気づかせる声掛けが大切です。
次の章では、自信を失った子どもに再び自信を授けるための声掛けの具体例を紹介します。

4.失った自信を取り戻せ!小さな自信を積み重ねる声掛け作戦スタート
ネガティブな受け止め方で自信を失ってしまった子どもには、「できている自分」に気づかせてあげることが大切です。
まずは「これも出来ているよ!」「あれも出来ているよ!」と、事実をコツコツと言葉にして伝えることで「あなたは出来ているんだよ!」という感覚を育てていきましょう。
本当に出来ている事実を褒めることで、歪んで捉えていた自分の姿を修正させることに繋がります。
具体的にはシンプルに子どもの心に残る声掛け、実況中継(見たままを言う)のテクニックがオススメです。
実に簡単で「〜しているね」という言い方でOKです。
例えば、
「起きてきたんだね」
「歯を磨いているんだね」
「ご飯を食べているんだね」
「お、自分で洋服選んできたんだね」
「着替えたんだね」
こうしてママが子どもの行動を認め続けることで「自分は出来ているんだ!」と失っていた自信を取り戻していくことが出来ます。
自信を取り戻した子どもはやる気がぐんぐん育ち、行動力が増えます。
そうして、また力を発揮できる子へと進化していきます。

5.登校しぶりにさよならを
発達に特性を持つ子どもにとって、学校は決して簡単な場所ではありませんが、戦略的な声掛けで自信を取り戻し、挑戦できる力が育ってきた時、息子は自らの足で教室への一歩を踏み出すことができました。
大好きなママから認めてもらえたという良い記憶が「また次も頑張ろう!」という気持ちに繋がります。
今日もまたママからの声掛けと優しい表情もプラスして、子どもの成長をサポートしていきましょう。
朝の親子バトルから解放されて一日でも早く、子どもの「行ってきます!」が聞ける親子が増えますように。

執筆者: 小川 よしこ
発達科学コミュニケーション トレーナー