何度言っても子どもが動かない、と悩んでいませんか?切り替えが苦手な子どもは、新学期など生活リズムが変わる時期には、いつも以上に動きにくくなることもあります。ママが叱らなくても、子どもがスムーズに動きやすくなる声かけの工夫を紹介します。
1.「何回言ったらわかるの⁉」切り替えの苦手な子どもたち
「早くご飯にしようって言ってるでしょ!」
「もう行く時間だよ!準備して!」
「お風呂に入りなさいって何回言わせるの!」
こんなふうに毎日、同じことを繰り返し言っていませんか?
特に、夏休みなどの長いお休みから新学期へと生活が切り替わる時期は、
「学校に行く時間だよ」
「そろそろ着替えて」
「もう家を出ないと間に合わないよ!」
と、朝から何度も声をかけることが増えてきます。
なかなか準備が進まなかったり、「学校に行きたくない」と言い出したりするわが子を前に、どうしたらいいのかわからなくなるママもいるのではないでしょうか。
何度言っても動かない我が子に、イライラや不安を感じているママは少なくありません。
いつも優しく言えたらいいけれど、毎日毎日何回も言っていると、ついついきつい口調になってしまうこともありますよね。
そして最後には、 子どもが怒り出したり、癇癪につながったりして、親子でぐったり…なんてことも。
こんな毎日のやりとりに疲れ果てて、「私の言い方が悪いの?」「育て方が間違っているの?」と、自分を責めてしまうママもいます。
けれど、子どもがなかなか動けないのには、理由があります。
声のかけ方を少し工夫することで、子どもが今より動きやすくなることがありますよ。

2.何度も同じことを言っても動かない娘にイライラしていた過去
私にも同じように、行動の切り替えが苦手な発達障害グレーゾーンの娘がいます。
何度ご飯に呼んでも食卓に来なかったり、何度もお風呂に入るように言っても動かなかったりと、行動の切り替えがとても苦手で困っていました。
「ご飯ができたよ!食べよう!」と呼んでも漫画を読んでいたり、おもちゃで遊んでいたりして食べにこない。
何度も「お風呂入って!」と言っても動かない…。
当時の私は、毎日のようにイライラしていました。
そして、そんなことが続くと「何回言ったらわかるの!」とついには怒鳴ってしまう。
こちらが怒鳴ると、今度は子どもが怒り出して機嫌が悪くなったり、癇癪を起こしてしまう…、そんな日々を繰り返していました。
子どもの発達特性のことなど、考えたこともなかった当時の私は、ただただ、子どもに「早く〇〇しなさい!」ということしか知らず、言うことを聞かなければ、子どもを叱ってできるようにさせないと、と思っていました。

3.発達障害グレーゾーンの子どもが行動の切り替えが苦手な理由
それでは、なぜ、私の娘のような子どもたちは、何度言っても次の行動に移ることができなかったり、苦手に感じたりするのでしょうか?
特に、発達障害やグレーゾーンの子どもの中には、行動の切り替えを苦手とする子がいます。
切り替えにくさの背景の一つに、今やっていることを途中でやめて、次の行動へ移ることへの苦手さがあります。
たとえば、好きなアニメを見ているとき、おもちゃで遊んでいるときなど、「今やっていることをまだ続けたい」という気持ちが強く、途中でやめて次の行動へ移ることが難しいのです。
また、もう一つの原因として、「見通しを立てることが苦手」という特徴がある子もいます。
次に何をするのか、いつ切り替えるのかという見通しを持ちにくいため、子どもたちにしてみれば、
「急にご飯って言われても!」
「急にお風呂に入れって言われても!」
という状況になってしまうのです。
そして、そこにママが怖い顔をして「早くしなさい!」とか「何回言わせるの!」などと怒ってしまうと、子どもによっては「そんな予定、聞いてない!」と怒ったり、パニックや癇癪を起こしたりすることもあります。
特に新学期は、夏休み中の生活から学校生活へと大きく切り替わる時期です。
- 起きる時間が変わる
- 朝の準備が増える
- 決まった時間に家を出る
- 学校での生活が始まる
など、子どもにとってはたくさんの「切り替え」が一度にやってきます。
そのため、もともと行動の切り替えや見通しを持つことが苦手な子にとっては、いつも以上に動き出しにくくなることがあります。

4.「予告」で見通しを立てれば動きやすくなる!
では、どうしたら子どもがスムーズに動けるようになるのでしょうか?
見通しを立てることが苦手なのであれば、そこを補う「予告」の声かけをしてあげましょう。
予定や行動の切り替えが必要な場面では、事前に知らせておくことで、子どもは心の準備ができ、落ち着いて次の行動に移ることができます。
たとえば、
「あと10分くらいでご飯ができるよ」
「ご飯の前に、あと1回だけ遊べるよ」
「時計の針が6になったらお風呂に行こうね」
こんなふうに、「いつ」「どんなふうに」切り替えるのかを具体的に伝えてみましょう。
あらかじめ次の予定を知ることで、
「あと10分遊んだらご飯」
「時計の針が6になったらお風呂」
と見通しを持ちやすくなり、「まだ遊びたい」「やめたくない」という気持ちに少しずつ折り合いをつけられるようになります。
そして、行動の切り替えをスムーズにするためには、時間の「カウントダウン」も有効です。
急に「さあ、行くよ!」と言われると、子どもはビックリして、「えー!今いいところだったのに!」と反発したり、不機嫌になったりしますよね。
そんなときには、以下のように段階的に声かけしてみてください。
- 「あと30分でお出かけするよ」
- 「あと10分で準備しようか」
- 「もうすぐ時間だよ。そろそろ終わりにしてね」
このように、少しずつ気持ちを切り替えていくステップを作ってあげることで、子どもは次の行動へ移行しやすくなります。
私の娘も、このように先に予定を知らせておいたり、余裕を持って段階的に声かけしていくことで、段々と行動の切り替えが上手になってきました。
そして、漫画を閉じた、おもちゃを置いた、立ち上がったなど、少しでも次の行動に向かい始めたら、「準備始めたね」と、その行動をすぐに肯定することも大切です。
最後までできるのを待つのではなく、「動き始めた瞬間」を見つけて言葉にしてあげてくださいね。
新学期、「早くして!」「もう学校に行く時間だよ!」と何度も言いたくなる朝こそ、少し早めの「予告」を意識してみてください。
まずは「あと30分でお出かけするよ」と伝えるところから。
毎日の生活の中で少しずつ見通しを持てるようにして、子どもが次の行動へ移りやすい環境を作っていきましょう。

執筆者:中川 まさみ
発達科学コミュニケーション トレーナー





