水泳の授業を怖がり、不安が強かった娘。背中を押さずに安心を整えるかかわりを続けたことで、自分から「やってみよう」と思えるようになりました。その記録を紹介します。
1.苦手な子が多い、水泳の授業
1学期。
新しいクラス、新しい先生に、新しい環境にようやく慣れてきたころに近づいてくる、水泳の授業。
プールに対しての抵抗感が強い子は、プール開きの日が近づいてくると、「プール嫌だなぁ」という言葉が増えていきます。
いざ水泳の授業の日になると「おなかが痛い」と訴え始めることもあります。
「プールの時期がきた…」 と親子で憂鬱になっていませんか?

2.水泳の授業が近づくと憂鬱になる私たち親子
我が家の小学4年生の娘は大のプール嫌い。
ゴールデンウィークごろから「プール嫌だなぁ」と毎年言い始めます。
私は毎年このころになると決まって始まる娘の「嫌だなぁ」を聞くと、「今年もまた始まる…」と憂鬱な気持ちになります。
そして水泳の授業が始まると、学校に行く前の「おなかが痛い」が急に多くなります。
それに対して私は、あえてプールの話題にはふれず、「トイレいっておいで」としか言えないのでした。
当時の私は、どうにかして慣れさせた方がいいのか。
無理はさせないで休ませた方がいいのか。
その答えが分からずにいました。

3.苦手な原因は感覚過敏と不安の強さ?
繊細で不安の強い子どもは、周りの刺激を人一倍強く受け取っていることがあります。
また、水泳の授業は
- 一斉に始まる
- 途中で抜けにくい
- できずにいると目立つ
- 周りに見られる
といった、不安が強い子にとって緊張しやすい場面がたくさんあります。
「できないかもしれない」
「できない自分を見られたくない」
そんな気持ちが重なることで、水泳の授業そのものが怖い時間になってしまう子も少なくありません。
娘も、その一人でした。
「冷たいプールの水は、肌にささる感じがして痛い」 と話していたように、娘は水の冷たさをとても強い刺激として感じていました。
このように目や耳、鼻、皮膚などを通して受け取る刺激を強く感じすぎてしまう状態を、感覚過敏と呼びます。
私たちが「少し冷たいな」と感じる刺激でも、娘にとっては痛みを感じるほど強い刺激だったのです。
さらに不安が高まることで、普段以上に感覚のアンテナがさらに鋭くなってしまう子もいます。
そのため、水泳への苦手意識が強くなるほど、冷たい水や周りの音、人の視線などがさらに気になり、「怖い」という気持ちがますます大きくなってしまうことがあるのです。

4.不安を軽くさせるママのかかわり方
そこで私は、「プールを頑張らせる」ことよりも、まず娘が安心できる土台を育てようと考えました。
まず、プールに入れたかどうかで娘を評価することをやめました。
入れたらよかった、入れなかったらがっかり。
そんな空気を出さないようにしたのです。
水泳の授業があっても、私から「プールどうだった?」と聞くのもやめました。
また、日頃からできていることに目を向けて、小さな大丈夫を積み重ねていきました。
「朝ごはん、食べてるね」
「片づけてくれるの?ありがとう、助かるよ!」
プールに入れなくても、不安を感じている気持ちごと、娘の存在を丸ごと肯定します。
「私は私のままでいい」
そう感じられる感覚を、日常の中で育てていきました。
また、水泳の授業が始まる前に、家族でプールに出かけました。
これも目的は、プールに慣れさせるためでも、できるようにするためでもありません。
無理強いはせず、娘のペースにこちらが合わせます。
安心できる家族と一緒にプールで過ごすことで、プールという場所に安心の中で触れる経験を増やしたかったのです。

5.不安が軽くなり、動き出せた娘
そうした中で、始まった水泳の授業。
不安が軽くなり、私は私でいいという自信が積み重なってきた娘は、「やってみようかな」と思える状態になっていきました。
水泳の授業での出来事を楽しそうに話してくれる日も、少しずつ増えていきました。
「今日は◯◯ちゃんが誘ってくれてね、一緒に手をつないで入れたんだ〜!」
「今日はせーので潜れたんだよ!」
娘にとって大の苦手だった水泳の授業は、できる・できないを気にする時間ではなく、やってみようと思える時間に変わっていったのです。
夏休みには、旅行先のプールにも入りました。
水は私でも思わず「これは冷たいな…」と感じるほどで、「今日は難しいかもしれないな」と思っていました。
けれど娘は、「冷た~い!」と笑いながら自分から水の中へ入り、潜ったり泳いだりして楽しんでいたのです。
そして今年。
以前なら水泳の授業が近づくだけで「嫌だなぁ」とつぶやいていた娘が、授業をとても楽しみにして学校に通っています。
子どもが水泳の授業を怖がっているとき、つい背中を押したくなってしまうかもしれません。
ですが、子どもが動き出すタイミングは、その子自身の安心が整った先にあります。
安心が育つと、「やってみようかな」という気持ちは、少しずつ子どもの中から生まれてきます。
もし今、お子さんが水泳の授業を不安がっていても、焦らなくて大丈夫です。
ぜひ、安心を先に用意する関わりをできるところから試してみてくださいね。

執筆者:くろかわ えり
発達科学コミュニケーション トレーナー





