不登校でもフリースクールに安定して通えているのは実はとても大きな一歩です。しかし「集団にもう戻れない?」「このままで大丈夫?」と不安になっていませんか?この記事では、フリースクールで育つ社会性を分かりやすく解説します。
1.不登校になったけれど、フリースクールには安定して行ける理由
子どもがフリースクールには安定して通えているということは、その環境が 「安心できる条件」 を満たしているということです。
フリースクールには、次のような“安心につながる環境”がそろっています。
・近くに理解してくれる大人がいる
・過度な刺激が少ない
・自分のペースで行動できる
・成功体験が積み重なりやすい
・比較されにくい
これらは、特に繊細な子・不安が強い子にとって大きな安心材料です。
一方、学校は
・人数の多さ
・先生の一斉指示
・集団のペース
・音、視線、刺激の多さ
などがあり、これらが繊細な子・不安が強い子にとっては特に「負担」となりやすいのです。
♦我が家の経験
息子も元々不安が強く、小学2年生の2学期より不登校になりましたが、その後、12月よりフリースクールに安定して行けるようになりました。
学校では
・指示が通りにくい
・集団のペースが合わない
・比較される場面が多い
といった部分が大きな負担になっていたのだと思います。
「学校には行けないけど、別の場所には行ける」
これは、その子が『自分に合う環境ならちゃんと力を発揮できる』という証拠です。

2.日本では、なぜ「集団に馴染むこと」が求められるの?
フリースクールに通えるようになって私はホッとしました。
しかし相談支援の面談のたびに、心がざわつく自分がいました。
その理由は、私自身がどこかで「社会性=集団に馴染む力=学校で育つもの」と捉えていたからです。
日本ではこの価値観がいまだ根強く残っています。
しかし、私は発達科学コミュニケーションで学ぶ中で、不安が強い子や 繊細な子の脳は「安心を感じられる範囲」が非常に狭くなりやすいことを知りました。
そのため、繊細で不安が強い子は、集団生活の入口である「安心できる相手を見つける」という段階でつまずきやすいのです。
ここで誤解しないでほしいのは、
「集団に馴染めない=社会性が低い」ではないということ。
次は、社会性がどう育つのかを詳しく説明します。

3.社会性は「まず1対1」から育つ仕組み
社会性は「人数ではなく関係の質」で育つと言われています。
子どもの社会性が育つ順番は、
「大きい集団 → 小さな関係」ではなく、
「安心できる1対1 → 少人数 → 必要があれば集団」
という順番です。
♦世界は段階的に広がる
①安心できる大人との1対1
②少人数の仲間との関わり
③好きな活動での成功体験の積み重ね
④自己肯定感や自信の回復
⑤「やってみたい」という意欲が生まれる
⑥必要があれば集団にも挑戦できるように
この順番で進めば、心が折れずに社会性が伸びていきます。
まずは、お家ではママが「心の安全基地」になる1対1のコミュニケーションを心掛けましょう。
そして、フリースクールのような少人数環境は、子どもにとって「深く関われる大人」が近くにいて1対1の「心の安全基地」を作りやすい環境です。
1対1の関係で
・安心
・共感
・受容
を感じることで、子どもは「人と関わるって楽しい」と感じられるようになります。
さらに、フリースクールは少人数だからこそ
・一緒にゲームをする
・工作を楽しむ
・先生と好きな活動をじっくりできる
・友だち1人とゆっくり仲良くなる
といった成功体験が積みやすく、その積み重ねが、後の集団生活の力につながっていきます。

4.好きなことが社会性を伸ばす
「集団が苦手」という子は、 無理に集団に戻すよりも、「好きなこと」から世界を広げるほうが圧倒的にスムーズ です。
♦ 好きなことは「行動の原動力」になる
・ゲーム
・工作
・理科
・絵
・プログラミング
・動物
など、その子の「好き」を中心にすると、 自然と人と関わる機会が増えます。
また、好きなことは
・継続しやすい
・自信になりやすい
・他者と共有しやすい
ということから、社会性の発達に直結します。

5.「集団に行けていない」よりも“今できていること”を見ることが大切
フリースクールに通えている今、その事実こそがこれからの成長を支える大切な土台 です。
繊細・不安が強い子は、 環境が整えば、伸びるスピードは一気に加速します。
息子も私が「できている部分」に注目してあげることで、以前は嫌がっていた学校のイベントに行ったり、子ども会の活動に参加することができるようになりました。
集団が苦手なことは「能力が足りない」わけではありません。
ただ、まだその環境が「今のその子」に合っていないだけです。
安心できる場所に通えている今は、まさに成長の真っ最中。
焦らなくて大丈夫です。
「好き」を軸に少しずつ世界を広げながら、その子のペースで着実に育っていきますよ。

執筆者:たるみ あや
発達科学コミュニケーション アンバサダー





