お子さんの発達の特性について、両親に言えない…。そんなお悩みを一人で抱えていませんか?大切なのは、不安をあおらない伝え方。発達の特性を伝える際に参考にしてみてくださいね。
1.お子さんの発達の特性のことをご両親に伝えていますか?
みなさんはご両親に、お子さんの発達の特性について伝えていますか?
「なかなか言い出しにくい…。」
「どう説明したら良いのかわからない。」
「理解してもらえなさそう。」
そんなふうに、一人で悩んでいるママも多いのではないでしょうか。
言った方が良いのかどうか、迷っているうちに、時間だけがどんどんと過ぎてしまい、ますます言い出せなくなってしまうこともあります。
また、「余計に心配をかけたくないから」と、あえて伝えない選択をしているママもいるかもしれません。

2.なんとかごまかしながら両親に発達の特性を隠す日々
実は、私も息子が、自閉スペクトラム症(ASD)のグレーゾーンキッズであることを、両親に打ち明けられずにいました。
ASDグレーゾーンと気づいた最初の頃は、不登校になり、うつ状態になってしまった息子への対応に、ただ必死な毎日でした。
そのため、ASDに対する知識も今よりずっと少なく、自分で説明する、という選択肢はありませんでした。
実家は車で2時間半ほどの場所。
それほど頻繁に会うわけでもなかったため、何とかごまかすことができていました。
両親にとって、息子はたった一人の孫でした。
生まれた時から、とてもかわいがってくれました。
息子が熱を出すと、毎日のように、「大丈夫?」と連絡が来るほど、いつも息子を気にかけてくれていました。
特に母は心配性な面があり、そのこともあって、息子のことを打ち明けることをためらってしまいました。
過剰に心配されるのが、怖かったからです。
両親は、「学校へ行くのが当たり前。」と考えている世代です。
不登校のことはなおさら言えませんでした。
息子は、不登校になり、不安が強くなったことで、車に長時間乗ることができなくなってしまいました。
そのため、これまで度々していた帰省が、できなくなりました。
最初は、「用事があって帰れない。」などと言い訳し、両親も納得していました。
しかし、それが何度も続くうちに、両親を納得させられる言い訳が、段々と思いつかなくなってしまいました。
私も、両親に言えないまま、心に何か引っかかるものを抱えながら、日々を過ごしていました。
今振り返ると、両親に言えなかったのは、息子の状態を説明できるほど私自身の中で整理がまだできていなかったからだと思います。

3.発達の特性を伝えなくてはいけなくなった出来事
半年くらい経ったある日、これまでの言い訳が通用しない出来事が起こりました。
それは、私の祖母の死でした。
私は、一緒に住んでいた祖母の葬儀に、どうしても行きたいと思いました。
何とか行ける方法がないか、必死に探しました。
しかし、今の息子の状態を考えると、とても連れて行けるとは言えませんでした。
息子は、車に乗ることと外泊に、強い不安がありました。
知らない人が大勢いる場所、初めての葬儀…。
不安要素があまりにも多く、無理に連れて行く、という決断が、どうしてもできなかったのです。
そこで、私は初めて、隠していた息子の発達の特性について、両親に伝えることを決意しました。

4.両親の不安をあおらない発達の特性の伝え方
正直、どう言い出せばいいのか、最後まで迷っていました。
しかし、この時までに私は、Nicotto講座で自閉スペクトラム症(ASD)の理解を深めていました。
発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学ぶ中で、自分自身の子育ての軸ができていたこともあり、「何をどう説明するか」で悩むことはありませんでした。
何も知らない人が、ASDについて理解するには、1日や2日では難しいことも、わかっていました。
そこで、私は、両親に伝える情報を、絞って伝えることにしました。
両親が混乱することを避けたかったこと、そして、必要以上に不安をあおりたくなかったからです。
実際には、こんなふうに切り出しました。
「今まで心配をかけたくなくて言えなかったんだけど、○○には発達障害グレーゾーンの特性があるんだ。」
「今は不安が強く出ていて、長時間の移動や初めての場所が、とても負担になっているの。」
その上で、具体的には次のことを伝えました。
・息子には発達障害グレーゾーンの傾向があること
・発達障害の中でも、自閉スペクトラム症の特性があること
・発達障害は生まれつきの脳の特性であること
・初めての場所や初めての人に、強い不安を感じやすいこと
・今は不安が強く、車に長時間乗ることが難しいこと
・適切な関わりを続けていくことで、特性による困りごとが少しずつ小さくなっていくこともあること
一方で、息子が学校へ行けていないことは、あえて伝えませんでした。
今は、この事実を伝えることが、両親の不安をさらに強くしてしまうと感じたからです。
いつか伝える必要が来るかもしれませんが、この時点では「伝えない」という選択が息子の安心を守ると判断しました。
一番強調したのは、「適切な関わりを続けていくことで、発達の特性による困りごとが少しずつ小さくなっていくことがある」ということでした。
「発達障害でも大丈夫」というメッセージを強めに伝えました。
それと合わせて、周りが心配しすぎると、息子の不安が大きくなってしまうため、あまり心配し過ぎないで欲しいことを伝えました。

5.想像していなかった両親の反応
実際に伝える時は、とても勇気が必要でした。
しかし、両親に息子の特性について伝えると、驚くほど、すぐに理解を示してくれました。
母が、「葬儀には無理して来なくていいよ。」と言ってくれた時、私は、心から安心しました。
これまで、隠してきたことで重たくなっていた心が、ふっと軽くなるのを感じました。
心配性の母が、「何もしてあげられないけど、静かに見守るね。」と言ってくれた時、 打ち明けて良かったのだと、心から思いました。
息子にとって、おじいちゃん、おばあちゃんという味方ができたことも、とても嬉しかったです。
両親に言おうかどうかという悩みから解放され、子どもともこれまで以上に向き合うことができるようになりました。
車に乗って両親に会いに行ける日が来るまで、発コミュで学んだ息子への関わりを続けていきたいと思います。
みなさんも、ご両親に発達の特性について説明する機会が、突然訪れるかもしれません。
慌てず対応できるように、今のうちから、「ご両親の不安をあおらない伝え方」を少し考えてみると、きっと役に立つと思います。
そのときに大切なのは、すべてを一度に理解してもらおうとしないことです。
まずは、
・今、子どもが一番困っていることは何か
・だから今、どんな配慮や選択をしているのか
この2つだけを、自分の中で整理しておくだけでも十分です。
「今の状況」を切り取って伝えるだけでも、親子の関係は、少し楽になることがありますよ。

執筆者: 三谷 のぞみ
発達科学コミュニケーション アンバサダー




