新年度になると「新しい環境に慣れない」「不安が強くて行きしぶりがある」と悩んでいませんか?慣れるのに時間がかかる子どもの特性と、1年半の不登校を経て再び通い出したわが子の具体的サポート法「環境の予習」をご紹介します。
1.子どもが新しい環境に慣れるのに時間がかかる…。新年度が不安ではありませんか?
新年度が近づいてきましたね。
この時期になると、親の方がそわそわしてしまうことありますよね。
「新しいクラス大丈夫かな」
「先生と合うかな」
「また行きたくないと言い出したらどうしよう」
不安が強い子を育てていると、“変化”はいつも“緊張”とセットです。
慣れるスピードには個人差があります。
それなのに、周りの子と比べてしまうと、「遅い」という評価になってしまう。
しかし、子どもの脳から見れば、新年度は“未知の刺激の連続”。
・誰が同じクラスか分からない
・どんな担任の先生かも分からない
・休み時間、何をして過ごそう
など、見通しが立たない状態は、不安が強い子にとっては大きなストレスです。

2.我が子はなかなか新しい環境に慣れず、小2で不登校に…
息子もまさに、「新しい環境に慣れるのに時間がかかるタイプ」でした。
年中のころから、新しい場所では固まり、初対面の人の前では言葉が出ず、教室が変わるだけで不安定になりました。
それでも何とか通っていた小学校。
しかし、小2の2学期より五月雨登校から、次第に学校へ行けなくなりました。
朝になると「行きたくない」と地団駄を踏み全身で拒否し、癇癪を起こしていました。
行けたかと思うと引き返し家に帰ってくる日もありました。
私は最初、励まそうとしました。
「大丈夫だよ」
「すぐ慣れるよ」
「行ってみたら何とかなるよ」
でも息子の表情は曇るばかり。
今振り返ると、あの頃の私は、“慣れさせること”に必死でした。
結果として、1年半の不登校。
焦り、不安、葛藤。
親としての無力感も味わいました。
ですが、この時間があったからこそ、見えてきたことがあります。

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3.なぜ新しい環境に慣れるのに時間がかかるのか?
特に不安が強い子は、脳の「危険察知センサー」が敏感です。
これは悪いことではありません。
本来は身を守るための大切な機能です。
ただ、脳は未知の状況をストレスとして処理します。
・失敗したらどうしよう
・うまくできなかったら?
・誰も助けてくれなかったら?
と、先回りして考え過ぎてしまいます。
つまり、「知らない」=「危険かもしれない」と感じやすいのです。
だから体が危険モードに入り、新しい環境に馴染むまで時間がかかってしまいます。
これは性格の問題ではなく、脳の情報処理の特性です。
そして大切なのは、 時間がかかること自体が問題なのではない、ということ。
問題になるのは、“準備なしで飛び込ませること”。
不安が強い子に必要なのは、根性ではなく見通しです。

4.新しい環境に慣れる具体策は「予習」
息子に変化が起きたのは、「予習」をするようになってからでした。
ここでいう予習は、勉強のことではありません。
“環境の予習”です。
だからこそ、学校にお願いして
・教室の場所を確認する
・先生に前もって会う
・参加する授業の1日の流れを具体的に話す
・困ったときどうするかを一緒に考える
こうした “事前の情報” を少しずつ増やしていきました。
ポイントは、「分からない」を減らすこと。
不安が強い子にとって、 “分からない”は一番のストレスです。
逆に言えば、 “少し知っている”に変わるだけで、脳は安心します。
環境の予習を重ねていくうちに、ある日、息子の口からこんな言葉が出ました。
「それなら、ちょっと行ってみようかな」
怖さがゼロになったわけではありません。
しかし、息子の中で「全部分からない」から「少しは分かる」に変わった瞬間でした。
不安が強い子に必要なのは、 励ましの言葉だけではありません。
安心できる情報です。
この違いは、子どもの行動を大きく変えていきます。

5.1年半の不登校の末に、再び自分のペースで通い出した息子
1年半、学校に通えなかった息子。
その間、何もしていなかったわけではありません。
午前中は、息子が安心を感じるフリースクールに通い、放課後等デイサービスにも通って、先生や子どもたちと関わる時間を増やしていきました。
学校の“環境の予習”を重ね、 小さな成功体験の記憶を積み、少しずつ自分で選ぶ練習をしてきました。
そして今、毎日ではないけれど、自分のペースで通っています。
以前と違うのは、「行かされている」のではなく、「自分で決めている」こと。
現在も、完全に不安が消えるわけではありません。
しかし今は、
「明日はどんな流れかな?」
と自分から確認できるようになりました。
慣れるのに時間がかかる特性は変わっていません。
けれど、“慣れ方”は変わったのです。
「新しい環境に慣れない」
「慣れるのに時間がかかる」
それは決して遅れではありません。
新年度を乗り越えるために必要なのは、急かすことでも、「大丈夫」と言い聞かせることでもなく、安心できる情報を先に渡すこと。
あなたのお子さんは、どんなことが分かれば安心できそうですか?
準備を整えれば、子どもは自分のタイミングで動き出します。
新年度は、挑戦の季節。
同時に、“安心を設計する季節”でもあるのです。
焦らなくて大丈夫。
慣れるまでの時間も、その子の大切な歩幅です。

執筆者: たるみ あや
発達科学コミュニケーション アンバサダー




