外食先で具合が悪くなった経験から、「また具合が悪くなるかも」と外食に行きたくない気持ちが強くなった娘。大好きなものをきっかけに小さな「できた!」を重ね、「また行きたい!」と思えるようになったわが家の体験を紹介します。
1.楽しいはずの外食で突然「具合が悪い」と言い出した日
家族みんなで外食することは、わが家にとって楽しい時間のひとつでした。
娘も外食を楽しみにしていて、まさか「もう外食には行きたくない」と言うようになるなんて、このときは思ってもいませんでした。
きっかけは、家族みんなで出かけた合格祝いの外食でした。
行くまでは、すごく本人も楽しみにしてました。
お店に着いてからも、途中まではみんなでわいわい、楽しくお食事をしてました。
ところが、途中で娘が「何だか具合が悪い」と言い出したのです。
私や夫が「大丈夫?車で休むかぃ?」と言ったら、本人も「そうする!」と言ったので、車で休むことに。
私たちも心配だったので、お店にいる間は何度か娘とメールでやり取りをし、この日はいつもより早めに食事を切り上げて車に戻りました。
すると娘は「横になったら、復活した!」と元気な様子を見せてくれました。
そんな娘を見て夫も私も安心しました。
この時私はまだ、「ちょっと体調が悪かっただけかな」と思っていました。
けれどその後、外食に出かけるたびに同じようなことが起こるようになったのです。

2.「また具合が悪くなるかも」外食に行きたくない娘
またある日、夫が
「美味しそうな寒ぶりフェアが始まったので、みんなでお寿司を食べに行かないかい?」
と誘ってくれました。
しかし娘から返ってきたのは、
「また具合が悪くなったら嫌だから行かない」
という言葉でした。
本当は外食をしたい気持ちはあった娘。
その後も何度か外食に挑戦してみましたが、二回目、三回目と途中で具合が悪くなることが続き、娘はついに「行かない」と言うようになりました。
それからというもの、外食は私たち夫婦のみで行くようになりました。
子どもを連れて楽しそうに食べている周りの家族の姿を見ると、とても胸が痛みました。
「私たちも、あんな風にいつかはまた、娘と外食できるようになりたいなぁ」と思うようになりました。
しかし、どうしたら娘がもう一度安心して外食できるようになるのか、私には分かりませんでした。

3.「行かない」のは、不安が強い子なりの理由があった
発達について学ぶ中で、不安が強い自閉スペクトラム症(ASD)グレーゾーンの子の中には、嫌だったことや不安だった経験が強く記憶に残り、
「また同じことが起きるかもしれない」と先のことを心配して、行動できなくなることがあると知りました。
「これだったのかも」と気づいた時、胸がスーっと軽くなりました。
私から見れば、その時たまたま外食先で具合が悪くなっただけという出来事でした。
けれど娘にとっては、それが「また外食に行ったら具合が悪くなるかもしれない」と思うほど、強く記憶に残る経験だったのです。
親からすれば「それくらいのことで」と思ってしまうような経験でも、不安が強い子にとっては、そのときの嫌だった気持ちが次の行動を止めるほど大きなものになることがある。
ここまで娘の行動を左右することがあるのだと、私は初めて知りました。
娘は外食が嫌いになったわけでも、わがままで「行かない」と言っていたわけでもありません。
「また具合が悪くなったらどうしよう」
そんな不安があるからこそ、「外食に行かないことで自分を守ろうとしていたのかもしれない」と娘の行動を捉えられるようになったのです。
無理に外食へ連れて行くのではなく、まずは娘の不安を大きくしないこと。
そのうえで、娘自身が「行ってみようかな」と思えるきっかけを作ればいいのかもしれない。
そう考えるようになりました。

4.「好き」をきっかけに、小さな「できた!」を増やす
娘が「行ってみようかな」と思えるきっかけは何だろう。
そう考えていた頃、娘は「プロセカ」というゲームにハマっていました。
そんなある日、たまたまお寿司屋さんでプロセカとコラボフェアが開催されていることを知りました。
そこで夫が、「お寿司食べなくても良いから行ってみないかい?」と娘を誘ってくれたのです 。
「外食に行くなら、そこで食事をしなければいけない」と考えるのではなく、まずはお店に行ってみるだけ。
しかも、そこには娘の大好きなプロセカがあります。
すると、この誘いが娘に大ヒット!
何ヶ月ぶりの家族での外食に行くことができました。
私はとても嬉しくなり涙が出そうになりました。
そして驚いたことに、娘から「久しぶりにお寿司食べてみようかな?」と言って、一貫食べました。
また、それについてくるカードも自分のお気に入りが出て、娘はさらに嬉しそうにしてました。
すると、「もう一貫食べておしまいにする」と言って、娘はこの日、二貫もお寿司を食べることができました。
正直わたしは、「もう家族みんなで外食するのは難しいのかもしれない…」と思っていたので、こうして一緒に外食を楽しんでいる娘の姿を見て、 本当に嬉しくてたまりませんでした。
しかし、一番喜んでいたのは娘自身だったのかもしれません。
大好きなプロセカのカードもゲットしたことはもちろん、「また具合が悪くなるかもしれない」と不安だった外食に挑戦して、最後まで楽しく過ごすことができた。
そのことが、娘にとって大きな「できた!」になったのだと思います。
帰る頃には、「楽しかった!!また、行きたい!!」と嬉しそうに話してくれました。
不安で避けるようになっていた外食が、娘の中で「行けた」「楽しめた」という自信につながった瞬間でした。

5. 「できた!」を重ねて、次は家族みんなで遠出へ
外食先で具合が悪くなることが続いてから、娘は、「途中で具合悪くなったら、みんなが楽しめなくなる」と考えるようになり、外食だけでなく家族での遠出も控えるようになっていました。
そんな娘が今回、「また具合が悪くなったらどうしよう」という不安がありながらも、自分から外食に挑戦し「楽しかった!また行きたい!」と思える経験をすることができました。
たった一度の外食かもしれません。
けれど娘にとっては、「不安だったけれど行けた」「行ってみたら楽しかった」という大切な「できた!」の経験になったのだと思います。
だから次は、この「できた!」を少しずつ重ねながら、いつかまた家族みんなで 遠出も楽しめるようになれたら良いなぁと願うばかりです。
人はネガティブな記憶を残しやすい生き物だそうです。
だからこそ、いきなり苦手を乗り越えようとするのではなく、その子の「好き」や「やってみたい」をきっかけに、できそうなところから一歩ずつ。
「できた」
「楽しかった」
「またやってみたい」
そんな経験を一つずつ増やしていくことが、子ども自身が次の一歩を踏み出す自信につながっていくのだと思います。
わが家も、娘のペースを大切にしながら、次の「やってみたい」を家族みんなで応援していきたいです。

\どうしてこんなに不安なんだろう…/
ママの関わり方で
「自分でやってみる」を
少しずつ育てていけます。
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執筆者:平野 さちこ
発達科学コミュニケーション アンバサダー




